介護保険 |
2004(平成16)年4月28日 |
介護保険制度
2004(平成16)年4月28日
●「基本方針2004」に盛り込むべき事項
連休に入る前に、自民党政調会の各部会は平成17年度予算に影響を与える「いわゆる骨太方針2004」(政府経済財政諮問会議で決定)に対する意見をまとめ、各部会長から政調会長宛てに提出されました。
下記に私たちの生活に最も影響を与える厚生労働省関係各課題がまとめられましたのでお知らせします。
ご意見がありましたら、ぜひ当方へお送りください。
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経済財政運営と構造改革に関する基本方針2004
「基本方針2004」に盛り込むべき事項等について
平成16年4月28日
厚生労働部会
T.本年6月に閣議決定が予定されている経済財政運営と構造改革に関する基本方針2004においては、社会保障制度の改革や雇用関連対策に関して、その事務処理体制を含め、施策における非効率や無駄を省きつつ、改革に取り組む方針を明確にした上で、以下の事項を盛り込むことが必要である。
1 介護制度改革
(1)介護保険制度については、給付費が増大する中で、将来にわたり持続可能な制度となるよう、給付の重点化と効率化を図りつつ、平成17年度に制度改革を実施する。
(2)具体的には、軽度の要介護者対する介護予防サービスの確立、痴呆ケアにも対応した在宅ケアの推進、施設における個室・ユニットケアの推進、不正事業者に対する対応強化などサービスの質の向上、在宅と施設との間の利用者負担の公平性の確保などに取り組む。
また、制度創設当初からの検討項目である被保険者及び受給者の範囲の在り方については、介護保険法附則第2条の規定を踏まえ、幅広い観点から検討する。
(3)さらに、明るく活力ある高齢社会を実現するため、地域における介護予防の拠点の整備をはじめ、介護予防・健康増進の積極的推進を図る。
2 雇用対策
(1)雇用情勢は、全国的には改善傾向にあるが、改善の状況には地域間で格差がある。こうした地域格差に対処すべく、雇用機会の少ない地域や就職が困難な地域の雇用状況の改善に向けた施策を講じるとともに、自発的に地域再生に取り組む市町村への支援策を充実させる。
また、地域の雇用を支える地方の基幹産業の再生・育成を図る観点から、その雇用支援策や介護など福祉・医療分野における支援策を充実する。
(2)障害者の雇用・就業、自立支援をバックアップするため、精神障害者の雇用率適用・復職支援、在宅就業支援、障害者の地域における作業活動の場の育成等について法的整備を含め充実強化を図る。
3 人間力の強化と多様な働き方の実現
(1)フリーター・無業者が増加するなど深刻な若年者雇用問題に対応し、若年者に働くことの意義を実感させ、働く意欲・能力を高めるため、国民各層が一体となって取り組む国民運動の推進、働くことの意義等を実感させ、働く意欲の涵養、向上を図るための取組、就業への動機付けのためのボランティア、インターンシップなどの労働体験の推進、職場定着の推進のための施策などの総合的な対策を講じる。
(2)職業生涯における各々の段階において、個々の労働者が、仕事時間を場所等も含め生活時間と様々に組み合わせ、バランスのとれた働き方を安心、納得して選択できるように環境の整備を図るため、法的整備を含め所要の措置を検討する。
4 次世代育成支援対策
(1)平成16年5月に閣議決定される予定の「少子化社会対策大綱」を踏まえ、少子化の流れを変えるため、国の基本施策として次世代育成支援対策を推進する。
(2)新エンゼルプランが平成16年度末に終了することを踏まえ、新たなプラン(次世代育成プラン(仮称))を平成16年中に策定する。新たなプランにおいては、すべての子どもと家庭を支援する観点から、保育所における地域支援機能の強化など地域の子育て支援や児童虐待防止対策の充実を図るなど、平成17年度からスタートする次世代育成支援のための市町村等の行動計画に基づく取組を支援する。
また、平成16年度末に終了する「待機児童ゼロ作戦」(平成13年7月6日閣議決定)についても、待機児童の状況を踏まえ、新たなプランの策定に併せた見直しを行なう。
(3)就学前の教育・保育を一体として捉えた総合施設については、平成18年度から本格実施に向け、平成16年度中に基本的な考えをとりまとめたうえで、平成17年度には、必要な法整備を行なうとともに試行事業を実施する。
5 医療制度改革
(1)各医療保険保険者の再編・統合、高齢者医療制度の創設等を課題とする「健康保険法等の一部を改正する法律附則第2条第2項の規定に基づく基本方針(平成15年3月28日閣議決定)に基づき、その具体化について実施可能なものから極力早期に実施する。
併せて、医療提供体制については、国民に対し質の高い医療を効率的に提供するため、医療安全対策の充実、医師・歯科医師・薬剤師・看護師等の医療関係職種の資質の向上、小児救急医療の充実、医療分野におけるIT化の推進などを進める。
(2)質の高い、安心・安全な医薬品・医療機器が可能な限り早く国民に提供できるよう、21世紀の基幹産業としての医薬品・医療機器産業の国際競争力を強化するため、研究開発の推進、治験環境の充実を含め、医薬品・医療機器産業の振興策を推進する。
6 生活保護制度の見直し
○生活保護制度については、社会経済情勢の変化などを踏まえ、引き続き、老齢加算等の扶助基準等、制度、運営の両面にわたる見直しを行う。
7 厚生労働科学研究の推進
○安心・安全で質の高い健康生活の実現を目指すため、特に
@糖尿病をはじめとする生活習慣病などの疾患や介護状態の予防のための「健康安心の推進」、
ASARS等の感染症の予防・診断・治療や食の安全、医療安全等のための「健康安全の確保」、
Bゲノム科学、ナノテクノロジー等を活用した「先端医療の実現」、
などの分野に重点を置きつつ、厚生労働科学研究を推進する。
U.また、以下の事項については、社会保障制度の改革や雇用関連対策とも密接な関係を有することから、その取扱いに当たって、国民に安心や安全を提供する体制の構築に支障が生じないよう、留意されたい。
1 潜在的国民負担率について
(1)潜在的国民負担率については、平成15年6月19日にも当部会として意見をとりまとめているところであるが、あくまでも、財政規律を維持するための一つの目安に過ぎず、これを抑制するために社会保障を削減するという考え方は、本末転倒である。
(2)潜在的国民負担率を50%程度に抑えるために社会保障を削減すべき、という目標設定には、引き続き、反対する。
(3)なお、現行の潜在的国民負担率の定義には、その分母となる国民所得に消費税などの間接税が含まれていないことから、今後、消費税の割合が増大した場合には財政支出が一定であっても潜在的国民負担率の数値が増加するなどの問題を含んでおり、必ずしも財政規律の目安として適切でないと考える。したがって、政府は新たな財政規律の目安の作成につき、検討を行うべきである。
2 三位一体改革について
(1)三位一改革については、地方自治体間の財政力格差が大きい中で社会保障施策の後退を招かないよう、都道府県及び市町村が必要とする財源が確保され、不合理な地域間格差が生じないことを同時に担保することが必要である。
併せて、真の三位一体改革実現のためには、地域経済の活性化が不可欠であることから、雇用の地域間格差の解消や地域再生への取組みの視点に立った検討が強く望まれる。
(2)地方自治体を対象とする社会保障関係の国庫補助負担金総額の大部分は、医療や生活保護をはじめとして国と地方で責任を分担しつつ実施する事業に係るものである。このため、三位一体の改革の実現に当たっては、こうした事業に係る国と地方の役割分担及び財政負担の見直しを通じて、給付の効率化・適正化及び地域間格差の是正を図ることが必要である。
(3)なお、生活保護費負担金の見直しについては、三位一体の改革に関する政府・与党協議会における了解事項(平成15年12月19日)を踏まえ、自治体の自主性、独自性を生かし、民間の力も活用した自立・就労支援の推進、事務執行体制の整備、給付の在り方、国と地方の役割・費用負担等について、地方団体関係者等と協議しつつ、検討を行い、その結果に基づいて平成17年度に実施する。
3 規制改革について
(1)厚生労働分野の規制は、国民の生命・生活や労働者の労働条件などと密接に関わるものであり、もとより経済的効果のみでその適否が論じられるべきものではない。
また、これまでの規制改革を巡る論議を振り返ってみれば、具体的にどのような経済活性化効果があるか明確になされないまま論議された事例も少なからず存在したと認識している。
(2)したがって、規制改革を進めるに当たっては、その必要性は勿論、安全性等への問題が発生しないことについての検証、期待される経済的効果等を十分に明らかにしたうえで行うべきことを、強く申し入れる。
なお、今後、「自民党政権公約2003」及び「基本方針2003」に含まれていない事項を、「基本方針2004」に盛り込むことが論議される場合には、当部会として、さらに意見を追加させていただくことを、念のため申し添える。
以上
1999(平成11)年11月9日
●厚生委員会で丹羽厚相へ質問
平成11年11月9日に開会された厚生委員会にて、丹羽厚相へ介護保険の見直しによる財源問題について、質問しました。
地方自治体が行う介護保険のサービスについて、その経費の25%は国が負担します。しかし、そのうちの5%は調整交付金として全国市町村の財源調整にあてることになっています。このことから、横浜市などの都市部自治体では、調整交付金5%満額を受けることができないのですが、逆に、高齢者の割合が高い地方の自治体は手厚い配分がされることになります。5%の交付金があることにより、1号被保険者の保険料が決定できない状況にありますし、国庫負担金の未交付分のために保険料が上がるということは、高齢者の理解を得ることが難しい、と現場の市町村から大きな声が上がっています。国としては25%全額,全市町村に交付できるよう工夫すべきではないでしょうか、と質問しました。
丹羽厚相(写真下)は、比較的に所得水準が低く、都市部より高齢者の割合が高い地方部の自治体へ重点的に配分せざるを得ない、と答弁し、地方間格差の是正は難しいとの見解でした。議論は平行線をたどってしまいました。
1999(平成11)年11月8日
●「介護保険危機突破議連」の世話人会
介護保険見直しについて、疑問を持つ自民党若手議員で発足した議連です。今後、この議連では、財源の税方式の反対や、徴収料凍結や給付金制度などに伴う約1兆円の財源を基盤整備に向けることを中心の目的として、党内議員に参加を訴えていく予定です。
同じ1兆円ならば、低所得者に配慮した保険料徴収や施設の拡充など、ほかに議論することは沢山あるのではないでしょうか。
1999(平成11)年10月27日
●「介護保険を2000年4月から実施する議員の会」
同会の有志議員の一人として、介護保険制度を当初の予定通り実施し、保険料の徴収凍結と家族介護への現金給付に反対する旨の要望書を、丹羽厚相へ手渡しました。
保険料を徴収凍結することは、選挙を目当てとした負担の先延ばしとして国民の信頼を失うことになるのではないでしょうか。サービス先行、負担はツケ回し、というのは政治特有の悪循環です。
家庭で介護する家族を支援することが、何よりも重要であり、現金給付を行うことよりも、家族が現に負っている負担を軽減する仕組みの介護サービス基盤を整備するべきではないでしょうか。
1999(平成11)年10月15日
●小渕恵三首相の横浜市港北区視察に同行
小渕首相が、横浜市港北区の痴ほう性高齢者グループホームを訪問しました。また、港北区役所を訪れ、介護保険の要介護認定申請受け付け状況も視察し、私も同行しました。来年4月からの介護保険導入を控え、10月1日から全国の市区町村で介護保険の要介護認定申請の受け付けが始まりました。
「高齢者グループホーム」は、中程度の痴ほう性高齢者が対象で、小規模で家庭的な場において生活を行い、専門職員による介護を受けることができます。痴ほう性高齢者の処遇に有効との研究結果が出ています。痴ほう性高齢者対策はグループホームが中心となっていて、これが世界的な流れとなっています。横浜市では平成8年度に政令指定都市としては初めて高齢者グループホームを開設しました。
1999(平成11)年9月1日
●制度は来年4月から予定通り実施すべきだ !
戦後の4半世紀が経過し、右肩上がりの経済成長が足踏み状態、更に少子高齢化が進み、2007年に人口増のピークを迎え、2025年には高齢化のピークを迎えます。要介護高齢者は2000年に280万人、2025年は520万人にまで増加すると予測されています。少子化と言われる時代に若い世代だけに頼ることはできませんから、高齢者も応分の負担をし、双方で協力してさらに公的負担を組み合わせた保険制度を新たに作りました。
大きな改革の新スタートを来年4月に迎えますが、様々な不安の声が寄せられています。現時点で言えば保険料が確定していない、介護報酬単価がよくわからない要介護認定やサービス内容への苦情処理はどうなるのか等など、これらの具体的な内容についてはもう少し時間がかかりそうですが、いずれにしても、来年4月にきちんとスタートし、 不合理な点は走りながら改善していくこと、また 、それに向けては、政治家も責任を持って取り組んで行かなければなりません。