松本純の会議録 |
1997(平成9)年4月30日 |
第140国会-衆議院厚生委員会-22号
平成九年四月三十日(水曜日)
午前十時三十三分開議
出席委員 | ||||
委員長 | 町村 信孝君 | |||
理事 | 佐藤 剛男君 | 理事 | 住 博司君 | |
理事 | 津島 雄二君 | 理事 | 長勢 甚遠君 | |
理事 | 岡田 克也君 | 理事 | 山本 孝史君 | |
理事 | 五島 正規君 | 理事 | 児玉 健次君 | |
伊吹 文明君 | 石原 伸晃君 | |||
江渡 聡徳君 | 奥山 茂彦君 | |||
嘉数 知賢君 | 桜井 郁三君 | |||
桜田 義孝君 | 鈴木 俊一君 | |||
田村 憲久君 | 根本 匠君 | |||
能勢 和子君 | 松本 純君 | |||
山下 徳夫君 | 渡辺 喜美君 | |||
青山 二三君 | 井上 喜一君 | |||
大口 善徳君 | 鴨下 一郎君 | |||
田中 慶秋君 | 福島 豊君 | |||
桝屋 敬悟君 | 矢上 雅義君 | |||
吉田 幸弘君 | 米津 等史君 | |||
石毛えい子君 | 枝野 幸男君 | |||
瀬古由起子君 | 中川 智子君 | |||
望月 義夫君 | 土肥 隆一君 |
出席国務大臣 | ||||
厚 生 大 臣 | 小泉純一郎君 |
出席政府委員 | ||||
厚生政務次官 | 鈴木 俊一君 | |||
厚生大臣官房長 | 近藤純五郎君 | |||
厚生大臣官房総務審議官 | 中西 明典君 | |||
厚生省健康政策局長 | 谷 修一君 | |||
厚生省保険医療局長 | 小林 秀資君 | |||
厚生省薬務局長 | 丸山 晴男君 | |||
厚生省老人保健福祉局長 | 羽毛田信吾君 | |||
厚生省児童家庭局長 | 横田 吉男君 | |||
厚生省保険局長 | 高木 俊明君 | |||
社会保険庁運営部長 | 真野 章君 |
委員外の出席者 | ||||
文部省高等教育局医学教育 課長 | 寺脇 研君 | |||
労働省労働基準局賃金時間部 賃金課長 | 小泉万里子君 | |||
厚生委員会調査室長 | 市川 喬君 |
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委員の異動
四月三十日 | ||
辞任 | 補欠選任 | |
安倍 晋三君 | 石原 伸晃君 | |
大村 秀章君 | 渡辺 喜美君 | |
桧田 仁君 | 桜田 義孝君 | |
坂口 力君 | 田中 慶秋君 | |
土屋 品子君 | 望月 義夫君 |
同日 | ||
辞任 | 補欠選任 | |
石原 伸晃君 | 安倍 晋三君 | |
桜田 義孝君 | 桧田 仁君 | |
渡辺 喜美君 | 大村 秀章君 | |
田中 慶秋君 | 坂口 力君 | |
望月 義夫君 | 土屋 品子君 |
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本日の会議に付した案件
健康保険法等の一部を改正する法律案(内閣提出第三六号)
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○町村委員長 これより会議を開きます。 内閣提出、健康保険法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。松本純君。
○松本(純)委員 医療保険財政を再建するためには、一定の患者負担の引き上げということについてはやむを得ないところもあり、それだけにぜひとも国民の理解をしっかりと得ることができるような、そんな考え方で議論を進めていかなければならないと思っております。特に、一種十五円というような考え方の中にもさまざまな要素が含まれておりまして、さらにこれがわかりやすい方向になるように御検討をも重ねていただければと思っておるところであります。
そこで、お尋ねをいたします。
今回の政府案では、一日の薬剤費二百五円以下の場合は一種類とするとされておりますが、例えば、A薬一日三回食後服用、一日分百五十円、B薬一日三回食後服用、一日分百二十円、C薬一日三回食後服用、一日分五十円、D薬一日二回朝夜、食後服用、一日分八十円、そしてE薬一日二回朝夜、食後服用、一日分百円、このような処方で五種類の内服薬を十日分いただいたという状況の中で、この一日の薬価が五百円であったといたします。このような場合、薬剤負担が幾らになるのか、まずお尋ねをさせていただきたいと思います。
○高木(俊)政府委員 ただいまのケースで一部負担を計算する場合、まず二つのポイントがございます。
まず一つが、内服薬について、服用時点が同時で服用回数が同じ薬剤、まずこれをくくる必要があるわけでありまして、今のお話ですと、A薬、B薬、C薬は一日二回食後服用ということでございますから、これがまずワングループという格好になります。それから、D薬、E薬は一日二回朝夜、食後服用ということでございますので、これでワングループになるということでございます。
その次のチェックポイントとしましては、それぞれのグループが二百五円以下かどうかということがあります。逆に言えば、二百五円を超えるかどうかということであります。
そこで、A薬、B薬、C薬を合計いたしますと、百五十円、百二十円、五十円ということでございますから三百二十円ということになりますので、これは二百五円を超えるということになるわけでございます。そうすると、A薬、B薬、C薬それぞれが一種類ずっということになりますから、いわゆる三種類ということで、ここの部分で十五円掛ける三種類ということで四十五円ということになるわけであります。それから、D薬とE薬を合計いたしますと百八十円ということでありますから、これは二百五円以下ということになります。したがって、二百五円以下の場合には一種類ということで計算いたしますので、D薬とE薬はまとめて一種類、こういうことになります。したがって、これは十五円を御負担いただくということになります。
それに日数、十日分をいただくということでございますので、整理いたしますと、まず、A、B、Cについては三種類ということになりますから、これについては十五円掛ける三種類ということで四十五円、それが十日分ということでございますから四百五十円ということになるわけであります。それから、D薬、E薬につきましては、これは二百五円以下になりますから、一種類ということになりますので十五円、それの十日分でございますから百五十円ということになります。そうしますと、四百五十円プラス百五十円ということでございますから、A、B、C、D、E、これだけいただいた場合には一部負担が六百円、こういう計算になります。
○松本(純)委員 ただいま御答弁いただいたように、たった五つの、五種類の薬を説明するにもこれだけの時間がかかるということにもなるわけであります。
このような処方の場合、患者さんは多分単純に、薬の種類が五種類ですから、五種類掛ける十五円掛ける十日イコール七百五十円、このように考えるのではないかと思うのでありますが、ただいまのお答えのように、そう単純ではないわけであります。
一日の薬剤費二百五円以下の場合というのは、一日一剤の薬剤費が二百五円以下の場合ということで理解をしていかなければならないわけであります。この場合、本来、A、B、Cで一剤ですが、二百五円を超えているので三種類というような考え方になります。一方、DとEは二百五円以下なので一剤すなわち一種類となり、結局、今のお答えのとおり、四種類掛ける十五円掛ける十日イコール六百円ということになるわけでありますが、患者さんは、同時服用されるものは一剤としてくくられるということなどについては全くわからないと思うのであります。
実際の現場では、内服薬のほかに頓服薬や外用薬が入るなど、もっと複雑でさまざまな処方の組み合わせが考えられますので、医療機関の窓口での患者に対する説明はまことに大変なことになると思います。
薬剤負担についての患者に対する説明に時間を費やし、肝心の薬の副作用等についての説明がおろそかになってしまいましたら、これは元も子もないことになってしまいます。このことについての御見解を承れれば幸いでございます。
○高木(俊)政府委員 今回、薬について新たに一部負担をお願いしておりますのは、これはやはり薬の適正使用ということを促したいということでお願いしているわけでございます。
そういった中で、できるだけ簡素な制度が望ましいわけでございますけれども、定額負担というようなことで、また、レセプト請求上の煩雑さというものをできるだけ簡素化するということで、二百五円以下については現在も一種類というふうな数え方をしていること等々の中で考えますと、今回のような案も一つの考え方であろうということで御提案しているわけでございますけれども、御指摘のとおり、なれるまではなかなか患者さんになじみにくいという問題があることは事実であります。
ただ、医療の世界の場合、これは通常の商品とちょっと違いまして、剤という考え方あるいは一方で種類というような考え方もございますし、そういった中で適正な御負担をお願いするというような制約の中ではこのような形もやむを得ないというふうに思っておりますけれども、この案が成立いたしましたならば、実際の施行に当たりましては混乱がないように、そしてまた、まさに薬についての、副作用を初めとする薬そのものに対する説明ということが一番大事でありますから、そういったものがこの一部負担の計算のために制約されてしまうということのないように、関係者の御理解、それから制度の趣旨、こういったものについての理解というものを深めるべく努力をしていきたいというふうに考えております。
○松本(純)委員 二百五円以下一種類とするとの考え方は、患者負担をできるだけ軽減するための措置として評価できると思いますが、一方、薬剤負担を国民からわかりにくいものとしてしまうおそれがあります。
二百五円以下一種類とみなすこととしたことで、二百五円以下の処方頻度はどれぐらいあり、財源的にはどれぐらいの軽減になっているのでしょうか。厚生省は資料をお持ちのことと思いますので、お尋ねをいたします。
○高木(俊)政府委員 二百五円の問題につきましては、これは現行のいわゆるレセプトの記載の簡略化というような観点で定められておるわけでございまして、いわゆる一剤二百五円を超える場合については、それぞれの薬剤名あるいは投与量というものをレセプトの摘要欄に記載していただく、こういう取り決めになっておりますけれども、二百五円以下の薬剤につきましては、それぞれの薬剤名なり投与量というものをレセプトに記載する必要がないということになっております。したがって、一剤が二百五円以下の薬剤につきましては、使われている薬剤の種類数というのを現在のレセプトの中で把握するのは困難だというような問題がございます。
今回の、一剤が二百五円以下の薬剤を一種類とみなすという取り扱いでありますが、二百五円以下の薬剤を一種類とみなすという取り扱いのシェアがどのくらいかということで、これは統計がとれるわけでありまして、それをとりますと、全体の薬剤の延べ投薬回数に占める割合というのは大体六割程度というふうに計算をいたしております。
冒頭申し上げましたように、一剤が二百五円以下の中でくくられている薬剤の種類数というものの把握ができませんので、そういう意味で、それに伴う財政効果のところは計算が不可能な状態になっております。
○松本(純)委員 なかなかつかみにくいということであるわけでありますが、これは基本的には財政効果の根拠そのものにもかかわる部分であろうと思いますので、ぜひともさらに御調査、御検討いただければと思っておりますし、また、その数字、わかり次第お教えをいただきたいと思っているところであります。
現実には、「平成六年社会医療診療行為別調査 薬剤使用状況の概要」という資料が厚生省大臣官房統計情報部から出ておりますが、その資料の一つに、薬剤点数の構成割合の中で、二百五円以下が八三・一%、薬価不明のもので一二六・六%、あとはそれ以上の点数というようなことで記載がされている資料が出ているわけなんですが、もしも、この数字のとおり、二百五円以下が大変幅広いところに影響するのであれば、そこに負担を課するも、あるいは逆に負担をなくするにしても、大変大きな影響のある部分になろうかと思っております。
この二百五円というくくりについても、当日、診療を受けてカルテに書かれた薬剤数というものと、実際に請求を出す際のレセプトに書かれて記載省略がされるものと、これは別の問題だと私は思うわけです。記載省略の部分は今までどおり継続されて問題のないことと思いますが、それ以上に、カルテ上にはその薬剤名は書かれるはずでありますから、その数を数えるということは可能なことであって、もしも、幅広く薄く取ろう、負担をしていただこうということであれば、その一種類当たりの単価を少なくして、幅広く協力をしていただくということも一つの考え方として大変重要ではないかと私は思っておるところであります。
患者負担は、基本的に、できるだけわかりやすいものとすることが必要だと思います。それと同時に、医療機関や保険薬局の窓口では、まだコンピューターを使用していないところも多いわけでありますから、できるだけ医療機関の窓口計算事務が煩雑なものとならないようにするべきとも考えているところでありますが、どのようにお考えか、お答えください。
○高木(俊)政府委員 医療機関の窓口事務について、かなりコンピューターが導入されておるわけでありますが、現在、医科では、病院で九二%の施設が入っておりますし、診療所では五七%、約六割弱の施設が導入しております。ただ、それ以外の病院、診療所については入っていないというわけであります。仮にコンピューターが導入されていたとしても、できるだけ医療機関の窓口事務の負担というのは軽い方が望ましいわけでございまして、そういった意味では、仮に制度が導入されるにしても、できるだけ事務の簡素化という努力はしなければいけないというふうに考えております。
○松本(純)委員 ありがとうございました。
それでは、次の質問で、薬剤費の適正化と包括制についてお尋ねをいたします。
薬剤費の適正化と包括制については、先般の厚生委員会で、私は、包括制により医療の質が低下してしまった例として、ある療養型病床群の病院でせっかく始まった病院薬剤師による入院患者に対する服薬指導、薬剤の管理などの業務を病院経営者が中止してしまったという例があったことを指摘しました。その後、それは包括の対象から外されることとなり、改善されました。
厚生省は、病棟での医薬品の適正使用の推進を目的として、入院患者に対する服薬指導や薬剤管理、医師への情報提供活動を奨励してこられました。その結果、病院薬剤師の病棟での薬剤管理業務は次第に活発になりつつあり、医師などや患者さんからは評価されています。しかし、今年度、国立病院などの十病院で行われる包括制のモデル事業では、手術、麻酔以外の点数はすべて包括点数とするということですが、そのような包括制が将来実施されるとすれば、病院経営者が収益上の理由からその芽を摘んでしまいかねないと懸念されておりますが、いかがでしょうか。
○高木(俊)政府委員 病院薬剤師によります病棟での薬学的な管理指導、これは非常に重要でありまして、昭和六十三年の診療報酬の改定のときから、診療報酬上、評価をしてきているということでございます。これは、今後とも、その重要性にかんがみて奨励していくべきものであるというふうに考えております。
こういった問題と、入院なりに当たりまして薬剤費を含めた包括化の問題、これはやはりそれぞれ別に考えるべきだろうというふうに考えておりまして、そういった包括化の中でこういった薬学的な管理指導というものが推進されるということも重要でありますし、そういった意味で、この包括化が医療の内容を悪くしてしまう、要するに、粗診粗療ということが言われますけれども、そういったようなものを含めて、そういうことにならないような工夫、これも組み合わせの中で考えていかなければならないというふうに思っております。
単に経済的なメリットだけ、あるいはデメリットだけで全体の行動パターンというものが決まってしまうということのないように、この導入等に当たっては慎重な検討というものが必要であるというふうに考えておりますし、本件のようなケースについて、これが包括化の弊害として廃止されてしまうというようなことがないようにしていかなければならないというふうに考えております。
○松本(純)委員 この国会でも包括点数制を支持する声が多いようですが、ただ単に、出来高払いが悪い、包括にすればすべてよしというものではないと思います。
先日の質問に際し、厚生省に、包括制でどのような効果があったのかデータを示してほしいとお願いしましたが、平成二年の資料しかない、しかもそれは、単に数字的に薬剤の仕入れ代金や検査費用が少なくなっているというもので、医療の質が上がったのか下がったのか、分析されたものではありませんでした。包括制という制度は、診療報酬の請求に当たっても、例えば使用した薬剤名など何ら医療内容を記載する必要はないため、全くのブラックボックス状態で、外からはその実態がわからなくなってしまうという側面を持っています。
先ほどの病院薬剤師業務だけでなく、医療関係者が医療の質を上げようとするせっかくの努力や活動を抑え込んでしまうことのないよう、包括制を検討する際にはメリット・デメリットについての慎重な検討や工夫が必要であると思いますが、いかがでしょうか。
○高木(俊)政府委員 包括制に伴うメリットなりデメリット、これは一般的に言われている問題がございますけれども、具体的には、先ほど先生御指摘のとおり、平成二年に、老人医療の分野で導入された、この報告がございます。この後、さらにフォローをして、やはりきちっとした包括の評価というものをしていかなければいけないというふうに考えております。
ただ、包括制という場合でも、これまでも御答弁申し上げてきましたように、出来高払いとの組み合わせとか、そういったことを考えながら、医療機関なり医療機能に最もふさわしい支払い方というものを考えていく必要があるというふうに考えております。そういった中のベースとしては、それぞれの医療機関、医療担当者が、単に経済的な問題だけで行動するということではなくて、患者さんの立場に立ったよい医療を提供する、そういった考え方のもとで診療を行っていただかないと、どんな制度を導入してもうまくはいかないと思います。
ただ、制度を考える場合においても、そういった医療担当者の善意だけでは動きませんから、より好ましい医療が提供されるような仕組みというものをいろいろな組み合わせの中から考えていかなければいけないというふうに考えております。
○松本(純)委員 厚生省は、平成四年に、看護婦業務の見直しに関する調査研究を実施されたとお聞きしております。その事業の中で、病棟での薬剤管理を看護部から薬剤部に移管した結果、看護婦さんが看護に専念できるようになるとともに、病棟における薬剤の在庫量や薬剤費の節約に成果を得たとの報告があると聞いております。
先般の厚生委員会で、江渡議員が質問された国立病院における病院薬剤師の員数について、国立病院で基準どおりの薬剤師が配置されているのは、九十病院のうちわずか十四病院であるとのことでした。小林局長は、医薬分業の推進等によって対処したいとの御答弁をされておりましたが、それはそれで大いに推進していただきたいと思っておりますが、それだけでなく、薬剤師法によって義務づけられた患者に対する薬剤情報の提供や、先ほど申し上げましたように、薬剤費の節減にもつながる病棟における薬剤管理を強化するために、適正な薬剤師数の確保を図るべきと思います。
国立病院は、医療のセンターとしての機能があるとともに、地域医療支援の中核となるところと考えます。現在進められている国立病院の統合再編成の中で、薬剤師数配置の充実を図るべきと考えますが、いかがでありましょうか。
○小林(秀)政府委員 先生御存じのように、国立病院・療養所は全国に二百三十九ございますが、これが本来の国立にふさわしい役割を果たす、そういうことから、今、再編成合理化を進めておるところであります。
そして、この再編成・合理化の基本指針につきましては、昭和六十年三月につくったのでありますが、「再編成・合理化の推進によって生じた定員等の余裕については、必要に応じ医療スタッフを中心に再配置するなど、それによって国立病院・療養所の機能強化を図るものとする。」こういうふうに書かれておりまして、この指針にのっとって進めておるところでございます。
ただ、現在の大変厳しい定員事情ということから、直ちに薬剤師の増員を行うというのは大変難しいのでありますけれども、再編成合理化を通じて、薬剤師を初めとする医療関係職種の配置については、その充実に引き続き努めてまいりたいと思っております。
特に、薬剤師の皆さん方には病棟での薬剤業務というのが大変ふえてきていますし、もう一方では、この委員会でも先生方に厳しく御指導いただいています院外処方せんの発行ということで、薬剤師さんそのものの病院の業務というものも大変変わってきておる、それから、機械化も進めていくということで、それらのことを総合的に見て、今後とも一生懸命充実してまいりたいと思っております。
○松本(純)委員 それでは、最後に一つ質問をさせていただきたいのですが、薬剤師教育の強化という問題であります。
いろいろ議論のなされているところでありますが、大学関係者は、文部省に補助金を握られておりまして、本当は六年制を希望しているのだがなかなか主張できないと言っているとも言われております。かつて薬剤師教育の六年制への延長に消極的であった何人かの薬学関係者が、六年制の実現を期待する見解を業界新聞等に寄せています。その中で、文部省の担当官がある会議でもう六年制についての議論は決着したと発言したとして、嘆いているものがあります。
しかし、先般の文教委員会で、小杉文部大臣は、六年制も含めて検討したいと御答弁されたとお伺いをしております。文部省におけるその後の検討をお伺いしたいこととあわせまして、文部省の御方針もあって、今、医療薬学の修士課程の拡充が進められております。そこで、例えば、薬剤師教育の六年制の実現には一定の期間が必要であるとするなら、まず薬剤師国家試験の受験資格を六年とし、修士課程修了者とするなどの方法もあります。これなら厚生省が所管する薬剤師法を改正することだけで可能なのですが、このような考え方も含めて、早急な薬剤師教育の改善について検討をお願いしたいと思うのであります。この点については、厚生大臣にお尋ねできれば幸いでございます。
以上です。よろしくお願いします。
○寺脇説明員 薬学教育の年限の問題でございますが、この事柄は、最初に年限ありきということではなくて、どういう教育が必要なのかということを詰めていくところから進めなければならないと考えておるわけでございます。
そういう意味で、現在はいわゆる古賀レポートというものの中で、四年間の中でこれぐらいできるのじゃないかというようなことでやっておるわけでございますが、御指摘のように、これについてはそれじゃ無理なんじゃないかというような声等もあることは十分承知をいたしております。
そこで、やるべきことがどれだけあるのか、それをやるにはどれだけの年限がかかるのかということをもう一度不断に見直しをしてまいってあるべき姿を見ていく、その中の選択肢として年限が延びるということもあるという考え方で検討させていただいておるところでございます。
○小泉国務大臣 今後、医薬分業を進めていくということを考えますと、医薬品の専門家である薬剤師の資質向上というのは不可欠だと私も考えております。この六年制の問題は、文部省とも協議しなければなりませんので、この点についてはよく協議して、今後検討を進めていきたいと思います。
○松本(純)委員 終わります。