松本純の会議録 |
1997(平成9)年5月28日 |
第140国会-衆議院厚生委員会-30号
平成九年五月二十八日(水曜日)
午前十時一分開議
出席委員 | ||||
委員長 | 町村 信孝君 | |||
理事 | 佐藤 剛男君 | 理事 | 住 博司君 | |
理事 | 津島 雄二君 | 理事 | 長勢 甚遠君 | |
理事 | 岡田 克也君 | 理事 | 山本 孝史君 | |
理事 | 五島 正規君 | 理事 | 児玉 健次君 | |
安倍 晋三君 | 伊吹 文明君 | |||
江渡 聡徳君 | 大村 秀章君 | |||
奥山 茂彦君 | 嘉数 知賢君 | |||
桜井 郁三君 | 鈴木 俊一君 | |||
田村 憲久君 | 根本 匠君 | |||
松本 純君 | 青山 二三君 | |||
井上 喜一君 | 池坊 保子君 | |||
大口 善徳君 | 鴨下 一郎君 | |||
旭道山和泰君 | 坂口 力君 | |||
福島 豊君 | 桝屋 敬悟君 | |||
丸谷 佳織君 | 矢上 雅義君 | |||
米津 等史君 | 石毛えい子君 | |||
川内 博史君 | 肥田美代子君 | |||
瀬古由起子君 | 中川 智子君 | |||
土屋 品子君 | 土肥 隆一君 |
出席国務大臣 | ||||
厚 生 大 臣 | 小泉純一郎君 |
出席政府委員 | ||||
厚生政務次官 | 鈴木 俊一君 | |||
厚生大臣官房長 | 近藤純五郎君 | |||
厚生大臣官房総務審議官 | 中西 明典君 | |||
厚生省児童家庭局長 | 横田 吉男君 |
委員外の出席者 | ||||
文部省生涯学習局青少年教育課長 | 尾山眞之助君 | |||
文部省初等中等教育局中学校課長 | 加茂川幸夫君 | |||
文部省初等中等教育局幼稚園課長 | 土居 正君 | |||
労働省職業安定局雇用政策課企画官 | 岡崎 淳一君 | |||
厚生委員会調査室長 | 市川 喬君 |
─────────────
委員の異動
五月二十八日 | ||
辞任 | 補欠選任 | |
桧田 仁君 | 下地 幹郎君 | |
大口 善徳君 | 池坊 保子君 | |
吉田 幸弘君 | 丸谷 佳織君 | |
家西 悟君 | 川内 博史君 | |
枝野 幸男君 | 肥田美代子君 |
同日 | ||
辞任 | 補欠選任 | |
下地 幹郎君 | 桧田 仁君 | |
池坊 保子君 | 大口 善徳君 | |
丸谷 佳織君 | 旭道山和泰君 | |
川内 博史君 | 家西 悟君 | |
肥田美代子君 | 枝野 幸男君 |
同日 | ||
辞任 | 補欠選任 | |
旭道山和泰君 | 吉田 幸弘君 |
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
児童福祉法等の一部を改正する法律案(内閣提出第七一号)(参議院送付)
――――◇―――――
○町村委員長 これより会議を開きます。
内閣提出、参議院送付、児童福祉法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。松本純君。
○松本(純)委員 戦後半世紀が過ぎ、二十一世紀を目前に控え、我が国は大きな転換期を迎えております。それは、経済はかつての高度成長時代から成熟した安定成長の時代へと移行しており、一方で急速な少子・高齢化が進む中で、活力ある社会を維持していくためにも、たくさんの課題に対して、一つ一つ着実に答えを出していかなければならないということであります。とりわけ、合計特殊出生率が急激に低下し、平成七年には一・四二となっております。これは、現在の人口を将来も維持するために必要な二・〇八を大きく下回るという憂慮すべき状況になっておりますことは御高承のとおりであります。
子々孫々に託し得る新たな社会の構築を目指し、健やかに子供を産み育てることのできる環境づくりのためにも、戦後間もない昭和二十二年に制定され、五十年という節目の年に改正をされるということは、まことに時宜を得たものと存じます。既に参議院を初め、多くの同僚議員からお尋ねいたしたこともあるかと存じますが、実務的な側面から質問させていただく予定でありますので、審議の経過の中で検討の進んだものは、現時点におけるもので結構でございますので、お答えいただければと存じております。
それでは、まず初めに、保護者の保育所選択の前提として、保育所に関する情報の周知が最も大切になると思います。また、私の選挙区でもあります横浜市等都市部では、待機児童が多く、選択できる状況にはないと聞いておりますが、法改正を効果的に実施するためには、過疎の地域と都市部では利用の仕方も異なってくるものと考えられます。こうした状況を踏まえて、国においては、実態に合わせて選択しやすいようにすべきだと思いますが、いかがでしょうか。
○横田政府委員 保育所の入所方式を措置方式から利用契約型に変更することに伴いまして、その前提となります保育所に関する情報の提供に資すということが大変重要になるのではないかと私ども思っております。
この点に関しましては、保護者が保育所を選択しやすいように、できるだけ詳細な情報を提供するようにいたしたいと考えております。また、周知方法につきましても、基本的には申し込みが市町村になりますので、市町村に行きましたら、選択に必要な情報をファイルなりなんなりで閲覧できるようにいたしますとともに、市町村広報の充実、あるいは最近におけるパソコンネットワーク等々も活用いたしまして周知が図られるように、それぞれの地域の実情に応じて工夫してもらうようにしてまいりたいと考えております。
それから、先生御指摘いただきましたように、保育所入所につきましても、大都市と過疎地域においては極めて大きな違いがございまして、一つ一つの地域の特性ごとに見ていく必要があると私ども考えております。
大都市におきましては、低年齢児等について待機待ちも多いわけでありますけれども、よくよく見てみますと、入所率としてはまだあきがあるという地域も多いわけであります。そういったことで、どういった原因からそういうミスマッチが出ているのかというような実態もよく調べまして、一つ一つ待機児童をできるだけ解消していくということが必要ではないかと思っております。
また、今回、従来の措置から利用契約型ということで、入所の申し込みがあった場合には、市町村としては保育サービスの提供をしなければならないということが義務づけられることになりますので、そういった意味におきましても、保育サービスの提供に対する市町村の努力義務というのは従来より強まるのではないかというふうに考えているところでございます。
○松本(純)委員 中央児童福祉審議会の答申では、延長保育や一時的保育について利用者負担の考え方を打ち出しておりますが、都市部においては、就労の形態も多様であり、延長保育や一時的保育の利用者は今後増加するものと思われますが、これらの利用者負担をどのように考えているのかをお尋ねします。
○横田政府委員 通常の保育時間を超えて保育を必要とするいわゆる延長保育に対する需要も、最近、就労の多様化に伴って大変ふえております。私ども、この延長保育につきましては、現在、緊急保育対策等五か年事業におきまして、その拡大を図っているところでございます。
ただ、現在の延長保育事業が市町村の補助事業として行われているということもございまして、保育所の方において実施したくても市町村の承認が得られないといったような批判もございます。また、利用者として、突然三十分なり一時間おくれるということで延長保育の延長をお願いしたいというようなことがあっても、これは市町村の許可が要るというようなことで、なかなか柔軟な対応がしにくいといったような指摘がされております。
そういったことで、この推進を図っていく上におきまして、どうしていくかという実施方法そのものにつきましては、延長保育自体の規制を緩和して、施設が自由にやれるようにするというような方式、それから、現在のとおり市町村の事業として続けていくべきであるというような御意見もあります。こうした中で、私ども、具体的な仕組みにつきましては、十年度予算編成におきまして、審議会等の意見も聞きながら検討してまいりたいと考えております。
○松本(純)委員 保育料については、参議院厚生委員会の決議にもあったように、現行水準を低下しさせないように配慮するとともに、法改正後の平成十年度から地方自治体が適正な保育料の設定ができるよう、その事務手続等を考えるとき、国の考え方を早く示しておく必要があると思いますが、いつごろまでにお示しいただけるのか、お尋ねします。
○横田政府委員 現段階、国が定めておりますいわゆる保育料基準額、これは地方公共団体との間の精算基準といったものでございまして、具体的な保育料そのものにつきましては、各市町村が決めることになっております。
ただ、今回の改正によりまして、保育料についての従来の考えが、所得に応じた応能負担から、年齢別の保育コストを基礎といたしまして家計に与える影響も考慮して決めるというふうに変わってまいりますので、これに伴う精算基準としての保育料基準額を私どもといたしましてもどうするかというのが一つの課題であります。
基本的には十年度の予算編成においてこれは決まってくるわけでありますが、御指摘いただきましたように、各都道府県におきましてもそれぞれどのような保育料額を設定するかということ、あるいは利用者にとっても大きな関心事でございますので、どういった形でできるだけ早くしてくれという要望にこたえられるか、検討してまいりたいと考えております。
○松本(純)委員 現在、三歳以上児の完全給食については、措置費に組み込まれていないことから、実施されていないのが実情でありますが、現代の食生活を考えた場合、主食は家庭から持参させ、副食は保育所でつくるということは、決して自然とは言えず、また合理的とも思われません。三歳未満児と同様に、完全給食とすることが合理的と思われますが、いかがでしょうか。
また、現行では、給食をすべて自前の保育所で提供することとなっておりますが、規制緩和の一つとして給食センターや外部への委託なども考慮していただければと思いますが、いかがでしょうか。
○横田政府委員 保育所の給食につきましては、これまでは家庭と保育所が一体となって乳幼児を保育するというのが保育本来の趣旨であるということで、三歳以上の児童につきましては、保護者に余り手のかからない主食は持参していただきまして、副食については、保育所において児童全員に栄養面を考慮して給食を行っているというようなことでございます。
この三歳以上児の主食を措置費の中に入れることにつきましては、保護者の便利になるということは間違いないと思いますけれども、その一方で、保護者の中には主食は持参させたいという方もおられます。また、それを措置費に組み込む場合には、保育料へのはね返りということもございますし、調理の場合の人件費等のさまざまな点を含めまして、慎重に検討したいと考えております。
それから、調理の方法でございますけれども、従来、保育所につきましては、子供一人一人の発達段階に応じてきめ細かい調理が必要だということで、施設内調理が望ましいということで実施してきているわけでありますけれども、御指摘いただきましたように、これを規制緩和の観点等から給食センターあるいは外部へ委託することもできるようにすべきだという御意見もございます。この辺につきまして、私ども、地域の実情あるいは施設の自主性をどうするかといった点も踏まえながら、今後、審議会の御意見も伺いながら検討してまいりたいと考えております。
○松本(純)委員 施設入所等の措置の決定についてお尋ねをいたします。
「都道府県知事は、施設入所等の措置の決定及びその解除に当たって、一定の場合には、都道府県児童福祉審議会の意見を聴かなければならない」となっておりますが、「一定の場合」とはどういう場合を想定されているのか、お尋ねをいたします。
また、児童の措置に当たっては、実際の場面では、例えば親が急病になったり事故に遭ったり死亡したり、また親による児童虐待など、児童のため緊急かつ迅速な対応を迫られる事例も多くあって、都道府県児童福祉審議会に諮る余裕がない場合も考えられますが、このようなときにはどのように対処するよう考えているのか、お尋ねをいたします。
○横田政府委員 入所等の措置の決定につきまして、今回、児童相談所が行うのをバックアップする見地から、都道府県の児童福祉審議会の中に専門部会等を設けていただきまして、その意見も一定の場合には聞かなくてはいけないということにしているところでございますが、この「一定の場合」といたしまして、現在、私ども、施設入所措置を行う場合あるいは児童福祉司による指導というようなことで、行政処分に係る場合を考えておりますけれども、具体的にどこまでをその対象とするかということにつきましては、余りたくさんかけることになりましても実質的な御審議ができないとか、事務的にも大変さまざまな問題がございますので、公共団体等の関係者の意見も十分お伺いしながら、その具体的なあり方を検討してまいりたいというふうに考えております。
それから、緊急等の場合におきましては、審議会の意見を聞く余裕がないわけでありますので、その場合には、そういった措置をしておいた後になりまして審議会の方に御意見を聞くとか報告するとか、そういった形を考える必要があると考えております。
○松本(純)委員 児童家庭支援の施設附置についてお尋ねをいたしたいと思います。
「児童家庭支援センターは、」「児童福祉施設に附置する」となっておりますが、都市部の施設の多くは定員いっぱいまで児童が入所しており、支援センターとして活用できる余裕スペースがない場合が多いことと思われますが、支援センターを積極的に推進するためにも、施設が増改築等により対応しようとする場合には、施設整備費等の補助をお考えになっていらっしゃるのか、お伺いをしたい。
また、敷地に余裕がない施設の場合には、児童家庭支援センターの要件を満たすのであれば、別の敷地なり別棟なりでも設置できるものと考えてよいのでしょうか。
○横田政府委員 身近なところで相談に応ずる施設といたしまして、今回の改正において、児童福祉施設に児童家庭支援センターを附置することとするとしておりますけれども、これは、一つは、民間施設の活用という意味合い、それから、これまで地域に根差しましていろいろな相談指導を行ってきております施設のノウハウの活用、それから、夜間等の相談も考えられるわけでありますが、そういった夜間や緊急時の対応、一時保護に当たっても本来の施設が活用できるのではないかというようなことからでございます。
この設置に当たりまして、入所施設の方にスペースの余裕がある場合にはそれを活用していただいても差し支えないと考えておりますし、余裕がない場合におきまして、増改築をすることになりますが、その場合の施設整備費補助等につきましては、十年度予算編成の過程で検討してまいりたいと考えております。
それから、附置する場所でございますが、別棟あるいは別の敷地に設置してもよいかということでございますけれども、個々の状況に照らしまして、本来の施設機能との連携が十分に確保される場合には、そういった場合についてもよいのではないかと思いますけれども、具体的な基準につきましては、関係者の意見もお伺いして検討してまいりたいと考えております。
○松本(純)委員 それでは、最後に、小泉大臣に質問をさせていただければと存じます。
教護院が、児童自立支援施設に改められ、学校教育を導入することが予定されておりますが、具体的にどのような方式で行うことを考えていらっしゃるのか、お聞かせをいただきたい。
また、導入に当たって、厚生省と文部省との調整を行われたと聞いておりますが、スムーズな移行が図られるよう、各都道府県に対して、どのようなタイミングで、どのような指導をされようとお考えになっているのか、お尋ねをいたします。
介護保険関連三法、健康保険法、臓器移植法を初めとして大変重要な法案を審議してきたところであり、一方で、橋本内閣においては六つの改革を進めようとしているところでもありますが、今回の児童福祉法の改正については、社会福祉のあり方を含め果断に決断されている小泉大臣におかれましては、御所見を承ることができればと存じております。
以上で、私の質問を終わります。
○小泉国務大臣 入所児童について学校教育が実施されるようにという改正がなされたわけでありますが、厚生省としては、できるだけ早くその学校教育が実施されるように、地方公共団体、文部省と連携をとって努力をしていきたいと思いますが、その実施方法については、地域によって実情があると思います。地元の小中学校へ通えるのか、あるいはその施設内に教室を持つのか、いろいろ形態が地域の実情によって違うと思いますので、その実情に合わせて、よく連携をとりながら、具体的な実施方法については検討していきたいと思います。
○松本(純)委員 ありがとうございました。
以上で質問を終わります。