松本純の会議録 |
1998(平成10)年3月11日 |
第142国会-衆議院厚生委員会-3号
平成十年三月十一日(水曜日)
午前十時二分開議
出席委員 | ||||
委員長代理理事 | 船田 元君 | |||
理事 | 佐藤 剛男君 | 理事 | 長勢 甚遠君 | |
理事 | 根本 匠君 | 理事 | 金田 誠一君 | |
理事 | 山本 孝史君 | 理事 | 福島 豊君 | |
理事 | 久保 哲司君 | |||
安倍 晋三君 | 稲垣 実男君 | |||
江渡 聡徳君 | 衛藤 晟一君 | |||
大村 秀章君 | 桜井 郁三君 | |||
鈴木 俊一君 | 田村 憲久君 | |||
戸井田 徹君 | 能勢 和子君 | |||
桧田 仁君 | 堀之内久男君 | |||
松本 純君 | 家西 悟君 | |||
石毛えい子君 | 城島 正光君 | |||
土肥 隆一君 | 松崎 公昭君 | |||
青山 二三君 | 旭道山和泰君 | |||
武山百合子君 | 藤井 裕久君 | |||
吉田 幸弘君 | 児玉 健次君 | |||
瀬古由起子君 | 中川 智子君 | |||
笹木 竜三君 |
出席国務大臣 | ||||
厚 生 大 臣 | 小泉純一郎君 |
出席政府委員 | ||||
厚生大臣官房長 | 近藤純五郎君 | |||
厚生大臣官房総務審議官 | 田中 泰弘君 | |||
厚生大臣官房障害保健 福祉部長 | 篠崎 英夫君 | |||
厚生省保健医療局長 | 小林 秀資君 | |||
厚生省生活衛生局長 | 小野 昭雄君 | |||
厚生省医薬安全局長 | 中西 明典君 | |||
厚生省社会・援護局長 | 炭谷 茂君 | |||
厚生省老人保健福祉局長 | 羽毛田信吾君 | |||
厚生省児童家庭局長 | 横田 吉男君 | |||
厚生省保険局長 | 高木 俊明君 | |||
厚生省年金局長 | 矢野 朝水君 | |||
社会保険庁運営部長 | 真野 章君 |
委員外の出席者 | ||||
文部省初等中等教育局 教科書課長 | 月岡 英人君 | |||
厚生大臣官房審議官 | 大塚 義治君 | |||
労働省職業安定局高齢・ 障害者用対策課長 | 村木 厚子君 | |||
厚生委員会専門員 | 市川 喬君 |
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委員の異動
三月十一日 | ||
辞任 | 補欠選任 | |
鈴木 俊一君 | 柳沢 伯夫君 |
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三月十一日
戦傷病者戦没者遺族等援護法及び戦没者の父母等に対する特別給付金支給法の一部を改正する法律案(内閣提出第三二号)は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
戦傷病者戦没者遺族等援護法及び戦没者の父母等に対する特別給付金支給法の一部を改正する法律案(内閣提出第三二号)厚生関係の基本施策に関する件
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○船田委員長代理 松本純君。
○松本(純)委員 自由民主党の松本純でございますが、ただいま佐藤剛男議員の年金等々を初めとする御質問に引き続きまして、小泉大臣の所信に対しまして、数点お伺いをさせていただきたいと存じます。
まず初めに、少子化問題についてでありますが、これはもう既に御承知のとおりでありますが、近年、我が国では少子化が急速に進行しておりまして、一人の女性が一生の間に産む子供の数の平均、いわゆる合計特殊出生率は平成八年で一・四三となっておりますが、総人口を将来的にも維持をしていくためには二・〇八が必要と言われております。この数字を大きく下回っているところであります。
一方で、平均寿命は基本的に延び続けておりまして、平成八年で男性が七十七・〇一年、女性が八十三・五九年と、いずれも世界最高の水準となっております。そして、これらの少子化と平均寿命の伸長とが相まって、我が国では高齢化が急速に進行しており、二十一世紀半ばには国民の三分の一が六十五歳以上という、世界でも類を見ない少子・高齢社会を迎えようとしているところであります。
少子化と高齢化の進行は、労働力人口の減少を通じて経済成長の鈍化を招く可能性があるとともに、ただいまも御議論いただきました年金あるいは医療、福祉など、社会保障の分野において現役世代の負担を増大させることになります。また、子供の数の減少は、単身者や子供のいない世帯の増加といった、家族形態の変化や広い地域での過疎化の進行をもたらすほか、子供自身の健やかな成長に対する影響も懸念されるところであります。
このように、経済的にも社会的にもさまざまな影響を及ぼします少子化の問題について、今後正面から取り組んでいく必要は当然あるわけでありますが、二十一世紀の少子・高齢社会に向けて、少子化対策にどのように取り組んでいく覚悟であるのか、まず大臣の御見解をお伺いをいたしたいと思います。
○小泉国務大臣 昨年、人口問題審議会で少子化の問題を議論していただきまして、今後の少子化における対応策を今後皆様方で幅広く議論をしていただかなければならないのですが、この少子化の影響というのは、もうあらゆる制度に及んでくると思います。
我々通常の常識でも、我々の子供の時代は、男は仕事、家事育児は女の仕事というのが一般的でありまして、女性もそれを疑っていなかった。男はもちろん。ところが最近は、この考え方ではもう通用しなくなっている。男も女も、仕事も家事育児をともに分かち合って協力していこうというのが一般的になってきましたし、今委員が指摘されましたように、女性が社会進出していき、共稼ぎの世帯がどんどんふえていく。家庭環境も違ってまいりました。そういう中で、これから少子化における社会の問題というものを将来にわたって検討しながら、今までみたいに産めよふやせよというような政策をとれる時代でもありません。それぞれ、女性にしても男性にしても、自分の仕事を持ち、子供を計画的に産み育てる、そういう時代になっておりますので、高齢者の社会参加をどうしていくか。六十歳というのはもう高齢者の部類には入らないのじゃないか、むしろ六十歳現役でどうやって生かしていくか。さらに、女性が男性と同じように仕事を持ち、社会に進出していく。高齢者と女性の社会参加の広がりをどのようにとらえていくか。
そういう中で、子育てがしやすいような環境をどうやって整備していくかというのをこれから、厚生省としても、また国会においても議論をしていただき、そのような子育てしやすい環境を具体的な政策でどう打ち出していくかということを今後しっかりと検討して、それを実施に移していくことがこれから厚生省として大変大事な仕事であると認識しております。
○松本(純)委員 昨年十月に取りまとめられました厚生省の人口問題審議会からの提言においても、少子化の要因への対応としては、すべての個人が、自ら結婚や出産を望んだ場合には、それが妨げられることのないよう、結婚や出産の妨げとなっている社会の意識、慣行、制度を是正していくとともに、子育てを支援するための諸方策の総合的かつ効果的な推進を図ることが重要である。このようにされております。
特に女性の社会進出等を背景に、夫婦共働き家庭が一般化し、一方で、核家族化の進行や地域社会における近隣とのつながりの希薄化等によりまして家庭や地域の子育て機能が低下しており、こうした中で、子育てしやすい環境の整備を図るため、利用者の多様なニーズに対応できる質の高い保育サービスを提供することが重要であると考えられますが、保育施策の充実に向けての厚生省の対応についてお伺いをいたします。
○横田政府委員 先生御指摘いただきましたように、近年、共働き家庭が一般化いたしますとともに、女性の就業構造も非常に多様化してきておりまして、保育に対するニーズも非常に多様になってきております。私どもといたしましては、こうした環境変化あるいはニーズの変化に対応いたしまして、柔軟な、多様な保育サービスをどのように提供していくかということが大きな課題であると考えております。
これまでも、エンゼルプランあるいは緊急保育対策等五か年事業を策定いたしまして、多様な保育サービスの展開に努めてきたところでありますけれども、昨年におきましては児童福祉法を五十年ぶりに改正いたしまして、本年四月から施行することになっておりますが、入所方式等につきましても、従来の行政処分による措置入所というような形から、利用者が自由に選択できる利用契約型のシステムに改めるなど、大きな改正を行ったところでございます。
また十年度予算におきましても、ニーズの高い乳児保育等につきまして、限られた一定の保育所で実施する仕組みから、すべての保育所で実施できるような仕組みに改めますとともに、あるいは正規の保育時間が終わった後の延長保育等につきましても、従来は市町村の許可が一々必要だったわけでありますけれども、各保育所において自由に実施できるような仕組みに改める、あるいは保育所の開所時間につきましても、各保育所で自由に設定できるようにするとか、大きな規制の緩和、充実等を図ったところでございます。
今後とも関係省庁とも連携を密にしながら、私ども、利用者の視点に立った保育サービスの提供に努めてまいりたいと考えております。
○松本(純)委員 次に、医療保険制度についてお尋ねをしたいと思います。
医療保険制度については、かねてより抜本改革の必要性が叫ばれておりまして、与党といたしましても昨年八月に抜本改革案をまとめたところであります。
抜本改革のメニューは、国民に開かれた医療提供の実現、薬価制度の改革、新しい診療報酬体系の構築及び高齢者医療保険制度の構築など広範多岐にわたっており、国民、関係団体、関係業界にも重大な影響を及ぼすものであることから、十分に国民的な論議を行うことが必要であろうと考えます。
一方、医療費は毎年一兆円以上も増加をし続けておりまして、我が国の医療保険制度も早期に治療をしなければ手おくれになりかねません。
私は、抜本改革の早期実現に向け、全力を挙げて取り組んでいく必要があると考えますが、厚生省は医療保険の抜本改革を今後どのように進めていこうとされているのか、また、その方針について大臣にお尋ねをしたいと存じます。
○小泉国務大臣 昨年八月に抜本改革案を厚生省としてお示しし、医療保険福祉審議会を発足させまして、現在、議論をしていただいております。これは制度全般にわたる抜本改革案でありますので、当然、時間がかかります。
現在、審議会においては、診療報酬体系、薬価基準制度について審議をしていただいておりますので、すべてまとまってからというよりも、まとまったものから順次所要の改正をしていく。当面、診療報酬体系と薬価基準制度、この問題で大方の取りまとめができれば、いずれ国会でも御議論いただくと思いますけれども、この抜本改革案の方向に沿った案を各界で議論をいただきまして、国会でも御審議いただくと思いますが、今までとは違った大改革でありますので、審議会での十分な審議を経て国会に所要の改正案を提出したいと考えております。
○松本(純)委員 診療報酬体系及び薬価制度の見直しについて、審議会での検討を進めているということでありますが、さらに、その検討状況と厚生省の今後の方針についてもお尋ねをさせていただきたいと思います。
○高木(俊)政府委員 昨年の八月に与党の医療保険制度改革協議会でおまとめいただきました抜本改革案、この与党案に基づきまして、医療保険福祉審議会の制度企画部会で昨年の十一月以来御審議をいただいております。相当精力的に御審議をいただいておりますので、既にもう十二回にわたる審議をお願いをしてまいりました。
そういった中で、ただいま大臣から御答弁ございましたように、まず診療報酬体系の見直し、それから薬価基準制度の見直し、この二つの課題から御検討に入っていただいております。かなり各論的な問題から入っていただいたような格好になりますけれども、これはそれぞれ、見直しを行うということになりますと、専門家も含めた作業に相当時間を要するということでございます。そういったことから、この問題から御審議をいただいております。
既に、診療報酬体系につきましては一わたりの御議論をいただきまして、そういった意味ではある程度、関係の議論の整理を終えたところであります。しかし、かなり広範多岐にわたる問題でもありますし、そういった意味ではいろいろ、意見がやはりまだ一本化できない、あるいはそれぞれの考え方が出されておりますので、そういった意味で、一わたりの御議論を踏まえて、またさらにそれぞれ、とりわけ意見が分かれている問題につきまして議論を深めていただく、こういうことにしております。
それから、その後、薬価基準制度の見直しについて御議論をいただいておりまして、これもかなり議論が進んでおります。次回は、この薬価基準制度の見直しに当たりまして、関係団体、医薬品のメーカーあるいは卸関係、これは国内の団体ばかりではありませんで、アメリカあるいは欧州における関係業界の団体、こういった方々からのヒアリングを行うという段取りにいたしております。こういったヒアリング等を受けまして、さらに薬価基準制度のあり方についての審議を深めていただきたい、このように考えております。
そういった意味では、私どもとして、やはりこれからまだ時間を要するというふうに考えておるわけでございますけれども、これらの審議の取りまとめができましたならば国会においても御議論いただきたい、このように考えております。
さらには、この後の問題として、老人保健制度のあり方、この問題についても御議論をいただくことになるわけでございまして、そういった意味では、抜本改革全体の姿が見えるまでにはまだ慎重な御審議をお願いをするということで考えております。
○松本(純)委員 昨年の九月、健保法の改正より、国民の皆様は大変心配をしておりまして、受診抑制などというような声も聞こえるような、そんな状況にありますが、どうぞ国民の皆様を中心に、理解、納得のいく、そんな制度ができ上がるように御努力をいただきますようお願いを申し上げたいと思います。
医療費の増加という点では、医療供給サイドの問題についてもこれは検討する必要があると思いますが、都道府県知事は、医療計画において、地域の医療ニーズに基づき必要病床数を定めますが、既に必要病床数に達している地域において新たな病院の開設の申請があった場合には、都道府県知事は医療法に基づき、都道府県医療審議会の意見を聞いた上で開設中止等の勧告を出すことができるとされております。
しかしながら、昨年来各地で、都道府県知事の勧告にもかかわらず、勧告の強制力がないからといって病院の開設が強行されようとする動きがあります。このような動きは、一部の病床過剰地域が全体としての医療費を押し上げることとなり、医療費の適正化の観点や健康保険の健全な運営の観点からもゆゆしき問題であると考えますが、厚生省としてこの問題にどのように取り組むのか、御見解を伺います。
○高木(俊)政府委員 御指摘のとおり、今全国各地でそういったトラブルが起きております。ただ、私どもとしましては、医療についてもこれは経済行為がございますから、そういった意味で、経済的な行為を行うに当たっては、できるだけ規制とかあるいは制約というものは少ない方がいいのではないかという基本的な考え方に立っておりますけれども、ただ問題は、そういった中で、医療について申し上げますと、これはいろいろ経済学的にも言われているところでございますけれども、ほかの経済行為と比較して、いわゆる市場メカニズムといいますか、そういったものが働きにくいというふうに言われておるわけであります。
そういった中で、医療費という観点から見ますと、ベッド数と入院の医療費というものはかなり強い相関関係が見られます。そういった意味で、私どもとしましては、やはり既に病床が過剰である、それからまた、都道府県知事が、そういった中で、地域においてこれ以上増床等は要らないというようなケースにつきましては、医療保険サイドにおいても、いわゆる医療保険制度、保険医療機関としての契約は結ばないというような方針をとっておるわけであります。
問題は、そういった中で、必要な医療機関なり、あるいはまた良質な医療機関というものの参入というのが抑制されるということになるのではないかという懸念があるわけでありますけれども、こういった場合の判断としましては、それぞれ、その地域における都道府県の医療審議会なり、あるいはまた都道府県知事がその必要性というものは御判断されて、必要がないという場合に勧告がなされる、こういうふうに考えておるわけでございます。
そういった意味で、勧告がなされない場合には、これは保険医療機関としての契約をするということで考えておりますけれども、地域において必要がないという判断がなされたケースについては、これは私どもとしては保険医療機関としての契約はしない、このような方針で考えております。
そういった内容につきまして、必ずしも現行法上、明文ではっきりしないという面が指摘されておりますので、このたび御提案しております国民健康保険法等の一部を改正する法律案の中で、この関係についてきちっと明文化をするというような形で御提案を申し上げているところでございます。
○松本(純)委員 終わります。ありがとうございました。