松本純の備忘録・リポート |
2023(令和5)年 |
2023(令和5)年9月15日
dgs-on-line.com
出典:ドラビズfor Pharmacy 【2023年9月15日】398号
【どうなる薬剤師】松本純氏(前衆議院議員)に聞く
少子化で「今の薬剤師数を維持する必要性の可否」も議論に
少子化対策などもあいまって改定の議論が厳しく、また見通しづらくなっていることを前号で指摘した。そうした中で、社会における薬剤師の立ち位置はどのように変化するのか。松本氏は、少子化問題は長いスパンでみると、人口が減り、今の薬剤師数が維持されることが必要かどうかの議論が必然的に出てくると予想する。「少子化は国の形を変えてしまうことにつながりかねない。薬剤師は関心を持ち続けなければいけない」(松本氏)。薬局数についても「皆が過不足なく医療を受けられる、医薬品を入手できる環境をどうつくるか」の視点が重要になってくるとした。
調剤助手を含めて各国は工夫をしている。「薬剤師たる者は何をすべきなのかというようなことがこれからさらに議論されてくる可能性は高い」とし、「スキルのある薬剤師は残るが、そうでない人は遅れてきてしまうことが生じないとも限らない」とする。病院薬剤師と薬局薬剤師の間の臨床経験の違いが議論されているが、両者の臨床経験の「均衡化が必要かどうかも議論が出てくる」とした。
薬学を学んだ薬剤師が、「創薬はほかに任せて、われわれ(薬局薬剤師)は調剤だけをします、というわけにはいかないでしょう」と指摘し、今後、薬剤師の働く場や関与が薬局に限定されず広がっていくべきだと指摘。振り返ると、分業元年といわれる昭和 49 年以降、とりわけ平成に入ってから急速に薬学生の就職先として薬局が増加したが、それは「幅が狭まっている」(松本氏)と言い換えることもできる。「新型コロナ感染症パンデミックの間、日本の創薬能力が下がりワクチン開発も出遅れていると指摘が出た。創薬力を高めていく必要がある」(松本氏)。創薬が日本を支える1つの大きな産業になり得るというのは松本氏の信念でもある。
「国の形が変わりかねない」時に、薬剤師へ向けては「仮に医療保険がなくなったら薬局は食べていけるか」と投げかける。医療機関や歯科では自由診療のような枠がある。松本氏は「OTC 医薬品を筆頭に、薬事、公衆衛生の増進に努力していかなければいけない。保険調剤だけでなく自らの努力が評価される部門が伸びていく期待もできるのではないか。OTC 医薬品を中心に、かかりつけ薬剤師というのであれば地域に根付いて、顔を見たら相談を受けられるように対応していく必要がある。薬剤師としてやるべきことはたくさんある」とした。
「古典的プロフェッションとして聖職者、医師、弁護士は、社会から尊敬されてきたと言われる。医薬分業の歴史からすれば薬剤師は医師と同位置で、薬の負の作用から王様である患者の命を守る使命を担っている。プロフェッションたる薬剤師を目指してほしい」(松本氏)。
なお、松本氏は昨年 10 月、次期衆議院選挙への事実上の“復帰宣言”といわれる「自民党神奈川 1 区支部長」に選任されている。