松本純の備忘録(メモ)・リポート |
2014 |
国対正副と女性官僚との懇談会
5月30日(金)晴れ
●1000〜国対正副と女性官僚との懇談会/院内第21控室
佐藤勉国対委員長から懇談会の趣旨が説明され、霞ヶ関業務事情について河村のり子さんから説明を受けました。
参加者は、河村のり子さん(厚生労働省)、内藤冬美さん(環境省)、中西佳子さん(財務省)、倉田佳奈江さん(文部科学省)、石川真由美さん(外務省)、城田郁子さん(財務省)、以上6名の皆さんからご意見を伺いました。
【河村のり子さん】(資料説明)
まず最初にですね、ここ数年、数十年の間に女性の採用がいかに霞ヶ関で増えたかというところをご紹介したいと思います。この一番左側の方が昭和63年でして、大体今50歳位の人達が入った年代でございます。例えば今の私どもの次官の村木厚子さんが入った時も、この63年と大体同じでして、女性は当時採用3%でございましたので、ほとんどいないに等しい状況でございました。それがですね、ちょうど私達位の40歳前後の層になってまいりますと、その世代でようやく10%に到達をすると。更に今の30歳前後位の世代になって20%を超えておりまして、今20代の前半位になりますと、もう既に3割に到達をしております。これからその3割に到達した世代がどんどん子育て世代に入ってくるという状況に霞ヶ関はなっております。
続いて資料をおめくりいただきまして、2ページをお開きいただければと思います。今子育てをしながら霞ヶ関で働く女性職員がどのような働き方をしているか、というところをご説明させていただければと思います。こちらにちょっと載せていないんですが、霞ヶ関で働く子育て中の女性職員にアンケートを取りましたところ、ほとんどの職員がフルタイムで働いておりまして、3時とか4時に帰るようないわゆる短時間勤務をしている方は1%でございました。フルタイムで働いている上にですね、どの位の更に残業をしているかというのを見ていきますと、そもそもその霞ヶ関全体は長時間労働が一般化してしまっておりますので、このグラフも小さくて恐縮なんですが、一番左側が子どもがいない女性職員の場合なんですけども、子どもがいない女性職員の場合ですと、働き方としては大体夜の10時だとか11時位に家に帰る、という感じの方が大勢になっております。そうした中で真中が一番下の子どもが3歳未満の場合のケースなんですけれども、残業ほとんどないという方が4割近くいらっしゃって、他の職員に比べるとかなり配慮を受けていると。夜大体7時、8時位には家に着くという方が大勢になっております。
私事で恐縮なんですが私の場合も、日中は髪を振り乱して必死で仕事をしまして、大体午後の6時半位には何とか仕事を切り上げて、職場を飛び出して保育園に走って向かって、子供をおぶって7時半位には家に帰りまして、置いた途端に走り回る子どもを追いかけ回して、何とかご飯を食べさせてお風呂に入れて、絵本を読んでようやく寝かしつけるのが夜の9時位でございます。子どもが寝た後に、日中に処理しきれない仕事というのがどうしても残ってしまいますので、寝た後に安心して夜中まで仕事をやるという感じの毎日を送っております。私ども子育て中の女性職員にとっては、やはりこの夜の7時から9時位の2時間というのが子どもとの戦いでもあって、でも子どもと向き合えるとても大事な時間でもございます。
ところがですね、この一番右側のグラフが一番下のお子さんが4歳以上になってきた場合なんですけれども、4歳を超えたあたりで長時間労働が一般化してきてしまって、夜の9時10時以降位にようやく帰るというようなスタイルの残業量の方が段々主流派になってきてしまっております。隣の例えば環境省の内藤さんもお子さんがもう小学生ですけれども、ドンドン仕事の責任も増してきて、国会関係の審査をするようなお仕事もしてますので、夜の10時11時く位に帰るというのが生活スタイルとして戻ってきてしまっていると。やはり役所側の人事上の事情としましても、女性職員がドンドン増えてきておりますので、やはり配慮をずっと続けていくというためにポストも限られてきておりますし、役所側の人事上の課題もありますし、逆に職員の側から見ましても、あまりに長期一線から外れてしまいますと、貢献できないという思いもドンドン高まってきますし、自分の将来に対する不安も段々増してきてしまうというような状況がございます。
こうした事情の中でですね、この2ページの下のところなんですけれども、今回アンケートにお答えいただいた子育て中の職員の全員、100%が仕事と子育ての両立について不安を感じていると。その中でも6割の方は強い不安を感じていると答えておりまして、子どものいない職員であっても8割の方が不安を感じるという風に答えているような実情にございます。
またページをおめくりいただきまして、次の3ページをお開きいただければと思います。
このような不安の原因が何かというところを見てまいりますと、この上のグラフなんですけれども、9割の人が勤務時間外に対応せざるをえない仕事があると。それから業務量が多すぎるということの回答が上位を占めております。下の半分なんですけれども、こうした勤務時間外に対応せざるをえない業務として一番多く挙げられているのがですね、大変恐縮なんですけれども、国会対応、でございまして、次いで政府部内で非常に短期間で作業をするケースがあるんですけども、そういったショートノーティスの作業の依頼ですとか、幹部との打合せというのもございます。このような我々の状況の中で、先般のご指示をいただいて、我々がいかに助かっているかということをですね、具体的にタイムテーブルで見ていただこうかと思いまして、一枚めくっていただきまして、4ページお開きいただければと思います。
4ページまず左側に、前日の夕方に国会の質問の通告を頂戴した場合。右側の方に新たなご指示である前々日jの夕方にいただいた場合と、時間の流れを追ったものでございます。大変恐縮なんですけれども、質問の内容にも勿論よるんですが、質問の通告をいただいてから最後の答弁をセットするまでに、私ども実は大体8時間から9時間かかっている実情にございまして、このプロセスに関しては大臣に政府の見解として責任を持って答弁いただこうと思いますと、中々省くことが難しいプロセスが沢山ございます。前日のこちらの左側の方の、前日の6時に通告いただいたケースですと、それから先生方の事務所にお伺いをしたりして質問の確認をさせていただいて、省内で整理をさせていただいて、実際答弁の作成に着手するのが夜の10時頃になってしまいまして、そこから関係部署への協議ですとか審査ですとかやっておりますと、午前3時に答弁セットするというような形になってしまいます。
一方でですね、右側が新しくご指示をいただきました、前々日所の夕方6時頃に通告をいただいた例を記載させていただいておりますが、その翌日である朝の10時に質問の確認に入らせていただいた場合であっても、きちんと同じプロセスを経ても夕方の6時半、ほぼ定時の時間には終わらせることができるというタイムサイクルになっております。これであれば子育て中の私どものような職員であっても、役所の中でとても大事な業務である国会答弁の作成にも、きちんと当たることができるということで、私ども大変に助けられております。
これはですね、私ども女性職員だけでは実はなくて、役所の中にも実は介護、親の介護を抱える男性職員も増えておりますし、全ての職員にとって大変助けられることであると。更にですね、時間の余裕を与えられるということになりますと、答弁の質自体も高いものに我々の中でしていくこともできますし、あと大臣のご負担ですね、大臣当日の朝に全部の答弁を確認するとなりますと、本当に電話帳のようなものを1時間位バ〜ッと確認を毎朝されておりまして、大変なご負担なわけでありますけども、前々日にいただけることによって、できたものから前日にご確認いただけるということができますので、大臣のご負担自体もかなり軽減することができるのではないかという風に思います。それからやはり私どももですね、連日朝までやって寝ぼけた頭では新しい発想も生まれてこなくて、政策立案の質も十分に至らないところがあるわけですが、やはり休養を取らせていただいて、きちんと政策に集中することによって、国民の皆様に対する貢献も更に上げられるのではないかという風に思っております。更に残業代ですとか、タクシー代ですとか、そういったものにも節減につながるだろうという風に思っておりまして、このように大変助けられるご指示をいただいておりますので、改めて生方のご配慮に対して本当に厚く御礼を申し上げたいと思います。
最後の5ページにお進みいただければと思います。最後ですけれども、霞ヶ関全体の働き方を変えていく必要性についてご説明をさせていただければと思います。
冒頭ご説明させていただきました通り、私ども女性職員が今飛躍的に増えております。村木さん時代の3%から今の若手は30%、10倍に増えておりまして、その30%に到達した世代がこれからドンドン子育て世代に入ってくるという時代を迎えております。昔のような女性が3%の時代であれば、その数少ない女性に対して周りが負担を肩代わりするですとか、そもそもそういった残業の少ないポストに付けるということも可能だったわけですけど、やはり3割の世代になってまいりますと、配慮すべき女性自体が多くなりすぎて、既に今ポストが不足するという事態になっています。それから周りの職員の負担がドンドン過大になっていると。私自身も6時半に帰らせていただいた後、国会の対応を含めて上司と部下に仕事を割り振って助けてもらってるわけですが、日々ドンドン負担が過大になっていくのを感じて大変心苦しい思いもしております。
またですね、子育て期というのは意外と長いものでして、私自身の例から言っても一人目を産んでから、下の子どもが小学生になって、精神的にある程度自立をするという時代まで考えますと、やはり10年はかかってしまうところにありまして、その10年間配慮を受け続けることも難しいですし、それから10年間仮に配慮という形で一線から外れたポストに行ってしまいますと、将来きちんと責任ある仕事を果たす上でのきちんとした経験というのが踏めない、という課題もございます。
このように女性が飛躍的に増大してきた今の時代になりますと、女性に配慮をするということには限界がございまして、やはり霞ヶ関全体が、男性も含めて働き方を変えていくと、勤務時間外に対応せざるをえないような仕事をドンドン減らしていくと。この働き方の見直しは不可欠だと思っておりまして、この勤務時間外に対応せざるを得ない業務というのは決して国会対応だけでは全然ございませんで、先ほどご紹介した通り、政府部内の問題も沢山ございます。この点に関しては私ども今一生懸命提言をまとめて、関係方面にドンドン説明をしていきたいと思っておりまして、こうした中で先生方に先んじてご配慮をいただいたということですので、私どもも霞ヶ関自身の働き方の見直しというのをしっかりとやってまいりたいという風に思っております。
最後になりましたけれども、私どもやはり一種で採用された職員として、この仕事に非常にやりがいを持っていて、とても誇りに思っております。それなりの、相当の覚悟を持って入省しておりまして、確かに子どもが生まれる10数年間位の間、本当に夜を徹して働いてまいりましたけれども、子供が生まれて、自分自身が家庭の責任も担うようになりますと、どうしてもそういう働き方というのはこれからはできなくなってきております。ただ強い時間制約の下でもですね、貢献したいという思いは未だ全然変わるところはありませんで、私どものような女性職員も共に貢献していけるような霞ヶ関に変えていきたいと非常に強く思っております。
この点に関しまして先生方のご理解とご支援をいただければ、大変に幸いに思っております。本日は本当に貴重なお時間をどうもありがとうございました。