松本純リポート2005

2005/04/04

平成17年4月4日

郵政民営化法案について

 郵政民営化については、昨年9月の「郵政民営化の基本方針」に基づき、2007年4月から民営化し、移行期間を経て2017年4月までに完全民営化するとの方針の下、制度設計を行ってきた。
 同時に4月中の法案国会提出、会期内成立を目指し、与党と精力的に協議を進めてきたところである。
 政府として、これまでの与党との協議結果を踏まえ、主要な論点について以下のとおり取りまとめた。
 政府としては、4月中に法案を国会提出できるよう、今後、具体的な法案作成作業に入るとともに、引き続き与党の御理解を得るよう全力を注ぎたい。

1.郵便局の設置(利便性への配慮)
@郵便局があまねく全国で利用されていることを旨として郵便局を配置することを法律上義務付ける。
A具体的な設置基準は省令で定めるが、特に過疎地については法施行の際、現に存する郵便局ネットワークの水準を維持することを旨とすることを規定する。過疎地の定義については、省令策定時に十分協議する。

2.一体的経営に対する配慮
(1)経営形態
@郵便貯金銀行、郵便保険会社については、特殊会社とはせず、一般商法会社とする。
A民営化の最終的な姿においては、郵便貯金銀行、郵便保険会社の株式を完全処分することを基本とする。このため、持ち株会社に完全処分義務を課す。
B民営化委員会は、民有民営のため、3年ごとに、適切な検証を行う。
C郵便貯金銀行、郵便保険会社の株式処分については段階的に行う。

(2)株式持合い
@民営化後の各会社間の株式持合いについては、持ち株会社の下でのグループ経営を可能とするため、移行期が終了した後は、特殊会社としての性格を考慮しつつ経営判断により他の民間金融機関と同様な株式持合いを可能とする。
A移行期間中については、代理店契約の法律上の義務付けと持ち株会社による郵便貯金銀行、郵便保険会社株式の保有により、一体的経営は確保されている。

(3)貯金、保険のユニバーサルなサービスの提供
@円滑な業務運営や健全性確保の観点から郵便貯金銀行(郵便保険会社も同様)へのみなし銀行免許付与にあたり、「自立するまでの間、安定的な代理店契約があること」を法律上義務付ける。
これにより、少なくとも移行期間中は郵便局において貯金、保険のサービスが提供される。
A郵便局会社、郵便会社は「地域貢献事業計画」、「社会貢献事業計画」を策定する。その際、地域の有識者等との意見交換の結果を郵便局会社が尊重する旨を法律上規定する。
その費用を賄うため、郵便貯金銀行及び郵便保険会社の株式の売却益、配当収入等の一部を「地域・社会貢献基金(持ち株会社に設置)」として活用する。
計画については主務大臣が認可する。
計画の策定と基金の活用により地域のニーズがあれば金融のサービスも提供される。
(注1)基金は運用型とし、規模は1兆円を目途とする。
(注2)持株会社株式の売却益は国に帰属し、財政健全化に活用する。

3.移行期における経営の自由度
@移行期当初は、公社と同じ業務範囲とするが、段階的に拡大し、最終的な民営化においては、民間企業として自由な経営を可能とする。
A具体的には、民営化委員会の意見を聴取し、新会社の業務能力、イコールフィッティングの状況等を勘案した上で、主務大臣の認可により、新規業務を行う仕組みとする。
Bできる限り早く新規事業ができるよう準備を進めるため、準備企画会社(経営委員会)、民営化委員会を準備期間内に立ち上げ、民営化前から検討・準備を進める。

4.システムリスクへの対応
@システム対応については、郵政民営化情報システム検討会議において、専門家の検討を得た上で「暫定対応なら可能」との結論を得ており、2007年4月に間に合わせるよう準備を行う。
A万一のシステムリスクに備え、危機対応スキームを整備する。具体的には、
・新しい経営陣となる経営委員会がシステム対応の上で問題があると判断した場合には、2006年9月までに推進本部にその旨を申し出る。
・専門家の意見を聴いた上で、必要があれば6ヶ月間(2007年10月まで)民営化の時期を延長し、システムリスクを回避する。

5.公的な資格
@現在、郵政後者が提供している郵便の役務のうち、内容証明および特別送達について、民営化後も信用力を確保するため、公的な権限のある新たな資格を創設する。
A具体的な資格者は、郵便会社又は郵便局会社の使用人であって、管理又は監督の地位にあり、上記業務について必要な知識及び能力を有するもののうちから主務大臣が任命する。

6.敵対的買収に対する防衛策
 一般的な商法上の規定を活用し、敵対的買収に対する防衛策(議決権制限株式への強制転換条項)を講じる。

7.税制について
 税制については、新会社への円滑な移行・承継等のための所要の措置を講じる。

 以上に基づき法案を作成する。


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