参院選挙総括2007

2007(平成19)年8月

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第21回参議院選挙総括委員会・報告書

−敗因の分析と今後の課題−

平成19年8月23日

目   次

報告書のとりまとめにあたり------------------------------- 1頁
1. 選挙結果と今回選挙の特徴----------------------------- 2頁
(1) 選挙結果-------------------------------------------- 2頁
(2) 特徴と傾向------------------------------------------ 3頁
2. 敗因の分析と今後の課題------------------------------- 4頁
(1) 敗因の分析------------------------------------------ 4頁
(2) 今後の課題------------------------------------------ 6頁
3. 党再生と来る衆参選挙必勝に向けて---------------------- 9頁
第21回参議院選挙総括委員会役員----------------------- 10頁
第21回参議院選挙総括委員会・活動状況------------------ 11頁

報告書のとりまとめにあたり

 本年7月29日に施行された第21回参議院議員通常選挙は、わが党にとって極めて厳しい結果であった。選挙後も、わが党の支持率は低迷を続け、いまや党は存立の危機に立っていると言っても過言ではない。

 しかしながら、われわれには、立党以来、幾多の困難を乗り越えてきた歴史がある。このたびの危機も乗り越えられないはずがない。また、内外の諸課題を解決し、国民の期待に応える将来展望を切り拓くことが急務である。

 そこで、今回の選挙の敗因等を徹底的に分析し、猛省し、党を再生させ、次期国政選挙において勝利しなければならないとの固い決意のもと、8月1日、「第21回参議院選挙総括委員会」を党内に立ち上げ、直ちに取り組みを開始した。

 本総括委員会は、党所属国会議員・支部連合会代表者との議論や識者との意見交換、また、惜敗された選挙区候補者とも真摯な議論を重ねた。さらには、本総括委員会での委員間討議、一般有権者からのヒアリングや各種選挙データの検討も行った(巻末に「第21回参議院選挙総括委員会・活動状況」を掲載)。

 そして、本総括委員会は、これらの意見等を踏まえ、今回の参議院選挙結果を幅広い角度から分析し、問題点を摘出したうえで、今後、党として取り組むべき課題等のとりまとめを行った。

 本報告書は、今回の厳しい選挙結果を踏まえた緊急中間的なとりまとめであり、ここに提起した諸課題については、新執行部において、一層の検討を行い、速やかに実施する必要がある。

1.選挙結果と今回選挙の特徴

(1)選挙結果

@38議席の大敗
 第21回参議院議員通常選挙において、与党による過半数(64議席)維持のため、わが党は単独で最低51議席以上の獲得が必要であった。選挙区候補者49名(公認48名・推薦1名)、比例代表候補者35名を擁立して選挙戦に臨んだが、結果は獲得議席38(推薦候補1名含む)にとどまる大敗を喫し、参議院の構成は与党勢力が過半数を大きく割り込むこととなった。

A1人区では6勝23敗
 全国で計29選挙区に及ぶ定数1の選挙区、いわゆる1人区における勝敗が、選挙戦全体の帰趨を決するため、わが党も民主党もここを天王山と位置付けて全勢力を投入した。両党が真向から激突した最大の決戦場において、わが党は群馬・福井・和歌山・山口・大分・鹿児島県の6県でしか議席を獲得できず、6勝23敗の敗北に終わった。

B複数区は各1議席確保
 定数が2〜5の選挙区、いわゆる複数区は、全国で計18選挙区あり、わが党は東京都と千葉県で2名を公認し、他の選挙区では候補者を1名に絞って選挙戦に臨んだ。東京都と千葉県において2議席目の獲得はならなかったものの、結果的には18選挙区のすべてで1議席ずつを確保することとなった。しかしながら、各選挙区においてわが党候補の得票を民主党候補が大幅に上回り、わが党候補がトップ当選できたのは、民主党が2名擁立した新潟と無所属候補を推薦した岐阜の2県のみであった。

C比例代表は14議席
 比例代表選挙においては、わが党は民主党に総得票数で671万票余もの大差を付けられ、獲得議席は民主党の20議席に対して、わが党は14議席にとどまった。また、わが党の総得票数は前回(3年前選挙)と比すると25万票余の減少にとどまり、比例候補者個人の得票数は逆に80万票増加している。このことは結果的にわが党候補者の最低当選ラインを前回の15万票から20万票に引き上げることとなった。

D投票率上昇と期日前投票の大幅増加
 本年は統一地方選挙と参議院選挙が重なる12年に一度の亥年であり、過去においては参議院選挙の投票率が大幅に低下していた。しかし、今回、有権者の関心は高く、投票率は58%を超え、前回を2%余上回った。
 また、今回の選挙の特徴として、期日前投票者の大幅な増加が挙げられ、前回の1.5倍にあたる1,079万票となり、遂に有権者の約1割を占めるに至った。

(2)特徴と傾向

@内閣支持率と党支持率の急落
 安倍内閣は、昨秋60%を超える高い支持率で発足し、本年を迎えたが、5月末の年金記録漏れ問題の争点浮上と現職農水大臣の自殺を契機として、内閣支持率が30%台に急落し、不支持が支持を上回る状況となった。以後2ヶ月の間に、何度か支持率再浮上の兆しも見えたが、度重なる閣僚の不祥事等により、逆に不支持率が上昇を続け、これが50%を超える中で投票日を迎えることとなった。また、政党支持率も、内閣支持率と連動して低下し、上昇する民主党との差が徐々に縮まり、投票直後の世論調査では、民主党に首位を奪われるという状況に陥った。

A自民党支持者を固め切れず
 出口調査によると、投票を行った自民党支持者のうち、自民党(候補者を含む、以下同)へ投票したのは60%程度にとどまった。また、民主党へ25%が流出しており、自民党支持者の4人に1人が民主党へ投票するという事態となった。通常各種選挙で勝利を収めるためには、党の支持層の70〜80%を固めなければならないとされている。今回の選挙で自民大敗・民主圧勝という結果に至ったのは、この自民党支持者が自民党へ投票しなかったという点に大きな要因がある。

B無党派層の半分が民主党へ
 無党派層の投票傾向は、前回の参院選とほぼ同様であり、約50%が民主党へ投票し、自民党へ投票したのは15%前後にとどまり、民主党に約35%の差を付けられている。一昨年の衆院選においては、無党派層の投票において民主党が若干リードしたものの、自民党も30%台後半の支持を得て、その差を10%以内としていた。わが党が選挙で勝利するためには、無党派層においても30%程度の支持を獲得することが必須条件である。

C女性も民主党、男性は圧倒的
 近年、自民党の支持率は男性よりも女性において高い傾向があり、安倍内閣の支持率も同様の傾向にあった。しかしながら、様々な要因から6月以降に支持離れが始まり、最終的に女性の投票においても民主党がわが党を上回った。また、男性においては、民主党が2人に1人の投票を得るという圧倒的強さ(特に、30歳・40歳・50歳代の働く世代)を示して、わが党を突き放した。

2.敗因の分析と今後の課題

(1)敗因の分析

@逆風3点セット
 今回の選挙において、われわれが全国を通じて厳しい批判にさらされた直接の要因は、「年金記録漏れ問題」、「政治とカネの問題」、「閣僚の失言等不祥事」であり、逆風3点セットとも言うべきこれらの問題が重なり合って続出し、国民の大きな怒りと失望を買う結果となった。
 年金記録漏れ問題については、発覚した際の初動対応を誤り、年金制度及び政府に対する深刻な不信感を招くこととなったと考えられる。この問題に対して、政府・与党は一体となり、国民の不安解消のためあらゆる対策を講じたが、短期間での国民への周知は困難で、この問題は選挙戦を通じて最後まで響いた。
 政治とカネの問題については、昨年末、事務所費問題の発生以来、閣僚の辞任や現職閣僚の自殺にまで至ったことが、政権に大きな打撃となった。後任の農水大臣にも同じ事務所費問題が公示直前に浮上し、不十分な説明がしばしばテレビのワイドショーなどで取り上げられたことは、選挙に大きなダメージを与えることとなった。
 さらに、年初来の閣僚による度重なる失言が追い打ちとなり、政府・与党に対する批判を決定的なものとした。

A国民の意識とのズレ
 上記問題への対応や政策の優先順位は、はたして国民の意識とズレてはいなかったかどうかの検証が必要である。
 まず、昨秋の安倍内閣の組閣にあたっての論功行賞と受け止められてしまった人事、改革後退かと受け止められてしまった郵政造反議員の復党プロセス、さらに政治とカネの問題発生以来の一連の発言や対応等により、安倍総理が一般国民の側でなく永田町の政治家の側に立っているようなイメージを持たれたのではないか。
 また、政治とカネの問題では、法令は遵守しているという政治家側の姿勢と、説明責任を十分果たしていないという国民の受け止め方に大きな乖離が生じた。政権内における不祥事の続発、これに対する後手後手の対応、関係者に対する手緩い処分等により、国民から指導力、統治能力に疑問を呈されたのではないか。
 さらに、われわれの掲げた政策の優先順位が民意とズレてはいなかったか。「美しい国」や「戦後レジームからの脱却」という訴えや、これまでの改革路線を、選挙の争点に設定することができなかった一方、政治不信の高まりの中で、「生活が第一」とした野党キャンペーンに主導権を奪われる結果となった。

B衆院選大勝の反動とその後の政権運営
 一昨年の衆院選大勝の反動も挙げられる。自民党に勝たせ過ぎたのではないかという国民の意識は、与野党拮抗による緊張感を政治にもたらそうという意識につながった。国会における重要法案の審議も数にまかせた強引な国会運営を行っているとの印象を与えた。
 また、短期間での国民投票法制定・教育基本法改正・教育三法改正・防衛省昇格・社会保険庁解体といった実績は、評価を得る一方で、野党の「強行採決」とのレッテル貼りや「強行採決」シーンの繰り返し報道により、あまりにも政治的に強引に進みすぎているのではないかとの意識を国民に呼び起こし、ある程度ブレーキをかけようとするバランス感覚が働いた側面も考えられる。

C地方の反乱
 わが党は多少都市部において苦戦したとしても、従来であれば郡部における強固な支持基盤によって盛り返し、敗戦を免れてきた。しかし、いまやこの郡部における防波堤は決壊し、わが党は参院選で大敗を喫することとなった。
 このことは、構造改革の推進による痛みの先にあるべき将来展望を提示できずにいることに、もはや地方が耐えられなくなっていることを意味する。デフレ脱却の遅れもあり、地方では一向に景気の回復が実感できない。深刻な財政難に陥っている自治体も多く、各地の首長の反発を招いている。地方においては、都市部との格差や置き去り感から、地方の反乱とでも言うべき猛烈な反発が拡がっている。
 われわれは、あらゆる分野の古いしがらみにメスを入れる一方で、地域との大事な絆までも断ち切ってしまっていなかったか、いま真摯に振り返ってみるべき時である。

D既存の党支持基盤の弱体化
 地方と同様に、わが党の友好団体や業界自体にかつての勢いがなく衰弱している。構造改革の進展等により、各団体が一様に団体組織を末端までフル回転できるような状況にはなく、わが党は選挙区・比例代表ともに厳しい戦いを余儀なくされた。団体の内部、末端において強い反発が見られるケースもあり、深刻な事態に至っている。
 わずかな例外を除くほとんどの比例代表候補者が前回より得票を減少させているのが象徴的である。特に、歴代にわたり代表議員を輩出してきた主力団体に支援された現職議員が何人も落選する結果となったことは、わが党全体に極めて強い衝撃を与えた。
 一方、地域ごとの支持基盤という観点でも、平成の大合併により党の支持基盤であった郡部の議会が消滅したという事実とともに、運動の第一線を支える地方議員・首長が減少し、党の地方組織衰退の一因となっている。統一地方選による選挙疲れや党の退潮傾向も影響したと考えられる。
 こうした状況の中で、民主党が1人区・地方重視の戦略を取り、農家への戸別所得補償や権限・財源の地方移譲といった政策を打ち出すことで地方有権者の不安や不満の受け皿となり、結果的にわが党の伝統的支持基盤への侵食を許すこととなった。

(2)今後の課題

 近年の選挙においては、国民に直接響くメッセージを効果的に打ち出し、一般有権者個々人の心をしっかりと掴み得た政党が勝利を収めている。いかにして「民意」を掴むか。選挙戦は、さながら「民意」という錦の御旗の争奪戦の様相を呈しており、民意の旗印を得た者が勝者となり得る。
 われわれは、いま一度、国民生活の現実に立ち返り、国民の切実な要望や声なき声に心耳を澄まし、これに誠実に応えて、国の進むべき道を示すという、民意に即した政治姿勢の原点に立ち返らなければならない。

@内閣のあり方
 まずは、国民の視点からの内閣のあり方である。国民本位の政策実現能力と清廉で透明性のある内閣をつくるべきである。
 また、安倍総理には、積極的に国民の中に身を投じ、国民と苦楽を共にする中で、切実な要望にじっくりと耳を傾けながら、自らの所信について誠心誠意情熱をもって訴えて、国民の目線に沿った政権運営を行っていくことが求められる。
 官邸・内閣の危機管理能力の強化が求められる。法律的に正しいということと、国民の納得とは異なっている。国民の目線に立った対応をするべきである。閣僚には内閣の一員として最大の緊張感が求められる。自分の起こした問題について説明ができなければ、自ら辞めるという覚悟がなければならない。

A厚みのある構造改革
 政策面では、これまでの構造改革路線は当然、日本の将来のために堅持しなければならない。わが国が本来持つ潜在力を引き出し、成長を持続させ、国民生活の向上、国際競争力強化などにつなげるために不可欠だからである。一方、この改革を進化・発展させることによって、活力ある経済成長を追及し、「所得格差」「雇用格差」など地方や弱者が抱えている痛みを解消するための将来展望を具体的に示す必要がある。それには、医療や年金など、国が構築すべきセーフティーネットを強化することはもとより、国民が不公平を感じることのない税制や予算執行などを通じて、安心・安全な生活を享受できる具体的な政策が不可欠である。
 また、競争力強化策に代表される大企業向けの規制緩和だけではなく、地域に根付いている中小企業等が本来の力を発揮し、地域再生に資する活動ができるような種々の政策、より厚みのある構造改革を推進しなければならない。

B衆参両院2つの民意
 民意に即した政治を行う上で、かつてないほど重要性が高まるのが国会対応である。異なる2つの民意が衆参両院に別れて対峙することとなる。
 国政の混乱と停滞を招かないためには、与野党間および衆参両院間の粘り強い対話と調整が必要になる。国会運営は、困難な局面が予想されるが、われわれはあくまで、国民本位の立場に立って、丁寧に説明と説得を繰り返し、民意に即した政策が実現されるよう与野党合意に向けて誠実に努力していかなければならない。一方で、国民の将来のためにわれわれが決して譲ることのできない方針と政策については、対立をおそれず国会審議において堂々とその主張を展開していくべきである。今後の国会においては、「協調」と「主張」について党の基本方針を明確に示して臨んでいく必要がある。

C新たな活動モデルの構築
 従来の党組織と友好団体が年々衰退している現状は、まさに党の危機と言わざるを得ない。保守系無所属議員が大勢を占める中、わが党所属の市町村議員も減少を続け、党員数も減少が止まらない状況である。
 わが党が国民政党として再出発するためには、常に国民の視点に立ち、国民の意識に即し、国民の感覚に応じた21世紀型の地域・職域それぞれの活動モデルを構築する必要があるのではないか。
 専門家の意見も聴きつつ、党員の意識改革はもとより、党費に見合った魅力ある活動を多数提示して党員の拡大を図り、本部・県連・支部の組織の再編強化を実践し、筋金入りの党組織に変えていくことが求められる。
 また、友好団体との政策対話を単なる年中行事のレベルから大きく拡大し、日常的な交流をより緊密化するとともに、政策と対話、さらに新しいツールを駆使して支持のウイングを拡げ、新たな支持層の獲得を目指すべきである。
 同時に、地域の生活者との絆を結び直し、活動を活発化させ、保守系無所属の市町村議員を保守の草の根運動家と位置付けるなど、地域におけるすべての草の根保守勢力の再結集を図り、次なる戦いに備えるべきである。

D広報戦略の方向
 選挙対策上、広報戦略の占める重要性が飛躍的に高まっている。今回の選挙において、われわれは広報活動によって民意を掴んだとは言い難い。広報以前の問題として信頼性を失っていたのが致命的だったとの指摘もあるが、外部からの批判と攻撃に対して、後手後手となった面も大きい。
 一方、民主党は年初よりTVCMを開始し、映画館・週刊誌・インターネット等、あらゆる媒体を駆使して広報活動を展開しており、わが党は今回、質量両面において相手に押されてはいなかったか。また、広報や政策の全国的一貫性、統一性という点でも遅れを取っていなかったか。これらをよく検証し、次に活かしていかなければならない。
 なお、国民一人ひとりの心をしっかりと掴むためには、まずもって政治家の「捨て身の姿」が必要である。そうした基本認識に立ちつつ、民意という旗の争奪戦に打ち勝つには、どういう争点と戦略を組み立てるべきか。さらには、地域の問題やきめ細かくわかりやすい広報を展開する等、取り組むべき課題は多い。

E候補者のあり方
 参議院議員は任期が6年間と長く、また選挙区も広大なため、一般的に有権者との馴染みが薄く、活動面も衆議院議員や地方議員、首長の既存の組織に頼りがちである。このため、独自の基盤に乏しく、選挙時の風の影響を受けやすい面がある。
 今後の課題としては、参院選候補者独自の後援会組織を選挙区内の要所ごとに立ち上げるとともに、日常の地元活動を活発化させていかなければならない。それに耐え得るエネルギッシュでアピール力のある候補者でなければ勝利できない時代になっている。加えて、従来の公認決定時期を前倒しし、候補者が早めに選挙態勢に入れるよう検討する必要がある。
 また、比例代表候補者に関しては、単なる業界団体代表との位置付けではなく、職場の縁を大事にした「働く人たちの代表」としてのイメージを新たに打ち出し、またそれにふさわしい人材の発掘に努めていく必要がある。

3.党再生と来る衆参選挙必勝に向けて

 前述のとおり、今回の参議院選挙におけるわが党の敗因、今後の課題と改革の方向性を示したが、わが党は、これらの課題を粘り強く克服していくことなくして、党の将来に曙光を見出すことはできない。
 われわれは、現状のままであれば、次期国政選挙において国民の支持と理解を得ることは極めて困難であることを、強く自覚しなければならない。
 われわれは、今回の選挙において、自民党支持層が自民党に投票せず、その多くが民主党に投票したという事態を深刻に受け止めなければならない。また、これに連動する形で無党派層の支持獲得でも、民主党に大差を付けられてしまったことも反省する必要がある。
 これらは、年金記録漏れ問題や政治とカネを巡る不祥事などによって、主として都市部の支持を失う一方で、構造改革の推進途上で招いた痛みと影、都市部との格差や置き去り感などをぬぐい去るに足る力強い政策メッセージを打ち出すことができなかったことによって、主として地方での支持を失ってしまったことが大きな要因として挙げられよう。
 また、党組織の構造的な課題として挙げられることは、政治活動、選挙運動で党の第一線を支える地方議員等が減少するとともに、地方組織や友好団体自体が弱体化していることである。このことを前提に、いまこそ党組織の再構築のために、新執行部は、組織論等についての専門家を集めた第三者委員会を作るなどして、かねてより指摘されている党本部・地方組織の再編強化等を実践し、幅広い国民の支持獲得につなげていく体制を創造していかなければならない。
 政治は政党のものではない。ましてや政治家個々人のものではない。国家、国民のものである。党再生の途は厳しくつらいが、これを成し遂げ、国民の信頼に堪え、その負託に応えられる新しい体制を何としても創りあげ、国民とともに凛として希望に満ちた将来展望を切り拓いていかなければならない。

第21回参議院選挙総括委員会役員

平成19年8月1日設置

委員長 谷 津 義 男(選挙対策総局長)
主 査 茂 木 敏 充(筆頭副幹事長)
委 員 宮 路 和 明(組織本部長)
鴨 下 一 郎(団体総局長)
河 村 建 夫(政調会長代理)
伊 藤 達 也(幹事長補佐:広報)
松 本   純(副幹事長)
竹 下   亘(副幹事長)
 木   毅(副幹事長)
佐 藤 昭 郎(参議院副幹事長)
岩 城 光 英(参議院副幹事長)
萩生田 光 一(青年局長)
山 中 Y 子(女性局長)

 

第21回参議院選挙総括委員会・活動状況

○ 開催経緯
第1回 総括委員会会議開催

8月 2日(木)

今後の進め方と論点・問題点等について協議
党所属国会議員からのヒアリング(ブロック別懇談会)開催。出席者274名。発言者94名(重複を除く)
8月 7日(火) 九州ブロック、中国・四国ブロック、参議院比例代表選出議員
8月 8日(水) 北海道・東北ブロック、北関東・南関東・東京都

ブロック、北陸信越・東海ブロック、近畿ブロック
識者からのヒアリング開催

8月 9日(木)

田勢康弘・早稲田大学大学院客員教授

小林良彰・慶應義塾大学法学部教授
県連代表者からのヒアリング開催

8月10日(金)

青森・山梨・愛知・愛媛・大分県連幹事長ら
一般有権者からのヒアリング開催

8月20日(月)

サラリーマン、主婦、OLら
惜敗された選挙区候補者との懇談会開催
8月20日(月) 前職候補者
8月21日(火) 新人候補者
第2回 総括委員会会議開催

8月22日(水)

「報告書」のとりまとめについて協議
第3回 総括委員会会議開催

8月23日(木)

「報告書」をとりまとめる
 

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