講演録

 

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2005年6月20日 18:00〜19:05
ロイヤルパークホテル  松本純 政経セミナーin横浜

演題 「国防」講演記録(要旨)

講師 石破 茂(第65代防衛庁長官)・岩屋 毅(自民党国防部会長)

(岩屋)  皆さん、こんばんは。只今御紹介頂きました、自民党国防部会長をおおせつかっています岩屋毅でございます。宜しくお願い致します。(着席)今日は、私ども敬愛する松本純先生のセミナーへ、石破先生共々お招き頂きまして本当にありがとうございました。私は大分県、石破先生は鳥取県の出身でございますが、横浜に比べると随分田舎から出ておりまして、今日は天下の横浜にお招き頂き大変嬉しく思っている所でございます。特に、私は「純さん」と呼ばしていただきますが、純さんとは同じ河野グループに所属しており、純さんは私の兄貴分で大変世話になっております。今日は石破さん共々「国防」について話をせよ、と言うことでございます。

  私から、石破前防衛庁長官について御紹介させて頂きたいと思います。あまり詳しく御紹介する必要はないと思いますが、第65代防衛庁長官でございます。石破さんが長官の時には、まさかこういう法律はできないんじゃないかと言われてた「有事法制」という法律が出来上がりました。極めて困難な法律でしたが、石破さんだったから難しい国会答弁を乗り切って、この有事法制を作り上げて頂きました。今や、「我が党」というよりも「我が国」の国防分野においては第一人者だと思います。私どもは心から信頼を申し上げておりまして、現在は、郵政民営化特別委員会理事ということで、今日はこのセミナーが終わったら、すぐ国会の理事懇談会に戻らなければならないそうです。その郵政特委では、松本純さんと一緒に、麻生総務大臣を支えて仕事をしているところでございます。

  今日は、まず、石破さんから「国防」と題して基調講演を頂きます。「国防」というのは、長官をお辞めになった石破さんが出された本のタイトルそのままでございますが、約30分お話頂いて、その後私から国防部会として「その取り組みはどういうふうになっているか」「何を課題に考えているのか」ということをご報告させて頂きます。引き続き松本純さんからいくつか質問を頂いておりますので、それをテーマにしながら約1時間、これからお話をさせて頂きたいと思っています。それでは早速ですが、石破前防衛庁長官から基調講演を頂きたいと思います。石破先生宜しくお願いします。(拍手)

(石破)  只今、ご紹介頂きました衆議院議員の石破であります。正装の方々が大勢いらっしゃる中では背広にネクタイで来るべきだと思っています。ネクタイなしでお叱りを受ける所ではございますが、今日は「クール・ビズ」スタイルです。これは中々難しいですね。私は、国会では背広にネクタイの格好で通しているんですよ。イラクの自衛官の事を思えば、「28度が暑い」なんてことは言えないだろうと、私自身は正装しているんですね。「世界で一番暑い国は何処なのか?」と言うと、これは赤道直下のマーシャル諸島ではなく、イラクなんですね。1929年の7月に記録したイラクの「58.8℃」というのが世界最高気温の記録なんですね。皆さんご存じのように、日影においてある「百葉箱」で測りますので、それで「58.8℃」ですから、日なたに出たら、60℃を超えるって事ですよね。そんな中で自衛官達は、Tシャツにジーパンではなく、何処から攻撃されるか分からないわけですから、防弾チョッキなんですよね。そして、当然銃を持って、無線機を持っています。防弾チョッキ、銃、無線機を合わせると30sの重さがございまして、この30sを背負って、体感温度60度でずっと仕事をしているのですから、その自衛官に比べたら「国会28度が、何だ!」と言われかねません。

  それはそれとして、政府としては「この省エネが少しでも資源を節約せにゃいかん!」ということでやっている訳であります。私どもが敬愛する松本政務官はいま最も大事な政府のお役所の政務官を務めていらっしゃいます。その純さんから「今日は、クール・ビズで来て下さいよ」と御下命を頂きまして、クール・ビスで伺っております。

  「国防」について、お話下さいということです。私は第65代防衛庁長官でございました。小泉総理とはあんまり仲良くない私が突如指名され、一昨々年の9月に防衛庁長官になりました。去年、防衛庁自衛隊は創立50年を迎え、一昨々年は創立48年目でした。48年目で65人目の大臣とは凄いことでして、横浜市長が半年ごとに交代、神奈川県知事も半年ごとに代わる、ということと同じこと。そんなにしょっちゅう代わることはおかしくありませんか。アメリカ大統領も、神奈川県知事も、鳥取県知事も4年やります。横浜市長も、鳥取市長も4年やります。「半年、そこらじゃ何の仕事も出来ない」色々な願望で、あれこれやるのは政治家の勝手ですが、それを実現するためには、法律を作り、法律を国会へ提出し、成立させなければいけない。予算を作って、国会に出して成立させなければいけない。半年で何が出来ますか?半年で、コロコロ代わって喜ぶのは、役人だけですよ。何にも知らないのが大臣でありますし、もし仮に知っている議員が来ても、半年経てばいなくなるのですから、お役人の得意技「面従腹背」となります。「大臣のおっしゃる通りでござい・u桙ワす」「立派な御見識をお持ちで…」と大臣、副大臣、政務官の前で言っても、部屋を出た途端に「ベー!」っと、その心は「半年経てば、いなくなる」です。 

  小泉さんに対しては色々な考え方があるだろうけど、本来、大臣を代えない、副大臣を代えない、政務官を代えない。昔、大臣になった時には、良かったですね。「○○大臣拝命しました。この分野について、よく知りません。これから勉強させていただきます。」と平気で言っておりましたが、今は「そんな者はいらない」「わからない奴はいらない」大臣も、副大臣も、政務官も…。岩屋さんも私が防衛副大臣の時に、私の政務官をやってくださったのですが、「それは国家、国民のためにある立場で、個人の名誉のためにある地位ではない」というのが、小泉総理の方針であると思います。

  私は2年間大臣をやらせていただきましたが、その間にやりたかったことはたくさんありました。一つは岩屋さんから話があった「有事法制」を作りたかった。当時「何だ?有事法制って?」って、おっしゃる方もいました。中には戦争準備法案、有事法制を作る者は、戦争を準備するとんでもない奴だ!って、悪口も言う人もいました。しかし、「道路交通法」っていう法律がありますが、道路交通法に従えば当然のことですが、「赤信号は止まれ」「ヘッドライトを点けましょう」。はっきり言えば他の国が攻めてきた時に「日本の戦車は赤信号では止まらなくちゃいけないのですか?」。攻めて来る時の国の戦車は赤信号では絶対に止まらないですよ。こっちが止まっているうちにやられてしまいますよ。あるいは、夜ヘッドライトを点ける事は安全走行には大事ですが、戦闘地において夜ヘッドライトを点ける事は「私はここにいますよ」って言っているようなものです。そんな事をやる訳にはいかないですよ。あるいは、野戦病院を作らなくちゃいけない。怪我しちゃった人は沢山でる。「野戦病院を作ろう!」という時に法律に従えば、「この病院は、これ位の広さで作りたい」「こ・u桙、いう建物の構造にしたい」「医師は、これくらい配置して、看護師は、これくらい配置したい」という文章を作って、厚生労働大臣が「よし」と言わなければ、病院は作っちゃいかんのですよね。いざ、有事の時「さぁ、小医院を作ろう」「ここへ野戦病院を作る。広さは、これくらい。看護師の数はこれくらい。医師の数はこれくらい。厚生労働大臣様、作ってよろしいでしょうか?」って聞いて、認可が下りるのは、3ヶ月後。そんなことをやっているうちに、やられちゃいますよ。だから、有事には色んな道路交通法、病院法、河川法、あるいは森林法やら、そういう法律を杓子定規に適応してはいけません、っていうのが有事法制の一つの意味です。

  もう一つは、今年は戦争が終わって60年ですけれども、横浜でも空襲で多くの方が亡くなった事と思います。昭和20年3月の東京大空襲で、民間人は10万人も死んでしまいました。あるいは沖縄の戦闘で、何の罪も無い人が10万人も死んでいきましたね。「何で、あんなに人が死んだんだろう?」有事法制のもう一つの柱は、「戦闘が行われる時に民間人は絶対に戦場に行っちゃいけませんよ」っていうのが、有事法制のもう一つの中身なんですね。沖縄の戦闘で思い出して頂きたいのですが、アメリカ軍が南から北へ上がって来ました。日本軍はそれを迎え撃つべく、決死の覚悟で北から南へ下がって行きました。その時に沖縄の民間人達は「兵隊さんと一緒にいれば、大丈夫だ。兵隊さん達は必ず自分達を守ってくれる」と言って、軍と一緒に行動してしまいました。結果として、みんな戦闘に巻き込まれてほとんどの人が亡くなってしまいました。そういう時に、民間人を軍と一緒に行動させたら絶対にいかんのですよ。軍の仕事というのは、戦争の状態において如何にして早く相手を撃滅して相手を追い払うか、というのが仕事であって、戦争の状態において軍の仕事は民間人を・u梹轤驍アとが仕事ではありません。それが混乱すると民間人も守らなくてはいけない、戦闘もしなくてはいけない、どっち付かずになって、民間人も守らなければ、戦も負けてしまう。一番最悪の結果になってしまうと思います。「戦闘が起こりそうだ」という時は、民間人をいち早く安全な所へ避難させなければならない。沖縄の戦闘においては、軍と共に行動させるのではなくて、民間人は北の方へ逃げなさい、と日本国として言わなければならなかった。東京大空襲の時には、東京が空襲を受けることは分かっていながら東京大空襲の日に避難していたのは、学童疎開と言われる子供達だけで東京都民の15%しか避難していませんでした。お年寄りも、病気の人も、女性も、避難しない人々は東京に残っていました。結果として、大勢の人が死んでしまいました。アメリカは戦争が終わってから「何で、こんなに日本は人が死んだのか?」と非常に不思議に思ったそうです。アメリカはドイツとも戦いました。ドイツで落とした爆弾の量は日本に落とした爆弾の量よりも、はるかに多くの爆弾を落としたそうです。だけども、死んじゃった民間人の数はドイツも、日本もほとんど・u椏ッじというのが不思議でしょう。アメリカは、「何で、こんな風になったのかw)?」「ドイツより、はるかに少ない爆弾しか落とさなかったのに何でドイツと同じだけの人が死んだんだ?」と不思議に思って、すぐに調査をしました。こんな分厚い調査報告書が出来ました。なんと書いてあるかというと「日本政府は民間人を避難させるのは、陸軍省の仕事である。内務省の仕事ではなく、どこがいかんのかという話しばっかりしてて、国民を死から守ろうって気は全くなかった」そんな報告書が出てますよ。沖縄で死んでいった、沢山の人達。東京大空襲で死んでいった沢山の人達。そういう人達の御霊に応えるためには「有時にどうすれば民間人を戦闘に巻き込まずいち早く、避難させることができるかっていう法律を作んなきゃいけなかったですよ。 

  だけど、日本は戦後60年、それを全くやらないままできました。日本に手をかけようとする国の立場をもって考えれば、いざという時に自衛隊は、色んな法律の制約があって動けません。いざという時に日本は民間人を避難させることは出来ません。そういう状態であったとしたならば、「よし、いっちょやってみよう!いざとなったら、自衛隊は動けないらしい。いざとなったら、民間人は避難できないかもしれない。それじゃ、やってみようか!」っていう事になるわけですよ。逆に「有事法制」をきちんと作っておき、いざとなったら自衛隊はすぐに動きます。いざとなったら民間人はすぐに避難しますよ。やれるもんなら、やってごらんなさい」そういう法律を作っておくことが、相手の目からすれば、「これは日本に手をかけてみても、得る物は少ないなぁ」そう思わせることになるんじゃないんですか。私は、「有事法制」が「戦争準備法案」なんて言う人がいたので、「違いますよ!これは、どうすれば戦争にならないか、という法律であって、戦争するための法律ではありません」ということを何度も言って参りました。国会で多くの人達が賛成してくれました。 

  でもね、昭和50年代に、自衛官の中でも最も上の位にあった栗栖弘臣さんという統合幕僚会議議長が、「現在日本は有事法制を作ってない。有事法制がなければ、自衛隊は法律を破って、動かなければいけない。国民を守るためには、法律を破って、動かなければいけない。だから、有事法制を作ってくれ!」ってことを訴えた。時の防衛庁長官の金丸信さんは「けしからん!自衛官が政治に対して意見を言う。こんな事は許されない」と首にしてしまいました。去年、有事法制が出来たのを見届けるかのように栗栖弘臣さんは亡くなられました。 

  この事については麻生総務大臣や松本純先生、岩屋毅先生、大勢の方々に絶大な力を貸して頂きました。「なんで、こんな法案が必要なのか?」今までは、いやいや、そんなことは考えていませんよ。自民党としては、政府としては、そんな恐ろしい事は考えていませんよ。「有事法制」という研究はするけれども、法律なんかにはしませんよ、と言ってずーっと責任逃れをしていました。嫌なこと正面から向き合ってこなかったからですね。だけども、「嫌なことを正面から向き合わないで、どうして平和で、安全な国が作れるでしょうか?」ということに、初めて正面から挑む。話しをすればわかってくれる。それを語りかける勇気を持たなければいけない。有事法制が大勢の人の力で出来ました。これが一番目の話です。

  二番目が、「ミサイルが飛んできたら、必ず打ち落とすよ」こういう仕組みをつくりましょうよ、という話。つまり、防衛構想ですね。この法律を私は作る為に防衛庁長官として全力で取り組みました。北朝鮮が日本を絶対に射程にいれたミサイルを100発持っています。射程距離は1300kmです。国民が毎年毎年何万人餓死しようがミサイルを作ってます。それは遊びや冗談ではやっていませんよ。国民が餓死してもミサイルを作るというのは、北朝鮮の物凄い国家の資質です。 

  射程1300kmは、アメリカまでは届きません。中国においては仕返しが怖いから中国には撃ちません。ロシアに向けても仕返しが怖いからロシアにも撃ちません。韓国に撃つのに射程1300kmのミサイルは要りません。だとしたら、何のために、1300kmのミサイルを100発持っているんでしょうか。アメリカ、違います。ロシア、違います。中国、違います。韓国、違います。日本に向けて撃つに決まってるじゃないですか。 

  北朝鮮が何かやる時に、例えば、実力で韓国を統合するという行動に出た時に、アメリカは当然行動を起こします。そして日本にある米軍の基地を使います。その時に日米協議というので、アメリカは一応日本政府に対して「この朝鮮半島有事に対応するために、日本の基地を使っていいか?」ということを聞いてくるわけですね。日本は当然、「いい」と言わなければいけないのですけれども、その時、将軍様がTVに出てきて「日本政府の諸君。もし、アメリカに加担して日本の基地を使うということならば、今から東京・横浜に向けてミサイルを撃つ。それでもよければ、勝手にアメリカの言う事を聞け!もし、殺されるのが嫌で、ミサイルが撃たれるのが嫌なら、アメリカの要求を断れ!」我々は、どうしたらいいですか。「撃てるものなら、撃ってみろ!そのミサイルは、必ず撃ち落としてやる」と言うほど、日本政府が防衛力を持っていたとすれば北朝鮮の脅しには屈しない外交が出来るんじゃないですか。「あなた、そんなこというけれどね、ミサイルを落とせるのかね?」っていうことをよく言われました。今、私は「落とせます」と答えます。昔は、そんなことは出来ませんで・u桙オた。だけど今は、こういう時にミサイルを撃ち落とす技術は、どんどん発達していまして、100発100中とはいかないが、かなりの高い確率で撃ち落とすことが出来るようになりました。「あなた、100発100中でなければ、意味ないじゃない、100発撃ってきた内の10発が落ちたら、どうするの?」っていう人はいますよ。いますけれども、100発の内90発を撃ち落とすことも大変なことじゃないですか。向こうが脅しても屈しないと言う大きな力になるんじゃないですか。「あなた、そんなことをいうけれども、1兆円や、2兆円と、大変なお金がかかるっていうじゃない。そんな大変なお金の無駄というじゃない」っていう人もいますけど、私はそうは思いません。「北朝鮮がミサイルを撃つぞ!」と言った時に「撃てるものなら、撃ってみろ!」という外交が出来る。それって、お金には代えることは事はできないことでしょう。仮に向こうが撃ってきたとしても、それを撃ち落として、人が死なないですむ。それって、8000億円、1兆円には代えられないものだとは思いませんか。このミサイル防衛をきちっとやる。これに岩屋国防部会長はだいぶ苦労したみたい・u桙ナすけど、大野長官の下で法律を作って頂いて、衆議院をこの間、通過致しまw)した。この国会中に何とか仕上げたいと思っています。これが僕のやりたかった二番目のことです。

  やりたかったことの三番目は、この国の「防衛」に対する考え方をもう一度考えようということです。いままでは、アメリカの力、ソビエトの力がほとんど一緒の為、戦が起こらなかった。戦が起こらなかったということは、みんなの心が綺麗で、優しい人であって、日本国憲法の前文に書いてあるように「平和を愛好する諸国民、公正と信義に信頼して、日本の平和を誇示しましょう」っていう話しではありません。戦にならないってことはどういうことでしょう。やったって、勝てるか、負けるか分からなければ、戦にならないでしょう。そして、冷戦時代のアメリカ、ソビエトも核ミサイルを何千発持っていました。お互いに撃ち合いになったならば、アメリカも転んじゃうかもしれないし、ソビエトも転んじゃうかもしれない。どっちが勝つのだかは分からないし、いざ、やったらお互い地球上から消えてしまうし、そんな馬鹿な事はやめようぜ!って、戦がなかっただけの話なんです。だから、日本が防衛努力をサボっていても、戦にならない状態が続いていたんですね。だから、ソビエトがなくなちゃって、アメリカだけが物凄い力を持つようになった。それで、「平和が来たか?」・u桙ニいえば、来なかった。アメリカだけが力を持つような世の中は平和な世の中じゃないって言う事を、我々はここ数年間ずーっと見てきたわけですね。湾岸戦争は冷戦が終わってから始まったものです。イラク戦争も冷戦が終わってから始まったものです。何で、国と国とが戦になるか、それは日本人にはわからないことだけども、領土の問題で国と国は戦にはなりません。宗教の問題で戦にはなりません。民族の問題では戦になりません。政治体制が違えば戦になるんですよ。私の田舎には「隣の家に蔵が建てば、腹が立つ」っていう言葉があります。「何で、あの国が豊かで、私の国が貧しいのだ。けしからん」って事で、戦争になるわけですよ。今までは、どっちが勝つかは分からない。世界はアメリカの味方とソビエトの味方にわかれていたから、何か勝手にやっていたら怖いからやらなかった。だけど、冷戦が終わったらば、そういうものは「うゎ!」と一気に出てくるんですよ。冷戦後の世界が、そういう世界で、それに輪を掛けてややこしいのが「テロ」っていうのが始まります。今までは、戦というのは戦闘機と戦闘機、軍艦と軍艦、ミサイルとミサイル、戦車と戦車・u栫Bそういうのが戦の常識だったけれども「9.11」ってのは何ですか、民間w)機を乗っ取って、ビルにぶつけて、何千人と死んだ。「テロ」っていうものは、あういうものですよ。いつ、どこで、だれが、だれかを、なぜ、どのようにしてやっつけるか。全然分からない恐ろしい世界が「テロ」の世界です。これから先は、そういうことが起こりますよ。そういう時に自衛隊の戦闘機、自衛隊の護衛艦、自衛隊の戦車などを何の為に、どのようなものを、どれだけ、どこに向かって運ぶのか、きちっと説明できなければ、これから先の防衛を図ることはできないんですよ。そういう理屈をきちっと作りましょうね。これから先の日本の課題だと思っています。

  もう一つは、松本先生からの質問で「憲法の中で自衛隊をどのように位置付けますか?」ってことなんですね。例えば、横須賀にある護衛艦はいかにも軍艦ですよね。千歳に大きな、小松に大きな戦闘機は確かに世界最高性能の戦闘機ですね。九○式戦車という自衛隊の主力戦車は世界で一番性能がいいと言われ、同時に世界で一番高い戦車なんですね。そういうものがありますから、いかにも「自衛隊」は「軍隊」に見えますけど、法律の上では「自衛隊」は「軍隊」ではありません。警察の大型版だと思って頂いて結構です。警察って何ですか?警察が守るものは何ですか?警察が守るものは街の治安ですよ。そして、警察が守るのものは、人の生命、財産。だけども、軍隊が守るものは、国家の独立なんですよ。国家の独立を守るものが、軍隊であり、個人の生命、財産、そして、公共の治安を守るのが警察なんですよ。自衛隊は、どっちなのか、よく分らないですね。自衛隊は国家の独立を守るためにあるんだ、って言うとするのならば、やはり、それは「軍」という名前にしなければならないですよ。名前の問題だけじゃありませんよ。警察、例えば○○署のお巡りさんが制服を着て歩・u桙「ていたら、それは間違いなく、一人で歩いていてもそれは警察が動いているんですね。だけども、自衛官がどんな立派な制服を着て、その辺を歩いていても、個人で歩いている限りそれは自衛隊ではないんですね。部隊で動くのが、「軍」なんですよ。個人で動くのは警察なんですよ。自衛隊法は全て、個人をベースにして書いているんですよ。日本がどんなに凄い戦車を持っていても、どんな凄い武器を持っていても、これは「軍」ではありません。そして、最後にひとつ申し上げれば、この国には「軍法」という軍の法律はありません。したがって、これは「軍隊」ではありません。

  軍隊は物凄い力を持っています。警察が束になってかかっても、海上保安庁が束になってかかっても、自衛隊にはかないません。物凄い力を持ってますから、その規律は世間よりもはるかに厳しい規律でなければこれは危ないです。はるかに厳しい規律を持たねばならない。私なんて臆病ものですから、仮に自衛隊に入っていて、有事になって「石破!突っ込め」と言われた時に「怖いから行きたくないよう」って言うかもしれない。私には「必ず行きます」という自信はない。家内の顔や娘の顔を思い浮かべると「何とか、行かないですまないか」って、そういう思いにかられるかも知れません。ですけど、みんながみんなが、そういうことを言っていたら、国を守る事は出来ないんですよ。ですから、どの国でも、命令違反は死刑か、物凄く思い刑罰なんですよ。「死刑になるくらいなら、怖いけど突撃しよう!」そういうものです。人間って悲しいものです。だから人間って厳しい規律を設けるんですよ。その代わり、国のために命を掛ける人だから、規律は最も厳しい代わりに名誉は一番重いんですよ。その人たちに与えられる名誉は国で一番立派な名誉が与えられる。それが「軍」とい・u桙、ものであります。これを憲法の中でどう位置付けるかは、本当に自民党が国家、国民に対する責任としてきちんと議論しなくちゃいけない部分です。今、何によって我々は、自衛隊を信頼しているのか。それは、たった一つなんですよ。自衛官達が自衛官になる時誓いをするんですよ。「我々自衛官は事に望んでは危険を顧みず身を呈して職務の完遂に務めもって国民の負託に応える」そういう誓いをした集団が自衛隊なんです。彼らの誓いを信じて我々は今、国の独立を彼らに託してるわけなんです。そういう人たちに対して、我々はもう少し「ありがとう」って、気持ちを持つべきなんじゃないですか。

  何の為にイラクへ自衛隊が行っているのですか。60度を超える暑さの中で彼らは何の為にやっているのですか。第一に、「なんでこの電気はついてるの?」「なんで夏になったら冷房が使える?」「なんで自動車が走り、船が動き、トラックが動き、コンバインが動いているの?」間違いなく、石油が安定的に供給されるからです。日本では石油は一滴も出ませんから、100%輸入です。9割はイラクを含む中東地域から輸入してるんです。もし、イラクが大混乱に陥って、それがサウジアラビア、クウェート、イランなどへどんどん飛び火していったとして、一番困るのは我々日本じゃないですか。イラクの安定は日本の国益です。そして常任理事国になりたいというからには、嫌な事は他の国にやらせて、自分は奇麗事だけ言ってて、なんで常任理事国になれますか。イラクの人たちが一番期待して、一番助けて欲しいと思っているのは、アメリカ人でもなければ、フランス人でもなければ、中国人でもないんですよ。イラクの人たちが一番来て欲しいと思っている人は日本人なんですよ。その人たちの願いを踏みにじって、いいんですか。そして、アメリカが一番困っている時に日本が・u梔スもしないで、日本が困ったらアメリカは必ず助けてくれますよ、といったことが本当にあるんでしょうか。私はあるとは思いません。日本の国益、日本の責任、イラクの人たちの思いに応えてアメリカとの信頼関係を盤石なものにする。それができる組織は、日本国内には自衛隊しかないんですよ。だから自衛隊に行ってもらってるんですよ。遊びや冗談で行かせてる訳じゃありません。

  一昨年の12月24日のクリスマスイブ。世間はみんな楽しくて、若者達は「今晩、どうやって過ごそうかな?」そういう楽しい日なのかもしれませんね。その日に私は、イラク特別措置法に基づいて一番最初の部隊をイラクに派遣する命令を下しました。最初に航空自衛隊に出しました。愛知県の小牧基地で、小泉総理、安倍幹事長、川口外務大臣、公明党の冬柴幹事長を招き、そのイラク派遣先遣隊編制完結式を行いました。そこで、総理も、私も、「何で、自衛隊にお願いするのか?」って言う事について申し上げました。喜び、勇んで行った人なんていませんでした。年老いた、お父さん、お母さんは出来れば行かせたくなかった。「お正月、お父さんと一緒に過ごそうね」って、思ってた子供達は本当に悲しい顔をしてました。そういう土地に旦那さんを送り出す奥さんは、とても不安だと思います。しかし、それを乗り越えてやらなきゃいけないことってあるんです。そういう話をした時に、ある若い航空自衛官が私の手を握ってくれて「大臣ね、俺20何年生きてきたけど、今日が一番嬉しいクリスマスだ!なぜ俺が行かなきゃならないのか。何の為に俺が行くのか。なぜ俺でなき・u桙痰「けないのか、って言う事を総理や防衛庁長官から直接聞く事が出来て、20何年で一番嬉しいクリスマスだよ。大臣行ってくるよ!」と言って、彼は旅立って行きました。その彼は3ヵ月後に帰って来て、「大臣、行って良かったよ!」と言ってくれました。

  私達は国の独立とか、国の平和とか、そういうものは当たり前にあるものだと、今まで思っていました。そうではありません。大切なものではタダではありません。国の独立も、国も平和も、国民の生命・財産など大切なものは誰かが一生懸命守っていかなければなりません。我々はそういうことを正面から議論する。そういうような政権政党になっていきたいと思います。私ども、そして、また松本政務官がおられる政府と一体となって、この国を次の時代の人たちに、いい形で伝える事が出来るように、恐れることなく、正面から語りかけていきたいと、そのように思っておるところでございます。私どもにとって、本当に頼りにしている松本政務官でありますので、どうか横浜の皆様に、更なる温かいご支援を、お世話になっているものの一人として、心からお願い申し上げまして話を終わらして頂きます。(拍手)

(岩屋) 石破先生、ありがとうございました。私も久し振りに、間近で石破節を聴かせていただきまして、本当に聞き惚れてしまいました。日本の国防政策をリードしている石破さんが、どういう考えで「有事法制」あるいは「国民保護法制」等の法整備にあたって頂いたのか、皆さんの御理解を頂けたかと思います。

 国防部会としてはどういう取り組みをしてきたのか、極簡単に申し上げたいと思います。今、石破先生の話にありましたが、私どもが「有事法制」「国民保護法制」を整備してきたのは、今の内閣が何もその戦争に向かっていると言う事は更々ございません。ただ、独立国家として備えていらなければならない当然の法制を、戦後60年間作ってこなかった事によって、我が国の抑止力は、実は脆弱なものになってしまった一因になっているかと認識しております。大げさに言うと、自衛隊は装備な立派ですけど「張子の虎」だったわけで、いざという時に動ける法制がなかったわけです。この法律を作ることで、日本の抑止力を更に高めるというつもりで、履行にあたったわけであります。 

  今後の防衛庁の装備はどうするか、ということなんですけれども、基本的に減らしていくんです。これだけ厳しい国家財政の状況の中で、防衛費であっても、決して聖域があってはならない、と小泉総理も私も考えております。これからの向こう5年間の自衛隊の装備、中期防衛力整備計画の5年計画を書くのですけれども、自衛隊の装備というのは、車を買ってくるみたいに、注文したら、すぐに届くものではございません。発注してから、出来上がるまでに数年間かかるということなので、5年計画をいつも作るんですが、向こう5年間の中期防の予算は、前の計画に比べて減らしております。財務省と非常に難しい折衝になったのは「自衛官の数を減らせ」という事を言ってきたのですが、装備は極端に言えば、お金があれば買ってくることが出来ますが、立派な自衛官を育成する事は一朝一石には出来ません。したがって、私は装備については、ある程度減らしていってもいいと思います。しかし、自衛官のマンパワーだけは少なくとも現状維持すべきだということで、最終的には決着をみたところでございます。

  実は、警察官の数よりも少ないわけです。1億2000万の国民を警察官より少ない人数で守るという事はなかなか大変な事であります。しかし、それは装備を合理化し、近代化し、効率化し、そして時代に合った装備に変えてくことによって、何とか補っていこうという思想で防衛計画の大綱を決めます。10年間にわたっての日本の国防の在り方を決めるその大綱と同様に5年間の装備の計画もそういう考え方に基づいて作ったものでございます。

  その中で一点だけ申し上げると、たくさんの防衛手段がありますが、最も重要なのがミサイル防衛でございまして、石破さんの話の中にあった通りでございます。これから、「ミサイルが飛んできたら必ず撃ち落す装備」を整えていくわけですけれども、その為の法律がなければならないということで、現在審議が進められ、衆議院を通過したところであります。この国会中にはミサイル防衛の為の法律を整えようということでございます。

  その他、色々課題はあるんですが、時間も迫って来ていますので、松本先生から御下問を頂いております問題について、石破さんと意見交換させて頂こうかと思います。

  まず、北朝鮮の話が出ましたが、外交が残念ながらうまくいってないというか、緊張関係にございまして、特に心配なのが北朝鮮。それから、中国との外交をどうするのかであります。ある意味では「21世紀の日本外交の最大の課題である」と言ってもいいのではないかと思います。北朝鮮に対する我が国の外交・防衛はどうなっているのか、あるいは、中国に対しては、どうあるべきかについて石破さんからご意見を頂きたいと思います。

(石破) 難しいですね、これは本当に難しいと思っています。北朝鮮について言えば、多分、金正日はこう思ってますね。「核さえ持てば、アメリカから攻撃される事はない!」と彼は思ってます。核戦争で今まで世界で、広島、長崎に落ちた以外は「核」って使われた事はないですね。ベトナムに対しても「核」は使われなかったですね。「核」さえ持てば、アメリカも北朝鮮を攻撃する事はない。あの滅茶苦茶な独裁国家であったとしても核さえ持てばもう大丈夫だって、北朝鮮は思っているはずです。アメリカはそれに対してどうするか。核を持ちゃったらもう仕方がないなってことにするのか。核を持ったら絶対に許さない、戦争だって辞さないかですよ。それは実際に戦争に訴えたって、核を持っていたらそれに対して攻撃する、とアメリカは思っているはずです。今の動きはお互いの腹の探り合いが続いているところと私は思っています。だけど、仮に核を持つことをアメリカが許すとするならば、「北朝鮮が持っているなら俺も持つよ!」って、国がいっぱい出てきます。世界中で「核」さえ持てばどんな独裁政権だって保証される事になるならば、世界中がそんな国ばかりになります、・u梹集がつきません。北朝鮮が核を持ったならば、アメリカはそれを絶対に許さないという姿勢をはっきりさせることが、北朝鮮に核を持たせないことになると思っています。それを恐れてはいけない。もし、核を持つとするならばその体制は許さないという事を、脅しではなくはっきり決意を固めることが、北朝鮮に核を持たせない事に繋がると私は思っています。

  その覚悟が日本人にあるのかどうか。その問題を覚悟がないのにいい加減なことは言ってはいけません。覚悟がないのに勇ましいことを言ってはいけません。

  その覚悟をアメリカと共にする決意はあるのかという問題ですが、中国については、あの国と友好的にやりたいと思っています。私達は、仲良くしたいと思っています。だけど、二つだけ申し上げたいと思っています。中国の人民解放軍というのは国民の軍隊ではありません。人民解放軍は中国共産党の軍隊であって国民の軍隊ではありません。そして、我が日本国においては国民から選ばれた国会議員、その国会議員の中から選ばれた内閣総理大臣が軍を管理する手法をとっていますが、中国にはありません。いざとなったら、軍隊の思惑で、あるいは共産党の思惑で行動するということがあり得るという事を我々は計算に入れておくことが必要だと思います。だとするならば、中国が仮にそういう行動に万が一に出たとすれば日本、アメリカ、韓国は絶対にそれを阻止しますよという日米の信頼関係をきちんとしていく事が大事です。そして、中国は日本に「靖国はけしからん」といろんな事を言ってきますが、それは日中間の問題だけではなくて、世界にも伝えなければならない。日本は天皇陛下も謝られた。歴代総理も「ごめんなさい」って言った、日本は誠心誠意詫びているのに、中国・u桙ヘこんな事を言ってますよ。「世界の皆さん、中国が言っている事は正しいですか?」「日本の言っている事が正しいですか?」「世界の皆さん、どう思いますか?」ともっと、日本は国際社会で訴えた方がいいですね。日中間の問題じゃないですからね。世界が日本をどう評価し、世界が中国をどう評価するか。我々は胸に手を当てて考えても、やましい事はありません。あの戦争で迷惑を掛けたことと、その後我が国がやましい事をしてきたか、それは別問題です。国際社会にもっと日本の訴える事の正当性を、アピールしなきゃいけないと思ってます。

(岩屋) ありがとうございました。石破先生は初代の拉致議連の会長さんです。拉致議連の関係者は、北朝鮮に制裁をするべきではないかと党内で非常に強く主張しています。実は、私は制裁には慎重である一人でありまして、その理由の一つは、全部尻抜けになって効果がないんじゃないかと思いますし、北朝鮮に対応するには、日本単独で向かう事ではなくて、時期をみんなが一所懸命にうかがっている。六カ国協議ですとか、場合によっては国連の舞台を使う事になるかもしれませんが、我が国は単独にですね、あまりそういうことをやるべきではないと思っているわけです。その点については、石破先生から、補則いただきたいと思います。

  中国については、石破先生、私も同意見でございまして、中国の最大の欠陥は国内にデモクラシーがない、言論の自由も報道の自由もないことです。人権に関しても十分に確保されてはない。あの国が本当に世界の6カ国から、世界のリーダーから尊敬されることを考えた場合に、私はその事が必ず中国の大きな欠陥となって現れてくるだろうと思いますし、もうすでに世界から指摘されてると思っています。しかし隣組ですから、当然仲良くしていかなきゃいけないわけですし、友好を深めていかなきゃいけない。一方で、誰が聞いてもなるほどと理解してもらえるよう日本の論理を主張していくべきです。何も突き放したりしないで、意見を聞かなかった事を言ったりしなしで、とにかくしっかりやっていかなくてはいけません。

 本当に時間もなくなってまりました。ところで、「憲法9条」「憲法改正」の問題は先ほど石破さんの方から話が出まして、ご指摘もございました。石破さん、私もメンバーなんですが、福田前官房長官の下で「憲法改正の安全保障に関する委員会」を作りまして「憲法」という最高法規と自衛隊の不幸な関係は、次の憲法改正で正すべきではないのか、などについて学んでいます。今の憲法では自衛隊の「自」の字も出ていないのですが、我々の自衛隊は装備を持っている。では、イージス艦、九○式戦車、F15戦闘機は「軍隊」の装備ではないか?日本国が憲法において世界に向けて嘘をついている状況になっているのを解消した方がいいのではないか?などの議論を深めています。自衛隊という実力組織は、シビリアンコントロールでしっかり押さえていかなきゃいけません。シビリアンコントロールをしっかり押さえていくためにも、最高法規の中できちんと位置づけて、そして、極めて厳しいシビリアンコントロールの仕組みを作っていくということが大事なんだと思っています。

 石破さんは国連安保理の常任理事国入りの問題にさっき触れて頂きましたが、なかなか厳しくなってきましたね。アメリカがクセ玉を投げてきたというか、非常に厳しい状況にあるわけです。日本が手を挙げて国連安保理の理事国になるということは、世界の平和が目指された時には「おたくの国は、安保理常任理事国としてどういう事をして下さるおつもりがあるのですか?」と、必ず問われてくる。どうも、そこのところの議論が中途半端になっており、態度が決まってないのに手を挙げている感じがしてならないのですが、この辺はどうお考えですか?

(石破) 常任理事国っていうのは、国連加盟国に対して「こういう行動を取りなさい!」って命令をすることが出来るんですね。常任安全保障理事会で決まった事は国連加盟国に対して「こういうことをしなさい!」って、命ずることの出来る組織なんですよ。国連加盟国に対して、例えば、ある国連加盟国がですね、侵略戦争を働いた。これに対して「これは許せない!安保理理事会の決定によってこの国に対して国連として武力攻撃を加える」と決めたとしますね。我が国も参加して決めて、国連加盟国に「行け!」と命令しておいて「でも、うちは行かないからね」っていうのが、本当に通るのでしょうか。この話に実は正面から向き合っていないというわけですね。その時に国連軍が作られて、自衛隊がその中に入って、国際社会の平和を乱す国に対して自衛隊が軍事行動するのが、いいのか悪いのかってことに対して、答えを出してないんですよ。かなりいい加減な事がそこにあるわけなんですよ。そこのところは、ちょっと詰めて議論をしたいと思ってます。そういう本質を覆い隠した場合、単に「格好いいから常任理事国になりたい」とか「日本の発言権を高めたいから常任理事国になり・u桙スい」とか、そんな話ではダメです。その問題はきちっと詰めて、国民の前に「これでもいいですね?」とちゃんと言わないとなりません。こういう中地半端なことでは国際社会において説得力を持ちません。そういう話は郵政民営化が終わった後、郵政民営化はちゃんと通るとは思いますが、政府としてきちんと国民に問うべき大きな課題だと私は思います。

(岩屋) 私も勿論、なれるのならなった方がいいと思うんですけどね。安保理常任理事国という立場は、国際社会の中ではかなり重たい立場だと思います。我が国の発言力を確保するという意味では、なれるのならなった方がいいと思います。ただ、その為には日本にも、石破さんがおっしゃられたような一定の覚悟が必要だと思います。また、国連安保理の常任理事国になるために、更に追加の負担を際限なくしようという話は、国民の皆さんのご理解はなかなか得られないのではないでしょうか。しかも、国連という組織は、あくまでも国際社会の中の利権争いの場、語弊があるかもしれませんが、そういう所なんですね。あまり、「国連信仰」という考え方に立つのはのは、いかがなものかとも思っているところでございます。

 さて、いよいよ、時間になりましたので、最後に松本純さんからいただいた大変大きなテーマ。「これから日本をどうするの?」というテーマでございまして、これを簡単にコメントしなきゃならいということでございます。

  私から先に、本当に短時間で申し上げたいと思います。どうも、政治家が暗い話をし過ぎると思いますね。まず「日本は来年から人口が減っていって、経済はどんどん小さくなって、借金まみれで大変な事になりますよ」ってことを毎日毎日政治家が言っています。役人がその計算をして「このまま行ったら大変なことになる!」というのは良いと思います。しかし、いやしくも「リーダー」として、この国を引っ張っていこうとする政治家の口から、毎日毎日そういう悲観的な話がが聞かれるというのは良いことではないですね。会社の社長がですね、毎日朝礼で「来年から、うちの会社の売り上げは減っていく。従って従業員も減らしていく。君達の給料も減らしていく。それでもなおかつ会社の借金は増え続けていく」こんな事を毎日朝礼で言われていたら、出るはずの元気も出なくなっちゃうわけでして、私は日本の力はそんなもんじゃないと思います。例えば、年に1%の経済成長を30年間続ける。年にたった1%ですよ、30年福利を続けたら、どうでしょう。500兆円のGDPは700兆円です。2%を30年間続けたら900兆円ですよ。3%を続けたら1200兆円でぁw)�キ。人口が少しは減っていくかもしれないですが、今から、30年後、GDPは倍に達します。1億人の人口はキープします。税収はGDPの10%ですから、GDP1000兆円で100兆円入ってくる。行革をしっかりやってですね、60兆円でまわる政府を作っておけば、借金もきちんと返していける。純先生の先導で社会福祉の方にもちゃんと必要な手当は出来る。そこに「みんなで行こうじゃないか!」っていう話を政治家がしなきゃいけない。「そのプランを作るのが政治の闘争力じゃないのかな」こう思うんです。しかし、どうも暗い話ばっかり聞いているのは、非常に辛いなと思い、この間、純さんと「是非、我々若い者達が一緒になって、そういうプランを作っていこうじゃないか。次の総理は我々だ。石破さんも含めて、一緒に作らなきゃいけないんだよ。夢のあるプランを作って一緒に頑張ろう!」と言ったところなんですけど、さて石破さん、どうします?

(石破) 私は岩屋さんと昭和32年生まれの同じ歳なんです。初当選は1期私の方が上なんですけれども、色々なことを一緒にやってきました。常に、深刻に物事を考えているわけで、内容はともかく、軽い話もあれば、そうは言ってもこれは気をつけようぜって話もあるんですね。上手く組み合わせていくことが大事なことなんだろう、と私は思っています。みんながみんな、私も山陰出身なものですから、どうしても明るくはないですけれど、私みたいに話をしていると、「この国は本当に大丈夫かな?」と思う人が出てきます。しかし、「まやかしはやめようよ。嘘、デタラメはやめようよ」ってことなんですよ。先程来、ずーっと話している「防衛」の話もそうです。私がよく聞かれるのは、「石破さんね、防衛庁自衛隊って年間5兆円のお金を使っているでしょ?」「世界最高性能の戦闘機をもっているでしょ?」「アメリカが一つしか持ってないイージス艦持っているでしょ?」「九○式戦車は世界最高性能の戦車でしょ?」「いざとなったら北朝鮮ぐらいやれるんでしょう?」って言う人がいるんですけど「ごめんなさい、何も出来ません」「何で、何も出来ないの?」って言われますけ・u桙黷ヌも、「専守防衛」という言葉を聞かれたことがあるでしょう?「専守防衛」とは、どんなことかと言いますと、敵国が日本の領土、領海、領空に入ってきた時、これを追い返しますよ、っていうのが「専守防衛」なんです。逆に言えば、相手が日本の領土、領海、領空に入って来なければ、何も出来ませんと言うのが「自衛隊」なんですよ。だけども、プロペラ機が飛んでくる時代は、北朝鮮が日本に何時間かかけて向こうが領空に入って来てもいいですよ、我が側も10分もあれば準備も間に合います。だけどもミサイルが10分や5分で領空に到達したらどうしましょう、と言ってもしょうがないですよ。そういう現実に、ちゃんと準備しましょう。今の自衛隊の装備で本当に大丈夫ですか、みなさん?って話をちゃんとしていないですね。「イージス艦をインド洋に出すのか。お前、戦艦大和をインド洋に出すのか」と言われたこともありますね。「イージス艦は日本とアメリカしか持っていない、すごい立場だな。大変に危険な船なそうじゃないか。そんな船を出していいのか?」と、やられましたが、イージス艦はそんな船じゃないんですよ。同時にいっぱいの飛行機が飛んできても・u栫Aミサイルが飛んできても、それが全部分かる。そういう能力を持った船ですw)よ。自分の船に何が向かってくるかが、分かる船は安全な船であって、危険な船ではありません。

 最後に言いたいのは、「この国は忘れちゃいけません」ということ。60数年前にアメリカ、イギリス相手に戦争を始めた国です。普通に考えて勝てる訳ないじゃないですか。片方は中国と戦争をしときながら、片方はアメリカ、イギリス相手に戦争を始めたんですよ。国民は「鬼畜米兵許すべからず。大和魂持ってすれば米兵恐るるにたらず。大和魂持ってすれば米兵は泣いて逃げていく」と言って、それで戦争が始まっちゃたんです。国民は本当に何が出来て、何が出来ないかを知らない中で、一度大日本帝国は滅びたわけです。

  政治家が自己保身に走るあまり、国民に嘘を付く国にしたくないんです。本当に何が必要で、何が必要じゃないのか、ちゃんと国民に向かって語りかけた上で、そういう暗い話は私がやりますから、明るい話は岩屋さんに「パァー」としてもらって、ぐーんと気持ちが明るくなる。「夢を持ちつつ、現実をきちんと見る」そういう国にしていきたいと、私は思っています。

(岩屋) 大変残念ですけれど、予定の時間をオーバーしてしまいましたので、これで終わらせて頂きます。ご静聴、ありがとうございます。(拍手)


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