松本純の会議録

1997(平成9)年5月26日

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第140回国会-衆議院決算委員会第二分科会-1号

 本分科会は平成九年五月十五日(木曜日)委員会において、設置することに決した。

五月二十三日
 本分科員は委員長の指名で、次のとおり選任された。

田邉 國男君  滝  実君
根本  匠君  西村 章三君
若松 謙維君  正森 成二君

五月二十三日
 根本匠君が委員長の指名で、主査に選任された。

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平成九年五月二十六日(月曜日)
 午前九時開議

出席分科員
主 査  根本  匠君
岸田 文雄君  田邉 國男君
滝   実君  松本  純君
井上 義久君  池坊 保子君
中川 正春君  西川 知雄君
桝屋 敬悟君  若松 謙維君
正森 成二君
兼務 石井 紘基君  兼務 枝野 幸男君
兼務 石井 郁子君  兼務 辻  第一君
兼務 矢島 恒夫君  兼務 岩國 哲人君

出席国務大臣
文 部 大 臣  小杉  隆君
厚 生 大 臣  小泉純一郎君
労 働 大 臣  岡野  裕君

出席政府委員
文部大臣官房長 佐藤 禎一君
文部省生涯学習局長 草原 克豪君
文部省初等中等教育局長 辻村 哲夫君
文部省教育助成局長 小林 敬治君
文化庁次長 小野 元之君
厚生政務次官 鈴木 俊一君
厚生大臣官房総務審議官 中西 明典君
厚生省健康政策局長 谷  修一君
厚生省保健医療局長 小林 秀資君
厚生省生活衛生局長 小野 昭雄君
厚生省薬務局長 丸山 晴男君
厚生省老人保健福祉局長 羽毛田信吾君
厚生省児童家庭局長 横田 吉男君
厚生省保険局長 高木 俊明君
厚生省年金局長 矢野 朝水君
労働省労働基準局長 伊藤 庄平君
労働省婦人局長 太田 芳枝君

分科員外の出席者
大蔵省主計局司計課長 田頭 基典君
文部省初等中等教育局幼稚園
課長 土居  正君
文部省高等教育局医学教育課長 寺脇  研君
建設省都市局都市計画課
土地利用調整官 笹井 俊克君
会計検査院事務総長官房審議官 中村 修三君
会計検査院事務総局第二課長 諸田 敏朗君
会計検査院事務総局第四局長 小川 光吉君
会計検査院事務総局第五部長 森下 伸昭君
環境衛生金融公庫理事長 坂本 龍彦君
決算委員会調査室長 天野  進君

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分科員の異動

五月二十六日
 辞任        補欠選任
 田邉 國男君  松本  純君
 西村 章三君  池坊 保子君
 若松 謙維君  太田 昭宏君
 正森 成二君  中島 武敏君

同日
 辞任       補欠選任
 松本  純君  岸田 文雄君
 池坊 保子君  田中 慶秋君
 太田 昭宏君  中川 正春君
 中島 武敏君  正森 成二君

同日
 辞任       補欠選任
 岸田 文雄君  田邉 國男君
 田中 慶秋君  斉藤 鉄夫君
 中川 正春君  桝屋 敬悟君
 正森 成二君  藤田 スミ君

同日
 辞任       補欠選任
 斉藤 鉄夫君  原口 一博君
 桝屋 敬悟君  井上 義久君
 藤田 スミ君  正森 成二君

同日
 辞任       補欠選任
 井上 義久君  大野由利子君
 原口 一博君  西川 知雄君

同日
 辞任       補欠選任
 大野由利子君  若松 謙維君
 西川 知雄君  西村 章三君

同日
 第一分科員枝野幸男君、岩國哲人君、第三分科員石井紘基君、第四分科員石井郁子君、辻第一君及び矢島恒夫君が本分科兼務となった。

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本日の会議に付した案件

 平成六年度一般会計歳入歳出決算
 平成六年度特別会計歳入歳出決算
 平成六年度国税収納金整理資金受払計算書
 平成六年度政府関係機関決算書
 平成六年度国有財産増減及び現在額総計算書
 平成六年度国有財産無償貸付状況総計算書
 平成七年度一般会計歳入歳出決算
 平成七年度特別会計歳入歳出決算
 平成七年度国税収納金整理資金受払計算書
 平成七年度政府関係機関決算書
 平成七年度国有財産増減及び現在額総計算書
 平成七年度国有財産無償貸付状況総計算書
 (文部省、厚生省所管、環境衛生金融公庫及び労働省所管)

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○根本主査 以上をもちまして厚生省所管、環境衛生金融公庫の説明は終わりました。

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○根本主査 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。松本純君。

○松本(純)分科員 自民党の松本純でございます。よろしくお願いをいたします。
 それではまず初めに、健康保険法改正の論議となったのは薬剤負担の新設でありましたが、特に、薬価基準は改正の都度引き下げられてきたにもかかわらず薬剤費が減らない理由として、薬価が下がると医療機関は高薬価品に切りかえてしまう、いわゆる高薬価品へのシフトが指摘されました。このため、一日薬価が一定額以下の場合は薬剤負担はゼロとするなどの工夫がなされたわけであります。
 そこで、低薬価品の活用を推進するとした場合、すぐに考えつくのは後発品、いわゆるゼネリックなどとも言われておりますが、低薬価の後発品の活用であると思います。
 そこで、御質問いたしますが、国民医療費のうち薬剤費は約八兆円と言われておりますが、先発品と後発品の市場のシェアはどのような割合になっているか、お尋ねいたします。

    〔主査退席、滝主査代理着席〕

○丸山政府委員 医薬品市場の中で、先発品と後発品の市場のシェアでございます。
 後発品メーカーの国際会議、平成七年に国際ゼネリック会議が開かれまして、そこに我が国の関係業界から提出した資料によりますと、生産金額ベースで我が国の後発品シェアが七%程度という資料が提出をされておるところでございます。
 また、残りは基本的に先発品でございますが、その中には局方品でございますとか漢方薬等、恐らく一割強が含まれておりまして、これらにつきましては先発品と後発品の区別が困難なものでございます。したがいまして、残り八割強が基本的には先発品であろうかというふうに考えている次第でございます。

○松本(純)分科員 現在、国立病院の支出のうち、薬剤費はどれぐらいの額になりますか、お尋ねします。

○小林(秀)政府委員 平成七年度決算におきます国立病院特別会計の総支出済み額は一兆二百四十三億円でありますが、そのうち医薬品等購入費に係る支出済み額は二千三百二十八億円、二二・七%となっております。
 なお、この医薬品等購入費の中には注射針、レントゲンフィルムなど医療用の消耗品が含まれておりまして、正確な医薬品のみの購入額は把握をしておりません。

○松本(純)分科員 御当局にお伺いをしたところ、この薬剤費中の先発品、後発品の使用状況はつかんでいないようでありますが、二百五円以下の記載省略などを含め、新しい制度をつくっていこうという今の時期、もっと現状を把握できるシステムづくりというものも大変大事だと思っております。今後の節約のためにも、さまざまな方法で、その実態をつかめるような手続、方法をぜひまた御検討いただきたいと思っております。
 例えば、次の四品目の医薬品は現在大変繁用されており、また後発医薬品が数多く市販されているものでありますが、これらの医薬品を例にとって計算をさせていただきますと、次のような状況になります。
 平成七年度の薬事工業生産動態統計年報から見た先発品と後発品の影響額等によりますと、不整脈用剤であります塩酸プロプラノロール錠十ミリグラム、生産額は二十四億三千六百八十六万円、生産数量は一億六千百五十一万錠になっています。このすべてを先発品のインデラル錠十ミリグラムを使ったとすると、薬価は二十一円八十銭ですから、生産数量と掛け合わせ三十五億二千九十六万円となります。また逆に、すべてを後発品である塩酸プロプラノロール錠十ミリグラム錠−GEを使ったとすれば、薬価は八円七十銭ですから十四億五百十五万円となり、先発品、後発品の差が二十一億一千五百八十万円となります。
 同様に、血管拡張剤であります塩酸ジルチアゼム錠三十ミリグラムの生産金額が百三十四億六千二百四十二万円、生産数量は九億一千四百五十五万錠。このすべてを先発品でありますヘルベッサー錠に置きかえると、薬価が二十一円五十銭ですから百九十六億六千二百九十一万円となり、後発品、塩酸ジルチアゼム錠三十ミリグラム錠−GE、薬価八円六十銭の場合の七十八億六千五百十六万円に比べると、その差が百十七億九千七百七十四万円となります。
 またさらに、酵素剤製剤でありますセラペプターゼ錠十ミリグラムの場合は、生産金額百三億二千七十七万円、生産数量は三億八千八百七万錠。このすべてを先発品のダーゼン錠十ミリグラムを使用したとすれば、薬価三十九円でありますから百五十一億三千四百九十二万円となり、すべてを後発品のセラペプターゼ錠十ミリグラム錠−GEを使うと、薬価十五円六十銭の総額は六十億五千三百九十七万円となり、その差は九十億八千九十五万円となります。
 四つ目に、代謝拮抗剤、いわゆる抗がん剤でありますが、一般名フルオロウラシル錠五十ミリグラムの場合は、生産金額九十六億六千四百五十七万円、生産数量が二千八百三十三万錠になっておりまして、このすべてに5−FU錠50協和という先発品を使ったとしますと、薬価が三百七十八円九十銭ですから総額は百七億三千六百八十八万円になり、逆にすべてをルナポン錠50(沢井)を使うとすると、薬価百八十八円三十銭ですからその金額は五十三億三千五百八十五万円となり、先発品との差は五十四億百三万円となります。
 以上四種類を取り上げてみても、大変大きな差が先発品と後発品の中にあることになるわけでありますが、いずれも心臓用薬、消炎剤、抗がん剤などの薬で、それぞれの先発品は大変有名なプランド品であり、ほとんどの国立病院が先発品を使用していると思います。
 ですから、もしこの四品目の薬だけでも先発品から後発品に切りかえたとしたら、全体で二百八十三億九千五百五十四万二千円の削減が可能であり、薬剤費を大幅に節約できることになります。もしすべての医療機関が大部分の医薬品を後発品の使用に切りかえていったなら、八兆円の薬剤費はもとより、国立病院の二千三百二十八億円の薬剤費についてもあっという間に、半減とは言わないまでも、相当の節約ができ、薬剤負担の新設などの必要もなくなるかもしれません。
 このような可能性を秘めた後発品について、基本的考えをお聞かせいただければ幸いでございます。

○高木(俊)政府委員 価格の面では今先生御指摘のような形になるわけでありますが、実際には、我が国においては後発医薬品の使用は余り進んでいないというのが実態でございます。
 なぜ進まないのかということですが、薬事法上は有効性あるいは安全性等に関しては同等なものであるということで承認をされておるわけであります。にもかかわらずなかなか使用が進まない。これは、一つには薬価基準制度そのものに原因があるということがあろうと思います。
 それからまた、薬を使用していらっしゃる医療機関あるいは医師の方々のビヘービアといいますか、そういったものにも原因があるというふうに言われております。例えば、医薬品を使っておるお医者さんの立場からいたしますと、やはり御自分が信頼のできる薬を使うということでありますし、また企業のサイドにおける情報の提供、そういう信頼にかかわるわけでありますがそういった問題、サービス等が充実しておるかどうかというようなこともございます。そのようなことで、なかなか進まないというふうに言われておるわけであります。
 ただ、私どもとしては、保険財政あるいは国民の医療費に対する負担というようなことを考えますと、有効性、安全性等に関して同等なものであるということであるならば、やはりこの後発品の使用というものがもっと促進されてしかるべきではないかというふうに考えております。
 これが薬価基準制度そのものに内在しておるという面もございますから、そういった意味では、医療保険制度の抜本的な改革を検討しておりますが、その際には、薬の価格については市場取引の実勢にゆだねるという原則に立ちまして、根本的に改めていきたい。そういった中で、我が国における薬のシェアというものは非常に高い状況でありますので、そういったものの是正ということに向けて努力をしてまいりたいというふうに考えております。

○松本(純)分科員 そこで、このようにもし後発品の使用を進めていったら大幅に薬剤費支出を節約できることがわかっているにもかかわらず、私が承知をしている限りでありますが、国立病院や大学病院はほとんど後発品を使用していない。後発品といっても厚生省が承認した医薬品なわけですから、品質的には確認されていると思うのでありますが、後発品の使用について国立病院や大学病院など大きな病院がこれを使うことをちゅうちょしてしまう理由は、大きく分けて三つあるのではないかなと思っております。
 第一に、後発メーカー製品の品質は大丈夫かという問題、第二に、後発品メーカーの医療機関に対する情報提供能力が極めて低いこと、そして第三に、供給量が少ないこと等であると思います。
 例えば薬事法では、製薬会社は、医薬品の副作用の情報収集、厚生大臣への報告義務が規定されておりますが、現在、年間、製薬企業からはどれぐらいの数の報告が上がってきているのか、そのうち後発メーカーからの報告はどれぐらいの割合になるのか、お尋ねをします。

○丸山政府委員 製薬企業からの副作用報告件数は、平成八年度一万六千八百三十一件でございます。  これらの中で、どの程度の割合で後発メーカーからの報告が含まれてい
るかどうかということでございますけれども、平成八年度の報告につきまして、新薬開発メーカーの団体であります日本製薬工業協会に加盟している企業からの報告が、全体の九八%程度でございます。したがいまして、これから推定いたしますと、後発メーカーからの報告件数は二%程度あるいはそれ以下ということでございまして、後発品メーカーの生産金額に占めるシェア等から比べまして、極めて少ない状況ではないかと考えております。

○松本(純)分科員 この四月に薬剤師法が改正されて、薬剤師の患者に対する情報提供義務が課せられましたが、十分な情報を提供できないというような後発品を国立病院がもっと使用しろなどというのは無理なことだと思います。後発メーカーの副作用情報の収集や提供活動をもっと強化する必要があると思いますが、いかがでしょうか。

○丸山政府委員 御指摘のとおりでございまして、副作用情報の収集、提供活動につきましては、医薬品メーカーでありますれば、先発、後発を問わず、これらの活動の強化の必要があるわけでございまして、昨年の薬事法改正によりまして、医薬品の市販後調査の基準、GPMSPの遵守を後発品メーカーを含めて製造業者などに義務づけ、本年四月から施行をされているところでございます。
 この医薬品の市販後調査基準におきましては、副作用情報の収集あるいは提供活動などの市販後調査を適切に行わせるために、市販後調査の社内管現実施体制の整備でありますとか職員の訓練などを製造業者などに義務づけておりまして、この市販後調査基準の遵守の強化によりまして、適切な市販後調査の確保を図るということを通じまして、副作用情報の収集あるいは提供活動の強化を図ってまいりたいと考えているところでございます。

○松本(純)分科員 最近、医薬分業が進んできておりますが、後発品の処方せんが回ってくると一般の卸には品物がないという場合がほとんどで、保険薬局はその入手に大変苦労をしております、こんな声をたくさん聞いておるのであります。また先発品は百錠入り等の小包装が市販をされておりますが、後発品になりますと三千とか五千とかいう包装になってしまうと言われております。
 このような実態を厚生省では把握をしていらっしゃいますか。

○丸山政府委員 後発品における小包装医薬品の供給体制の問題でございますけれども、従来から、小包装の医薬品の供給に円滑を欠くという指摘が中央社会保険医療協議会等においても強くなされておるところでございまして、後発品メーカーに対しまして、薬価基準収載医薬品を小包装で供給するように従来から指導をしているところでございます。
 昭和五十九年には、小包装単位につきまして、カプセルですと六百錠以下の包装単位を供給することといったような指導をしておりますし、平成四年にはそれを百錠単位以下というふうに改善をしているところでございます。
 さらに、都道府県の衛生部業務主管課に、保健医療機関あるいは保険薬局からの苦情や相談を受理して、卸売業者等への小包装医薬品の供給につきましての必要な連絡調整を行う窓口を設置するといったような対応をしているところでございます。

○松本(純)分科員 薬価基準改革について、中医協は、平成七年十一月に厚生大臣に対し建議書を出していますが、「長期収載医薬品の価格設定」の項で「有効性、安全性が同等でより安価な医薬品の使用を促進し、併せて薬価基準制度の簡素合理化を図るため、一般名収載を含む新たな価格設定方式の導入等について、早急に検討を行い、平成九年度から実施すべきである。」としております。
 厚生省は、数年前から、いわゆるGE収載、ゼネリック収載ということを進められておりますが、このGE収載や、中医協の建議の一般名収載を進めるべきとの趣旨は、後発品の使用を進めるということでありますか。また、違うとすれば何なのか、お尋ねをいたします。

○高木(俊)政府委員 平成七年十一月の中医協の建議でありますが、これはまさに先生御指摘のとおり、有効性あるいは安全性が同等であるという医薬品については、できるだけ安価な医薬品の使用を促進しようということが一つの考え方でございます。それからまた、薬価基準制度そのものの簡素合理化を図ろうという趣旨でございまして、そういった意味で、一般名収載を含む新たな価格設定方式の導入を検討すべきであるということと理解しておりますし、私どもとしても、この検討というものを進めていかなければいけないというふうに考えております。
 ただ、このたびの医療保険制度の改革に関連いたしまして、全体的な国会の御議論等におきましても、状況はもっとテンポが速くなっているというふうに思いまして、公定価格を定めております薬価基準制度そのものを根本的にむしろ改めるべきであるという方向に今あるというふうに考えております。私どもとしては、そういった抜本的な改革というものの検討を進めておりますが、この問題についても、中医協の建議に沿った検討というものをできるだけ早く完了しなければいけないというふうに考えております。

○松本(純)分科員 アメリカでは、高い薬価のものが処方されてきても、薬局が患者の意向を聞いて低薬価の後発品にかえて調剤することが法律で認められていると聞いております。例えばアメリカのある薬局のチラシを見てみますと、あなたの薬剤費を節減してあげますというのがキャッチフレーズの一つにもなっております。しかし、我が国の場合、後発医薬品に対する医療機関の根強い不信感があり、この点を解決しない限り、今後、一般名収載やゼネリック品の活用を推進しようとしても困難であろうと思います。
 アメリカでは、オレンジブックといって、後発医薬品の品質等について評価したリストがあると言われておりますが、どのようなものか、おわかりになればお示しをいただきたいと存じます。

○丸山政府委員 お尋ねのオレンジブックといいますのは、FDAが出版をしておるものでございまして、米国におきます先発品と後発品のすべての処方せん薬、医療用医薬品でございますが、これにつきまして、銘柄ごとにその治療上の同等性の有無について示したりストを掲載しているものでございます。
 米国におきましては、各州ごとに医薬品の規制が異なるということから、FDAといたしまして、有効性、安全性に基づいて承認された医薬品について、治療学上の同等性を示すということで対応してまいりたいということから出版されておるというふうに聞しておるところでございます。

○松本(純)分科員 薬価基準の一般名収載が進み、医師の処方せんが一般名で記載されるようになれば、保険薬局の備蓄も随分と軽減され、医薬分業の推進にも有益であると思います。
 しかし、問題は、後発品に対する信頼性の問題であります。現在、我が国には後発医薬品専門メーカーはどれぐらいの数あるのか、おわかりになればお示しをいただきたいと思います。

○丸山政府委員 二百二十社程度というふうに推計をいたしております。と申しますのは、現在、薬価基準に収載されている医薬品を供給しているメーカーの数は四百六十社でございます。その中で、新医薬品を供給しているメーカー数は百五十社でございまして、残りの中で、局方品あるいは漢方製剤といったようなものを供給しているメーカー数が約九十社ということでございますので、四百六十社から、百五十社と九十社の合計二百四十社を引きますと、残る二百二十社、これがほぼ後発品メーカーに該当するだろうというふうに考えているところでございます。

○松本(純)分科員 結局、これらのメーカーの大半は薬価差益だけを売り物にして生き延びていると言われております。それが結局、医療機関の薬価差益依存体質を生み、今日の薬価基準問題を生み出しているのではないかと思うところであります。
 この半年にわたって、厚生委員会の中でさまざま議論をされてきたこれからの抜本的な医療改革を進めていく中でも、二十七兆円のうち八兆円と言われている薬剤費に着目をされて、さまざまな手が打たれてきました。そして、これだという手が今見つからぬままに、暫定的に進められているところでありますが、やはり医薬分業を推進し、実際にどういった薬が使われているのか、その薬剤の内容等が公に見ることができるような状況がつくられて、そして実態を踏まえた上で二十一世紀に向けた新たな負担を考えていかなければならないことになろうと思うわけであります。
 その一つとしても、いつも高い薬価にシフトされていってしまうということを抑えていく必要がありまして、その意味でも、この後発品専門のメーカーにどう今後対応していくかということもその検討の中に入れていただいて、生かしていくのか、あるいはさらにハードルを高くして全体の質を上げていくという方向に向けるのか、さまざまな方向が考えられると思いますが、どうぞさらなる御検討をぜひお願い申し上げたいと思っております。
 この後発品の品質確保、情報活動の強化、そして供給の確保など、改めて後発品対策を検討しておかないと薬価基準問題は解決できないと思っておりますし、優良な後発品メーカーを育成するということも大変大事で、この対策につきまして検討していただきたいと思いますが、どのようにお考えになるのか、鈴木政務次官にお尋ねをさせていただきたいと思います。

○鈴木(俊)政府委員 優良な後発品メーカーの育成に努めるべきだということについては、同感であります。
 ただ、先生も御質問の中で御指摘がございましたとおりに、後発品につきましては、医療機関から、その品質への不安でありますとか情報提供の不足、また薬価差に依存した販売姿勢の結果、安定供給がなされていないなどのことも指摘されるわけでありまして、これが後発品使用が促進されない要因になっていると認識をしております。
 このため、後発品の品質確保や情報提供に関し、後発品メーカーの理解を求めるとともに、適正な指導に努め、結果として後発品に対する医療機関の信頼を得られる優良なメーカーが育成されますように、引き続き厚生省としても努めてまいりたいと思っております。

○松本(純)分科員 ありがとうございました。
 政務次官におかれましても御当局におかれましても、これからが正念場だと思います。どうぞ皆様で知恵を出し、そして我々とも多くの議論を交わす中で、国民にとって最もわかりやすく、そして協力も得やすく、そしてこの日本の安定につながる、そんな医療保険体制がつくられますようぜひ御尽力を賜りたいと願い、私の質問を終わります。


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