松本純の会議録 |
1998(平成10)年9月29日 |
第143国会-衆議院厚生委員会-6号
平成十年九月二十九日(火曜日)
午前十時開議
出席委員 | ||||
委員長 | 木村 義雄君 | |||
理事 | 佐藤 静雄君 | 理事 | 鈴木 俊一君 | |
理事 | 田中眞紀子君 | 理事 | 長勢 甚遠君 | |
理事 | 金田 誠一君 | 理事 | 山本 孝史君 | |
理事 | 福島 豊君 | 理事 | 久保 哲司君 | |
安倍 晋三君 | 伊吹 文明君 | |||
岩下 栄一君 | 衛藤 晟一君 | |||
大村 秀章君 | 桜井 郁三君 | |||
砂田 圭佑君 | 田村 憲久君 | |||
戸井田 徹君 | 能勢 和子君 | |||
桧田 仁君 | 堀之内久男君 | |||
松本 純君 | 宮路 和明君 | |||
家西 悟君 | 石毛えい子君 | |||
五島 正規君 | 今田 保典君 | |||
城島 正光君 | 土肥 隆一君 | |||
青山 二三君 | 旭道山和泰君 | |||
武山百合子君 | 藤井 裕久君 | |||
吉田 幸弘君 | 児玉 健次君 | |||
瀬古由起子君 | 中川 智子君 | |||
河村たかし君 | 笹木 竜三君 |
出席国務大臣 | ||||
厚 生 大 臣 | 宮下 創平君 |
出席政府委員 | ||||
環境庁企画調整局長 | 岡田 康彦君 | |||
環境庁大気保全局長 | 廣瀬 省君 | |||
環境庁水質保全局長 | 遠藤 保雄君 | |||
文部省体育局長 | 遠藤 昭雄君 | |||
厚生省生活衛生局長 | 小野 昭雄君 | |||
厚生省社会・援護局長 | 炭谷 茂君 | |||
厚生省老人保健福祉局長 | 近藤純五郎君 | |||
農林水産省農産園芸局長 | 樋口 久俊君 | |||
農林水産省食品流通局長 | 福島啓史郎君 | |||
農林水産技術会議事務局長 | 三輪睿太郎君 |
委員外の出席者 | ||||
環境庁企画調整局環境保健部 環境安全課長 | 吉田 徳久君 | |||
環境庁水質保全局水質規制 課長 | 畑野 浩君 | |||
環境庁水質保全局土壌農薬 課長 | 西尾 健君 | |||
労働省労働基準局安全衛生 部長 | 下田 智久君 | |||
厚生委員会専門員 | 杉谷 正秀君 |
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委員の異動
九月二十九日 | ||
辞任 | 補欠選任 | |
城島 正光君 | 今田 保典君 |
同日 | ||
辞任 | 補欠選任 | |
今田 保典君 | 城島 正光君 |
九月二十一日
遺伝子組換え食品の安全性についての情報公開に関する請願(池端清一君紹介)(第一六八号)
同(石毛えい子君紹介)(第一六九号)
同(濱田健一君紹介)(第一七〇号)
同(横光克彦君紹介)(第一八二号)
同(北橋健治君紹介)(第一九一号)
同(三沢淳君紹介)(第一九二号)
同(藤田スミ君紹介)(第二二七号)
同(松本善明君紹介)(第二二八号)
同(長内順一君紹介)(第二九〇号)
同(保坂展人君紹介)(第二九一号)
同(金子満広君紹介)(第三三〇号)
同(北沢清功君紹介)(第三三一号)
同(小林守君紹介)(第三三二号)
同(松本龍君紹介)(第三三三号)
乳幼児医療費無料制度の創設に関する請願(堀込征雄君紹介)(第一八一号)
同(北沢清功君紹介)(第三三五号)
公的介護保障制度の確立に関する請願(瀬古由起子君紹介)(第二二三号)
医療制度の改悪反対に関する請願(大森猛君紹介)(第二二四号)
同(佐々木陸海君紹介)(第二二五号)
同(矢島恒夫君紹介)(第二二六号)
同(山原健二郎君紹介)(第二四四号)
同(金子満広君紹介)(第二八八号)
同(佐々木陸海君紹介)(第二八九号)
同(木島日出夫君紹介)(第三〇六号)
同(山原健二郎君紹介)(第三〇七号)
同(中路雅弘君紹介)(第三二九号)
医療保険制度の改悪反対、保険でよい医療に関する請願(藤村修君紹介)(第二二九号)
同(北沢清功君紹介)(第三三四号)
医療保険改悪反対、社会保障の充実に関する請願(瀬古由起子君紹介)(第二三〇号)
同(佐々木憲昭君紹介)(第二四五号)
同(瀬古由起子君紹介)(第二四六号)
同(平賀高成君紹介)(第二四七号)
医療保険制度改悪反対、医療の充実に関する請願(佐々木陸海君紹介)(第二四三号)
医療保険制度の改悪反対、医療の充実に関する請願(大森猛君紹介)(第二五七号)
同(中路雅弘君紹介)(第二五八号)
医療費を値上げ前に戻し、医療制度の連続改悪徹回に関する請願(中島武敏君紹介)(第二五九号)
医療保険制度の改悪反対、保険によるよい医療に関する請願(東中光雄君紹介)(第三〇八号)
同月二十八日
遺伝子組換え食品の安全性についての情報公開に関する請願(倉田栄喜君紹介)(第三五八号)
同(佐藤謙一郎君紹介)(第三七六号)
同(石井紘基君紹介)(第四一〇号)
同(枝野幸男君紹介)(第四一一号)
同(桑原豊君紹介)(第四一二号)
同(佐々木陸海君紹介)(第四一三号)
同(達増拓也君紹介)(第四一四号)
同(中路雅弘君紹介)(第四一五号)
同(冬柴鐵三君紹介)(第四一六号)
同(村山富市君紹介)(第四一七号)
同(石井紘基君紹介)(第四四四号)
同(桑原豊君紹介)(第四四五号)
同(達増拓也君紹介)(第四四六号)
同(寺前巖君紹介)(第四四七号)
同(石井紘基君紹介)(第四六四号)
同(桑原豊君紹介)(第四六五号)
同(達増拓也君紹介)(第四六六号)
同(桑原豊君紹介)(第四八三号)
同(原口一博君紹介)(第四八四号)
医療制度の改悪反対に関する請願(中島武敏君紹介)(第四〇九号)
同(松本善明君紹介)(第四四三号)
医療費を値上げ前に戻し、医療制度の連続改悪撤回に関する請願(古堅実吉君紹介)(第四四八号)
医療保険制度の改悪反対、保険によるよい医療に関する請願(石田幸四郎君紹介)(第四六七号)
同(石田幸四郎君紹介)(第四八五号)
医療保険制度改悪反対、保険によるよい医療に関する請願(石井一君紹介)(第四八一号)
健保本人、高齢者、薬代などの患者負担増をもとに戻すことに関する請願(吉田幸弘君紹介)(第四八二号)は本委員会に付託された。
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九月二十九日
臍帯血移植の公的臍帯血バンク設置等に関する陳情書(大阪市中央区大手前二の一の二二大阪府議会内橋本昇治)(第一〇九号)
乳幼児医療助成の制度化に関する陳情書(大阪市中央区大手前二の一の二二大阪府議会内橋本昇治)(第一一〇号)
在日外国人に係る障害基礎年金、老齢基礎年金等の未受給者に対する救済に関する陳情書(大阪市中央区大手前二の一の二二大阪府議会内橋本昇治)(第一一一号)
遺伝子組換え食品の安全性確保に関する陳情書外一件(津市広明町一三 三重県議会内大平誠外一名)(第一一二号)
介護保険制度の充実に関する陳情書外四件(山口市滝町一の一山口県議会内河野博行外四名)(第一八〇号)
男性介護従事者の養成と介護従事者の待遇改善に関する陳情書(東京都新宿区西新宿二の入の一東京都議会内田中晃三)(第一八一号)
介護保険制度導入に伴う既存電算システムの改造に要する経費の財政措置に関する陳情書(山口市大手町九の一一杉原記美)(第一八二号)
全国ハンセン病療養所に関する陳情書(東京都東村山市本町一の二の三細渕一男)(第一八三号)
少子化対策の充実に関する陳情書外二件(東京都新宿区西新宿二の八の一東京都議会内田中晃三外二名)(第一八四号)
廃棄物の処理に関する制度の整備充実に関する陳情書外一件(高知市丸ノ内一の二の二〇高知県議会内土森正典外一名)(第一八五号)
離島における廃棄物処理施設等の整備に関する陳情書(山口市大手町九の一一杉原記美)(第一八六号)は本委員会に参考送付された。
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本日の会議に付した案件
厚生関係の基本施策に関する件(ダイオキシン問題)
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○木村委員長 これより会議を開きます。
厚生関係の基本施策に関する件、特にダイオキシン問題について調査を進めます。
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。松本純君。
○松本(純)委員 おはようございます。自民党の松本純でございます。
きょうの厚生関係の基本施策に関する件、ダイオキシンの件でありますが、質問をさせていただきたいと思います
。
厚生省におきましては、専門家による検討が重ねられまして、平成二年十二月にダイオキシン類発生防止等ガイドライン、いわゆる旧ガイドラインが策定をされたところであります。その内容は、可能な限りダイオキシン類の発生防止対策を推進すること、排ガス中のダイオキシン類の濃度は〇・五ナノグラムになることが期待されることなどにとどまっておりました。
その後、諸外国のダイオキシン対策の研究、対策の進展とともに、我が国においてもこの毒性評価の研究が進められてまいりました。平成八年に一日耐容摂取量が提案されまして、これを受けて、厚生省にごみ処理に係るダイオキシン削減対策検討会が設置をされました。
平成九年一月にごみ処理に係るダイオキシン類発生防止等ガイドライン、いわゆる新ガイドラインを取りまとめたところであります。その内容は、発生段階で極力抑えるという観点から、健康への影響を防止するための技術的に可能な対策がまとめられており、緊急対策として、排ガス中のダイオキシン類の濃度の基準は八十ナノグラムとし、この基準を満たさない焼却施設にあっては直ちに対策を講ずることとしております。また、恒久対策としては、基準を、新設の全連続炉は〇・一ナノグラムとするとしております。また、ごみ処理の広域化を推進すること、焼却灰等のダイオキシン類削減のための溶融固化等の無害化処理を推進することなどとなっております。
なお、この新ガイドラインは一般廃棄物の焼却施設を想定したものとなっていたため、その後、厚生省は、産業廃棄物の処理施設を含めた廃棄物焼却施設に係る構造・維持管理基準の改正を行いました。この改正によりまして、廃棄物焼却施設 に係る排ガス中のダイオキシン類の濃度の基準を、例えば一時間当たり四トン以上の処理能力のある焼却室の場合には、新設のものについては平成九年十二月から〇・一ナノグラム、既存のものについては一年間基準の適用を猶予し、本年、平成十年十二月から平成十四年十一月までは八十ナノグラム、平成十四年十二月からは一ナノグラムとするように定められました。
また、平成九年五月、環境庁に設置されましたダイオキシン排出抑制対策検討会から報告書が提出をされておりまして、そこでは、有害大気汚染物質のうち人の健康被害を防止するためその排出などを早急に抑制しなければならない指定物質にダイオキシン類を指定するとともに、主要な排出源である廃棄物焼却炉等に対するばいじんの排出規制も有効であるとの提案がなされております。これを受けて、環境庁は大気汚染防止法施行令及び施行規則等の改正を行ったところであります。
このように、対策がさまざま講ぜられ、対応がなされていたところでありますが、それにかかわらず、本年四月に大阪府の豊能郡美化センターの周辺土壌から八千五百ピコグラムという高濃度のダイオキシン類が検出され、それを受け、本年六月に厚生省の生活環境審議会廃棄物処理部会にダイオキシン対策技術専門委員会を設置し、今回、その結果が報告されたところであります。
その中で、豊能郡美化センターにおいて、開放型冷水塔からの飛散による周辺土壌の汚染が明らかになったと聞いておりますが、このような汚染の可能性というものについて事前に把握をすることができなかったのかどうか、この点についてまず初めにお尋ねをしたいと思います。
〔委員長退席、鈴木(俊)委員長代理着席〕
○小野(昭)政府委員 豊能郡美化センターにおきますダイオキシン問題につきましては、今先生御指摘のございました、九月二十一日に開催されました生活環境審議会廃棄物処理部会のダイオキシン対策技術専門委員会におきまして、排ガスを水で洗浄する装置、湿式洗煙塔と申しますが、その水循環系統などから極めて高濃度のダイオキシン類が検出されたことが明らかになったわけでございます。
その原因といたしましては、焼却炉におきます不完全燃焼等によりまして高濃度のダイオキシン類を含みます排ガスが発生した上に、排ガスを洗浄した排水を循環して使用していたということ等によりまして湿式洗煙塔におきましてダイオキシン類が濃縮されまして、その一部が屋上の開放型冷水塔から飛沫に含まれて環境中に排出されたものと推定をされたわけでございます。
このように、今回の高濃度汚染につきましては、さまざまな条件が重なった結果といたしまして、これまで汚染経路とは認識されていなかった開放型冷水塔を経由して生じたものと考えられまして、その可能性を事前に把握するということは困難であったというふうに考えております。
○松本(純)委員 これは飛沫に含まれていて、さらに複合的な原因によって起こったものであり、これは予想ができなかったというお答えでありますが、今回の高濃度汚染については、施設そのものの構造的な問題については、そこに何らかの問題はなかったのでありましょうか、お尋ねをします。
○小野(昭)政府委員 豊能郡美化センターの焼却施設の構造につきましては、燃焼室の真上にガス冷却室がある、いわゆる炉頂型と言われる焼却炉であること、また排ガス冷却水の冷水塔が開放型であるということ、あるいは洗煙排水を焼却炉に循環していることといった特徴がございまして、高濃度ダイオキシンの生成との関係がないとは言い切れませんけれども、本件は、施設の維持管理状況も含め、さまざまな条件が二重、三重に重なって生じたものというふうに考えられまして、現時点において施設に構造的な問題があったと判断することは困難であると考えております。
私ども厚生省といたしましては、引き続き専門委員会におきまして原因究明のための検討を続けていただくこととしているところでございます。
○松本(純)委員 維持管理など運用上の問題であって、構造的なものであるという判断は難しいとのお答えではありますが、ということは、この場所での事故だけではなくて、他のところでもまた起きる可能性というのはその中に秘められているのではないかと思うのでありますが、類似の施設で同様な問題が起きるおそれはないのかどうか、どのようにお考えになっているか、お尋ねをいたします。
○小野(昭)政府委員 豊能郡美化センターの場合には、ただいま御答弁申し上げましたように、さまざまな条件が重なった結果といたしまして高濃度のダイオキシン類が検出されたものと考えられるわけでありますが、より安全性を高める観点から、豊能郡美化センターと同様に開放型冷水塔を有します三十六施設につきまして調査を実施することといたしまして、既に、関係都道府県に対しまして、湿式洗煙塔の冷却部を循環する冷却水及び施設敷地内の土壌を調査をいたしまして、その調査結果を取りまとめの上、本年十二月二十一日までに報告するよう指示したところでございます。
この調査の結果等によりまして措置を講ずるべきであると判断をされた場合には、密閉型の間接冷却装置への変更などの設備の改善、あるいはフィルター等によります冷却水中のダスト除去等の対策につきまして、国としても技術的な支援を行いつつ、早急に適切な対策をとるよう指導してまいりたいと考えております。
○松本(純)委員 この構造の問題というのは、その原因をそこに見ることができないという、逆に言うと、量がどうしても必要で、まずハードをつくって対応をということで、今までさまざまな施策が打たれてきたことと思うのでありますが、しかし、今、このさまざまな施設そのものの質を高めていくということもやはり大変大事なときを迎えているのではないか。
今回のこれらの問題を踏まえて、再度しっかりと検討をし直すことと同時に、もしも技術的に、運用でさまざまなことが起きるのであれば、それが未然に防げるような質的な問題というのもあわせて検討していくことが重要であると思います。どうぞこれからも、さらに量よりは質という問題での観点からも見直しをしていただければありがたいと思っているところであります。
次の質問でありますが、それによって全体のダイオキシンの削減を目指して努力をしてきているところでありますが、この量的な目標というものについて、本年の十二月から適用される新たな基準であります八十ナノグラム、これにとどまらずに、さらに早期にいわゆる国際水準に合わせてそのレベルを上げていくことも大変重要なことだと思っておりますが、この国際水準に今比較をし、我が国の水準がどのような状況にあるか、お尋ねをしたいと思います。
○小野(昭)政府委員 諸外国の排出基準は国によってさまざまでございますが、かなり厳しい基準を適用しているという国もあることは承知をいたしております。 暫定的に定めました八十ナノグラムの基準につきましては、いわゆる耐容一日摂取量十ピコグラムという研究班の提案をもとにいたしまして、かなり安全性を見積もって、その十ピコに至らないレベルでの排ガス中の濃度レベルというものに設定をしたものでございます。 ただし、新設の廃棄物焼却施設につきましては、昨年の十二月から一立米当たり〇・一から五ナノグラム、既設の施設につきましては、本年十二月から平成十四年十一月までは一立米当たり八十ナノグラム、平成十四年十二月からは一立米当たり一ないし十ナノグラムのダイオキシン類の濃度規制措置を講じたところでございます。 なお、一立米当たり〇・一から五というのは諸外国と比べまして遜色のない規制値というふうに考えております。
○松本(純)委員 日本の置かれている状況は、国土の限りある面積だとか、あるいは埋め立てる場所がなくて焼却炉に頼らざるを得ないというお国の事情があるわけでありますが、それにあわせて、世界の基準というものと比較をして、さらに日本は努力をしていかなければならない、そんな状況にあろうかと思っております。 我が国のダイオキシン類の排出基準は諸外国と比べてまだ甘いのではないかというような、そんな御指摘を持っている専門家もおりますが、このことについて厚生省としてはどのように受けとめていらっしゃるか、お考えをお伺いさせていただきたいと思います。
○小野(昭)政府委員 今先生御指摘のように、我が国の場合、最終処分場の確保というものがなかなか難しいというふうな状況がございます。そういった意味では、衛生的に処理するという観点と埋め立てるごみの量を減量するという観点から、いわゆる市町村単位でのごみ焼却処分が行われてきたわけでございます。 その結果といたしまして、諸外国に比べまして規模の小さな焼却炉が多数存在をしておりまして、このような施設におきましても実現可能な技術的水準を考慮いたしまして、先ほど申し上げましたような既存の焼却炉に対する基準値を定めたものでございます。 例えばドイツの場合、ドイツにおきましては非常に焼却炉が大型でございますが、この大型の焼却炉につきましては先ほど申し上げましたような規制を実施することといたしておりまして、このドイツなどと同程度の基準値を定めたところでございまして、諸外国に比べまして新設の基準につきましては必ずしも甘い基準になっているとは考えておりません。
○松本(純)委員 豊能郡美化センターにおきましては、当然汚染土壌が出てきてしまったということになるわけでありまして、とりあえず一時的に保管するとのことなのでありますが、汚染された土や水の処理、これは今後どのように対応していくお考えがあるのか、厚生省、環境庁、両省に御答弁をいただきたいと思います。
○小野(昭)政府委員 今回の調査結果によりますと、豊能郡美化センターの施設内には高濃度のダイオキシン類を含みます固形物あるいは液状物等が残されていることが判明をしております。これらの汚染物につきましては、当面は環境中への飛散、流出を防止するための措置を速やかに講じますとともに、早急に施設から除去し、無害化等の処理を行う必要があると考えております。
このため、九月二十一日付で、大阪府を通じまして豊能郡環境施設組合に対しまして高濃度のダイオキシン類の環境への飛散あるいは流出防止措置等を講ずるように指示したところでございます。
また、一般廃棄物処理が市町村の固有事務であることから、これらの汚染物の処理等の措置につきましては基本的には市町村が責任を持って対処すべきものでございますけれども、厚生省といたしましても、これらの汚染物が極めて高濃度であるということにかんがみまして、その適正な処理が図られますよう関係省庁及び大阪府とも連携をしながら、汚染物の飛散、流出防止等や無害化等の処理につきまして必要な対応を行ってまいりたいと考えております。
なお、汚染物の具体的な処理方法といたしましては、高温による溶融処理あるいは化学反応を用いた分解処理などの方法が想定されるわけでありますが、今後、専門家の御意見も聞きながらこれらの方法の適用可能性について検討してまいりたいと考えております。
○遠藤(保)政府委員 お答え申し上げます。 環境庁といたしましても、今回の豊能郡美化セーンターの周辺土壌の汚染というものにつきまして重大に受けとめております。したがいまして、今厚生省の方から答弁しました点と重複いたしますけれども、この処理に当たりまして飛散等をきちんと防止していくというようなための技術的な支援、さらには一時保管等に係る高濃度汚染の土壌についていかに無害化を図っていくかということ、これが非常に重要なことではないかと思います。
ただ、問題は、この無害化の技術というものがまだ基礎的な実験室段階のレベルのものであるということで、土壌汚染現場に応用できる技術段階ではないというのが実情でございます。したがいまして、これら技術、例えば熱分解法などにつきまして、今後実用化に向けまして技術的な支援を検討してまいりたいと考えております。
○松本(純)委員 固形化をして一時保管をするとか、安全な状況にするということはさまざまな手があるのだろうと思うのですが、一般的に、このダイオキシン類そのものの無害化というものについては、これを目指すことが実際にできるのかできないのか、その辺についてお考えがあればお答えをいただきたいと思います。
○小野(昭)政府委員 ダイオキシン類の無害化についてのお尋ねでございます。 確かに、安全性をより高めますためには、飛灰等に含まれておりますダイオキシン類を無害化するということは非常に重要なことだというふうに認識をいたしております。 ただ、今環境庁の方からも答弁がありましたように、いわゆる無害化に関する技術というものを開発することは非常に重要でございますが、まだ確定された技術体系に必ずしもなっているとも言えないというような点もございまして、厚生省におきましては、今年度の厚生科学研究におきまして、ダイオキシン類の微生物処理技術の研究を採択したところであります。今後とも、さまざまな方法が提案をされておりますので、これらにつきまして厚生科学研究等を用いましてそれらの評価を行っていただき、実用化に向けての努力をしてまいりたいと考えております。
○松本(純)委員 このようにできてしまったものをどうやって処理をしていくかということはもとよりでありますが、その前に、ダイオキシン類の人体に対する毒性の発現メカニズム等の解明に取り組んでいく必要も重要だと思っておりますけれども、厚生省はこの辺どのようにお考えになっていらっしゃるか、お尋ねをしたいと思います。
○松本(純)委員 また、関連をいたしまして、このダイオキシン類の人への健康影響については、動物実験から得た結果を外挿することにより評価しているとお伺いをしておりますが、一つ目といたしまして、このような動物実験による健康影響の評価について我が国における調査研究の現状がどのようになっているのか、二つ目に、最も人に近い霊長類である猿を用いた評価を行うべきであると考えるが、厚生省としてはどのように考えているか、そして三つ目に、人への健康影響評価はどのように行っていくのか、基本的な方針をお伺いをしたいと思います。
○松本(純)委員 環境庁では一斉に環境調査を行っているとお伺いをしておりますが、どのようなスケジュールで、どのような内容について、実際にどのような機関が実施をしているのか、お尋ねします。
○岡田政府委員 お答え申し上げます。
御質問のダイオキシン類の緊急全国一斉調査は、環境庁が全国的なダイオキシン類の汚染実態を把握するために、大気、水、土壌、底質等の媒体につきまして統一的な手法で把握するために行うものでございます。
本調査に当たりましては、全国四十七都道府県及び十二政令指定都市から地点選定等の御協力をいただき、試料採取やダイオキシン濃度測定につきましては環境庁の請負先である民間分析機関において実施しておるところでございまして、お尋ねの測定時期等につきましては、今年の八月から来年三月までを予定しております。
○松本(純)委員 一般廃棄物の処理は地方自治体の責任でありますが、その市町村が設置するごみ焼却施設は全国で幾つあるのか、このうち改善の必要なものは幾つあり、いつまでにどのように改善するのか、また、そのために今まで以上の予算、税制など、どのような支援措置を考えているのか、お尋ねをいたします。
○小野(昭)政府委員 市町村が設置をいたしますごみ焼却施設につきましては、本年六月末の時点での集計でございますが、全国で千六百三十五施設が稼働をしているというふうに把握をいたしております。
このうち、本年十二月から適用される当面の基準であります八十ナノグラムという基準につきましては、市町村からのこれまでの報告によりますと、実は十四施設からまだ報告がございませんが、これを除きますすべての施設におきまして、この八十ナノグラムという基準が既に達成をされております。
一方、平成十四年十二月から適用されます既存施設の恒久的な基準につきましては、現時点ではまだ達成をしていない施設が多い状況であるというふうに考えられますことから、今後、平成十四年までに、施設の改良等によりましてダイオキシン類の排出削減を図っていく必要があると考えております。
このために、市町村の設置いたしますごみ焼却施設からのダイオキシン類の排出を削減するための施設整備につきましては、従来から優先的に国庫補助の対象としているところでございます。
また、平成十一年度の廃棄物処理施設整備費につきましては、生活関連等公共事業重点化枠を含めまして、対前年度比五・三%増の千五百三十七億円を要求しているところでございます。その中で、ダイオキシン対策といたしましては七百三十二億円、対前年度比一八・三%増を盛り込んでおりまして、特に全連続炉やろ過式バグフィルターへの変更等を含みますごみ焼却施設の整備に対する緊急、特別の財政支援を実施いたしまして、ダイオキシン対策がきちんと講じられた施設の整備を促進することといたしているところでございます。
○松本(純)委員 もう時間になってしまいますので、最後に大臣にお尋ねをしたいと思います。
このように、ベトナム戦争における枯れ葉剤、これは一九六〇年代でありますが、そのころから長きにわたって問題になりながら、原因、対策、対応というのがなかなか難しいこのダイオキシン類の問題であります。
これらに対して、今までの取り組みなども踏まえて、大臣としてはこのダイオキシン対策に対し今後どのように取り組んでいかれるおつもりであるのか、大臣の御決意をお尋ねをし、私の質問を終わらせていただきます。
○宮下国務大臣 ただいま議論されておられますように、ダイオキシン問題は国民の健康に非常に影響がございまして、これを未然に防止するという建前から極めて重要な課題であると認識しております。
このため、今お話しのように、廃棄物の焼却施設のダイオキシン対策としてダイオキシン排出基準を設定しておりますし、また、この基準の遵守を指導するために、基準に適合した施設の設置、改修等に対する補助、改善のための技術的支援を実施しておるところでございます。
予算等につきましては今局長の方から御説明のありましたとおりでありますが、平成十年度の補正予算におきましても、そのほかダイオキシン対策のためのごみ焼却施設の整備事業として百二十三億円を追加計上もさせていただいております。
それから、ダイオキシン類に関する調査研究でございますが、これは極めて重要でございまして、その総合的推進を図るために、環境庁等関係省庁と密接に連携を図りながら、排出抑制技術の研究開発や人の汚染状況の把握と健康への影響評価等に取り組んでおるところでございますが、なお一層それに努力をしてまいりたい、今後とも関係省庁と連絡をして万全を期していきたいと思っております。
○松本(純)委員 どうもありがとうございました。