My Opinion 2009

2009(平成21)年8月1日

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社会保障制度

 日本は、「中福祉・中負担」の国だと言われています。まず、「中福祉」ですが、その基本は、1961年以来、約50年間にわたり維持されてきた、すべての方が老後には年金を受け取り、病気になれば保険診療を受けられるという、「国民皆年金・皆保険」です。たとえば、アメリカでは、低所得者等を除いて、公的な医療保険はありません。次に、「中負担」ですが、税・社会保険料という負担が国民所得に占める割合は、日本は38.9%(財政赤字を含めれば47.7%)で、アメリカ(34.7%)よりは高いですが、スウェーデン(66.2%)など北欧諸国に比べれば、はるかに低い水準です。

 私は、この「中福祉・中負担」を、これからも大切にしていかなければいけないと考えていますが、現在、大きな問題が3つ生じています。一つ目は、医師不足や介護施設の不足、無年金・低年金など、「中福祉」と言われている制度に、「ほころび」が生じてきていること。二つ目は、子育て支援など、日本の次代を担う世代を育てるための施策が不十分なこと。三つ目は、急速に進む少子高齢化により、社会保障に必要な費用が増え続けていくため、財政が支えきれるかという不安。

 いずれも一朝一夕で解決できるような簡単な問題ではありませんが、私は、社会保障をライフワークとする政治家として、官邸で有識者会議を開催するなど、安心できる社会保障制度実現への道筋を示すことに尽力してきました。

 まず、第一の問題である、「中福祉」のほころびについては、医師養成数の増加や、地域医療を担う病院への支援、介護報酬の増額や施設の整備による介護サービスの充実、無年金・低年金対策の検討など、「社会保障の機能強化」という方向性を打ち出しました。その一部は、麻生内閣発足以来の4度の予算編成の中ですでに動きだしています。

 第二の問題である、子育て支援については、これから子どもを生み育てることを望むあらゆる世帯に対応した新しい子育て支援制度の導入と給付・サービスの抜本的拡充を行うことを閣議決定しました。私は、子育て支援は、手当などの経済的支援だけではいけないと考えています。手当ももちろん重要ですが、子どもを安心して預けられる保育所が整備されることや、会社で育児休暇を取りやすくするなど社会の仕組みの見直しなどとあわせておこなわれる必要があると思います。麻生内閣は、これまで保育所の緊急整備や育児休業制度の改善などに取り組んできました。これからは、幼稚園・保育所の無償化も実現していきます。

 第三の問題である、財政の問題にも、正面から向き合います。現在、社会保障に要する予算は、国だけでも、毎年1兆円のペースで増えていきます。さらに、社会保障の機能を強化するための財源も必要になります。どんないい制度でも、制度を支える安定した財源が見つからなければ、絵に書いた餅です。とても、安心して頼れる制度にはなりません。私は、消費税を、社会保障の目的にしか使えない税に変えることが必要と考えます。そのため、景気回復後、ムダの排除とともに、消費税、所得税、法人税など税制全体の抜本的な改革を行うことが必要だと考えています。


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