松本純の会議録

1997(平成9)年5月30日

トップへ 目次へ

第140国会-衆議院厚生委員会-31号

平成九年五月三十日(金曜日)
 午前十時二分開議

出席委員
委員長町村 信孝君
理事佐藤 剛男君理事住  博司君
理事津島 雄二君理事長勢 甚遠君
理事岡田 克也君理事山本 孝史君
理事五島 正規君理事児玉 健次君
安倍 晋三君伊吹 文明君
江渡 聡徳君大石 秀政君
大野 松茂君大村 秀章君
奥山 茂彦君嘉数 知賢君
河野 太郎君桜井 郁三君
鈴木 俊一君田村 憲久君
根本  匠君能勢 和子君
松本  純君山下 徳夫君
青山 二三君井上 喜一君
大口 善徳君鴨下 一郎君
坂口  力君島   聡君
並木 正芳君福島  豊君
桝屋 敬悟君矢上 雅義君
米津 等史君家西  悟君
石毛えい子君枝野 幸男君
小林  守君瀬古由起子君
中川 智子君土屋 品子君
土肥 隆一君

出席国務大臣
厚 生 大 臣小泉純一郎君

出席政府委員
厚生政務次官鈴木 俊一君
厚生大臣官房長近藤純五郎君
厚生省生活衛生局長小野 昭雄君
厚生省児童家庭局長横田 吉男君
厚生省保険局長高木 俊明君

委員外の出席者
警察庁生活安全局生活環境課
生活経済対策室長
園田 一裕君
環境庁大気保全局大気規制
課長
飯島  考君
環境庁水質保全局企画課海洋
環境・廃棄物対策室長
太田  進君
大蔵省主税局税制第二課長森信 茂樹君
文部省初等中等教育局中学校
課長
加茂川幸夫君
通商産業省生活産業局窯業
建材課長
福水 健文君
資源エネルギー庁長官官房
鉱業課長
揖斐 敏夫君
自治省行政局公務員部
公務員課長
飛弾 直文君
厚生委員会調査室長市川  喬君

 ─────────────

委員の異動

     
五月三十日
辞任補欠選任
 田村 憲久君 大石 秀政君
 桧田  仁君 河野 太郎君
 吉田 幸弘君 島   聡君
 米津 等史君 並木 正芳君
 枝野 幸男君 小林  守君

同日
辞任補欠選任
 大石 秀政君 田村 憲久君
 河野 太郎君 大野 松茂君
 島   聡君 吉田 幸弘君
 並木 正芳君 米津 等史君
 小林  守君 枝野 幸男君

同日
辞任補欠選任
 大野 松茂君 桧田  仁君

 ―――――――――――――

五月三十日
 医療等の改善に関する請願(赤城徳彦君紹介)(第三三二四号)
 同(桜井新君紹介)(第三三六一号)
 同(小澤潔君紹介)(第三三九三号)
 少子化対策の充実に関する請願(富田茂之君紹介)(第三三二五号)
 同(富田茂之君紹介)(第三三六三号)
 同(富田茂之君紹介)(第三三九六号)
 肝がん検診の制度化とウイルス肝炎の総合的な対策に関する請願(青山二三君紹介)(第三三二六号)
 同(坂口力君紹介)(第三三二七号)
 同(山本孝史君紹介)(第三三二八号)
 同(家西悟君紹介)(第三三六四号)
 同(石毛えい子君紹介)(第三三六五号)
 同(江渡聡徳君紹介)(第三三六六号)
 同(大口善徳君紹介)(第三三六七号)
 同(佐藤剛男君紹介)(第三三六八号)
 同(住博司君紹介)(第三三六九号)
 同(津島雄二君紹介)(第三三七〇号)
 同(桧田仁君紹介)(第三三七一号)
 同(矢上雅義君紹介)(第三三七二号)
 同(山下徳夫君紹介)(第三三九七号)
 同(菅直人君紹介)(第三四五四号)
 同(瀬古由起子君紹介)(第三四五五号)
 同(大村秀章君紹介)(第三四八七号)
 同(深谷隆司君紹介)(第三四八八号)
 公的介護保障確立のための基盤設備に関する請願(今田保典君紹介)(第三三六〇号)
 療術の法制化に関する請願(藤本孝雄君紹介)(第三三六二号)
 同(藤本孝雄君紹介)(第三三九五号)
 公的介護保障制度の早期確立に関する請願(不破哲三君紹介)(第三三九二号)
 同(矢島恒夫君紹介)(第三四五三号)
 山西省残留犠牲者の救済措置に関する請願(中島武敏君紹介)(第三三九四号)
 重度戦傷病者と妻の援護に関する請願(持永和見君紹介)(第三四八五号)
 医療と介護の拡充に関する請願(大口善徳君紹介)(第三四八六号)は本委員会に付託された。

 ―――――――――――――

本日の会議に付した案件
 児童福祉法等の一部を改正する法律案(内閣提出第七一号)(参議院送付)
 廃棄物の処理及び清掃に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第八〇号)(参議院送付)

 ――――◇―――――

○町村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 内閣提出、参議院送付、廃棄物の処理及び清掃に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。松本純君。

○松本(純)委員 自民党の松本純でございます。どうぞよろしくお願いをいたします。
 産業廃棄物の総排出量は年々ふえ続け、昭和六十年度に約三・一億トンだったものが平成五年度には約四億トンにもなっており、さらに、最終処分場の残余容量は逼迫しており、全国平均で約二・三年分とのことでありますから、速やかなる対応をしていかなければならない大切な時期を迎えております。しかも、いかに地域住民の理解を得て新規の処分場の設置を進めることができるかということになりますが、まさに信頼性と安全性の向上を抜きにしては考えられません。この緊急かつ重要な法案により、信頼の上に秩序を取り戻し、適正な処分場の設置が進み、減量化・リサイクルが推進され、不法投棄がなくなることを願うところであります。
 このたびの廃棄物の処理及び清掃に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、まず全体から、確認も含め、数点御質問をいたします。まず初めに、廃棄物処理施設の設置に当たって関係住民等の意見を聞くことになっておりますが、聴取した意見をすべて反映させることは現実的には困難なことが予想されます。このような場合、どのような調整機能を想定されているのか、専門家の意見に従っておれば住民との調整がつかなくても設置することとなるのか、お尋ねをいたします。

○小野(昭)政府委員 施設の設置許可に当たっての住民の意見聴取についてでございますが、施設の設置や維持管理につきまして、生活環境を保全するという観点からの意見を求めるものでございます。
 住民の方から提出されました意見につきましても、生活環境保全上の御意見ということでお願いをしたいと考えておりまして これらの御意見につきましては、専門的な知識を有する方の意見も踏まえまして、その妥当性について判断をした上で、施設の許可の審査の際に、生活環境保全上適正な配慮がされているかどうかの観点から、住民の皆さん方の御意見というものについても審査に適切に反映されるものというふうに考えております。

○松本(純)委員 次に、名義貸しというのは現行でも違法行為なのではないかと思うのでありますが、今回の改正でわざわざ名義貸し禁止の条項を設けて明記した理由は何か、逆に言えば現行法では違法ではないのか、お伺いをいたします。

○小野(昭)政府委員 現行法におきましては、処理業の許可を有していない者が許可業者から名義を借り受けて処理業を行いました場合には、名義を借り受けて処理を行った者は無許可営業で罰せられますけれども、名義を貸した者には罰則の適用はございません。  このような名義貸し行為は、無許可営業を助長いたしますとともに、廃棄物処理業について許可制度を設けていることを無意味にする行為でもございますので、今回の改正では、これを禁止いたしまして、違反者には無許可営業と同様に直罰を科することとしたものでございます。

○松本(純)委員 次に、産業廃棄物処理業者あるいは厚生省令で定める者以外は現行法でも産業廃棄物の処理処分を受託してはならないはずでありますが、第十四条と第十四条の四にそれぞれ第九項を設けて明記した理由をお伺いいたします。

○小野(昭)政府委員 他人から産業廃棄物の処理の委託を受けまして、実際にはみずからは処理をせずに第三者に再委託をするという、いわゆるブローカーが介在をいたしまして、その結果、第三者による不適正な処理が行われる例が見られることが指摘されておりまして、廃棄物処理に関する国民の不信感を高める一因ともなっております。
 このため、こうしたブローカーに責任追及できることとして国民の不信感を払拭し、適正処理の確保を図りますために、産業廃棄物処理業者以外の受託を明記いたしまして禁止する規定を設けたところでございます。

○松本(純)委員 次に、欠格条項の中で、相談役、顧問等の名称にかかわらず、実質的な支配力を有すると認められる者も役員の範疇に入れるとのことでありますが、そのような確認が可能なのかどうか、どのように確認するのか、お伺いをいたします。

○小野(昭)政府委員 現行法におきましては、実質的に経営の実権を掌握する者が欠格要件に該当しているとしましても、役員でなければ処理業の許可を取得することができることが指摘されておりまして、廃棄物処理に関する国民の不信感を高める一因ともなっているわけでございます。このため、処理業者の質の確保を図りますためにいわゆる黒幕規定を設けたところでございます。
 なお、欠格要件の審査に当たりましては、警察当局と十分に連携を図ること等によって対応してまいりたいと考えております。

○松本(純)委員 ありがとうございました。
 それでは次に、大都市圏の廃棄物処理施設の建設につきまして数点御質問をさせていただきたいと思います。既に参議院での審議の際にも質問をされておりますが、本日までにさらに検討が進んだ事項などあれば、お答えをちょうだいできればと思っております。最終処分場等の廃棄物処理施設の建設に当たっては、住民の反対等により円滑に進められない実態にかんがみ、今回の改正がなされるわけでありますが、設置手続の明確化等の措置が講じられたとしても、この大都市圏での新設は、設置場所などを考えますと大変難しい仕事になるのではないかと思っております。特に、最終処分場については、土地の制約から首都圏での新設は極めて困難だと思っているのでありますが、一方、最終処分場の残余年数は〇・八年しかなく、このままでは首都圏の産業廃棄物の行き場がなくなってしまう、そんな状況になっております。
 そこで、厚生省では、大都市圏の廃棄物の最終処分についてどのような対策を講じていらっしゃるのか、まず初めにお尋ねをいたします。

○小野(昭)政府委員 首都圏あるいは近畿圏等の大都市圏域におきましては、廃棄物の排出量の増大、土地利用の高度化等から、個々の市町村によります最終処分場の確保が大変困難になっております。このため、厚生省といたしましては、昭和五十六年に制定されました広域臨海環境整備センター法に基づきまして、運輸省と共同いたしまして国の補助を行いまして、いわゆるフェニックス計画を推進しているところでございます。
 このフェニックス計画は、地方公共団体及び港湾管理者が出資いたしまして広域臨海環境整備センターというのを設立いたしまして、都府県の県域を越えまして共同利用する広域的な一般廃棄物及び産業廃棄物の最終処分場を港湾区域内の海面に整備するものでございまして、現在 近畿圏で大阪湾フェニックス計画として事業が行われているところでございます。

○松本(純)委員 大阪湾フェニックス計画では、円滑に事が進み、広域的な廃棄物の最終処分が行われているとお伺いをしておりますが、具体的にはどのような状況になっているのか、お尋ねをいたします。

○小野(昭)政府委員 大阪湾フェニックス計画につきましては、昭和五十七年に百八十一の地方公共団体等が出資して設立されました大阪湾広域臨海環境整備センターが、尼崎沖及び泉大津沖の管理型及び安定型の処分場で、それぞれ平成二年及び四年から廃棄物の受け入れを開始しておりまして、近畿圏におきます廃棄物の安定的な処分のために極めて重要な役割を果たしております。
 例えば、平成九年三月末現在で申しますと、産業廃棄物につきましては約六百十万立米、一般廃棄物につきましては約三百三十万立米を受け入れておりまして、その他のしゅんせつ土砂等を含めまして、全体の埋立容量四千五百万立米のうち約五割の埋め立てが終了いたしております。
 特に、管理型区画の埋め立てが平成十年度に終了すると見込まれておりまして、このことから、大阪湾広域臨海環境整備センターにおきましては、神戸沖に新たな管理型処分場を整備いたしますために、平成九年三月に厚生大臣と運輸大臣の認可を受けまして、現在、着工の準備を進めているというところでございます。

○松本(純)委員 首都圏については、最終処分場の残余容量は大阪湾に比べてさらに危機的な状況にあり、東京や神奈川といった住宅密集地域では、最終処分場を陸上に確保するということは不可能に近いものと考えられます。
 首都圏でのフェニックス計画はどのようになっているのか、お尋ねをいたします。

○小野(昭)政府委員 首都圏のフェニックス計画につきましては、近畿圏と異なりまして、関係都県市のみでは実は計画策定のめどが立たなかったわけでございまして、厚生省では、昭和六十二年に、運輸省と共同で「東京湾フェニックス計画の基本構想」というものを取りまとめまして、関係都県市に示したところでございます。
 この「東京湾フェニックス計画の基本構想」は、東京都心からおおむね半径四十キロ以内の市町村を対象といたしまして、約一億一千万立米の廃棄物を五百ないし六百ヘクタールの処分場で処分するものとなっております。
 しかしながら、この基本構想につきましては、自治体によりまして処分場の逼迫状況等ごみ処理をめぐります事情が異なりますことから、合意が得られなかったところでございます。
 その後、知事及び市長をメンバーとする首都圏サミット、首都圏サミットについては、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、横浜市、川崎市、千葉市の各首長がメンバーでございますが、この首都圏サミットにおきまして、約十年にわたりましてこの問題について調査検討が行われてきたところでございますが、平成七年六月の首都圏サミットにおきまして、平成十年を目途に広域処理について総合的なまとめを行うとされたところでございます。

○松本(純)委員 昭和六十二年以来検討を重ねているにもかかわらず、平成十年まで結論が出ないというのは、時間がかかり過ぎではないかと思われるところであります。首都圏の危機的な状況を考えれば、もっと早期に計画を進めるべきであり、東京都を初め関係都県市の努力が強く求められるところだと思いますが、それ以上に、厚生省がもっとリーダーシップを発揮し、調整を図る必要があると考えられます。
 首都圏フェニックス計画について、厚生省は、今後、どのように推進をしていくのか、お尋ねをいたします。

○小野(昭)政府委員 先生御指摘のように、私どもも、首都圏のごみ処理につきましては、大変重大な問題意識を持っております。
 産業廃棄物の処理につきましては、できる限りその排出地域に近いところで適正処理することが望ましいわけでございまして、首都圏におきます安定的な廃棄物の処理と、地方への不必要な産業廃棄物の拡散というものを防ぎますためには、厚生省といたしましては、環境に十分配慮した上での東京湾におきますフェニックス計画の実現がぜひとも必要というふうに私どもとしても考えております。
 フェニックス計画の推進に当たりましては、関係地方公共団体の合意というものが前提でございます。厚生省といたしましても、本年度当初から改めて関係都県市を呼んでその意向を聴取する等、東京都を初めといたします関係都県市の早期合意に向けまして、所要の調整に努めているところでございます。
 我が国におきます産業廃棄物の適切な処理という観点から、大局的な見地に立って、関係地方公共団体が積極的に協調していただきまして東京湾フェニックス計画が実現されるよう、強く期待をしているところでございます。
 なお、関係自治体につきましては、本年五月二十七日から、関係都県市からのヒアリングを行っております。今のところ、この六月六日に終了する予定になっておりますが、この段階で、各地方公共団体の本問題に対する御意見、御見解等を十分承りながら、先生御指摘のように、必要な支援と申しますか、促進といいますか、そういったものを考えてまいりたいと思っております。

○松本(純)委員 ありがとうございました。
 それでは次に、角度を変えまして、感染性廃棄物について御質問をさせていただきます。
 改正案第十二条の三は、産業廃棄物管理票、いわゆるマニフェストについて規定をしておりますが、これまで特別管理産業廃棄物に対して求められていたマニフェストが、すべての産業廃棄物に求められることとされております。
 そこで、御質問いたします。
 医療機関等から排出される医療用廃棄物はまことに多様でありますが、このマニフェストは、当然、いわゆる医療機関等から排出される医療用の廃棄物にも求められることとなるわけでありましょうか、お尋ねをいたします。

○小野(昭)政府委員 現在、医療機関等から排出されます感染性の産業廃棄物につきましては、これまでも、特別管理産業廃棄物といたしまして、平成三年度の法改正以降、既にマニフェスト制度の対象とされているところでございます。
 今回の改正におきましては、今先生の御指摘のございましたように、特別管理産業廃棄物に加えましてすべての産業廃棄物にマニフェスト制度の適用を拡大することといたしておりまして、これによりまして、医療系の廃棄物につきましては、特別管理産業廃棄物に限らず、例えばレントゲンフィルムあるいは薬瓶等の通常の産業廃棄物に該当するものにつきましても、マニフェスト制度が適用されるということでございます。

○松本(純)委員 ところで、厚生省は、平成三年に、感染性廃棄物処理マニュアルを制定され、医療機関等の廃棄処理等について定められておられます。
 このマニュアルにおいて、医療機関の定義として「病院、診療所、衛生検査所、老人保健施設、助産所、動物の診療施設及び試験研究機関をいう。」とされておりますが、この定義では、薬局はこの中には入らないということになりますが、そのとおり理解をしてよろしゅうございましょうか。

○小野(昭)政府委員 感染性廃棄物処理マニュアルにおきましては、平成三年の廃棄物処理法改正に伴いまして特別管理廃棄物として指定されました感染性廃棄物の適正処理を確保するために定めたものでございます。
 現在のところ、特別管理廃棄物でございます感染性廃棄物につきましては、当時の実態を勘案いたしまして、日常的にまとまった量を排出する病院、診療所等の特定の施設からのものに限定をいたしているところでございます。このため、今御指摘のございました薬局といいますものは特定施設に該当いたしておりませんで、現行のマニュアルにおけてま対象となっておりません。

○松本(純)委員 そこで、最後に、厚生大臣にぜひお考えをお伺いさせていただきたいと思っていることなのでありますが、病院で治療を受け、注射を打ち、薬を与えられという治療がされます。そして、それが、実際に患者さんが使用されて出てきたものは感染性廃棄物という医療系の廃棄物として処理がなされるわけでありますが、患者さんが、例えば自分の病気のためにインシュリンの注射器、薬を投与され、自宅でみずからが打つというようなケースもこれは出てくるわけでありますが、実際には、片方は感染性の廃棄物になりながら、投与されて自宅に持ち帰った薬剤、医療器具というものが突然そこで一般廃棄物に変わってしまう。同じものであるにかかわらず、そんな状態が現実には生まれてきているのが実態であります。
 そこで、高齢化社会をこれから迎えて、さらに在宅介護を進めていかなければならないというような状況、時期を迎えているわけでありますから、このような状況がさらにふえてくるということが心配をされるところでありまして、この高齢社会の医療体制として、医療法改正をするなどして在宅医療を推進しているところでありますが、医療保険において、病院、診療所だけでなく、薬局についても在宅医療が認められているところであります。
 最近、この在宅医療で用いられる輸液のセットや注射針などの医療廃棄物について、患者が処理に困るような例がふえつつあります。そのいろいろな悩みというのが薬局に持ち込まれてきているということであります。また、抗がん剤のようないわゆる細胞毒性の強い薬剤や、抗生物質などの耐性を生じやすい医薬品が飲み残された場合、その廃棄処理は大変重要なところであるわけであります。
 産業廃棄物、一般廃棄物、いずれにも人の健康などに被害を生じるおそれのあるものとして感染性廃棄物が位置づけられておるわけでありますが、高齢社会に対応する在宅ケアが進めば進むほど、この感染性廃棄物が問題になってくることは間違いのないことと思います。
 平成五年度の感染性廃棄物の排出量は十八万二千トンで、産業廃棄物の約四億トンと比べれば量は非常に少ないのでありますが、これはマニフェストにより確認されたものだけでの比較だと思います。
 医療法を改正するなどして在宅医療を推進している現在、患者さんのお宅では、医師、看護婦、薬剤師等によってさまざまな治療や指導が行われております。すると、そこには、持ち帰るもののほかに、置いていく、あるいは患者さん自身が購入し使用する医療器具や、服用し切れず残置された医薬品等が残されてしまう状況が生まれてきます。
 このように、まさに患者さんの御自宅そのものが診療所化してしまうことを考えるとき、御本人や御家族が医療廃棄物をむやみに一般ごみと一緒に出してしまうことがないよう、法的な扱いは一般廃棄物だとはいえ、これは大変危険であることを周知徹底することが大変重要だと思います。また逆に、私たちはこの実態を放置することができない問題としてとらえ、対策を講じていかなければならないと思います。それも、今回のような改正のタイミングをとらえて議論を進め、検討していかなければならないことだと思うのであります。
 例えば、私の住む横浜でありますが、市の環境事業局に問い合わせたところ、大事には至りませんが、年に五回程度の針刺し事故、つまり、一般ごみに捨てられた注射針を刺してしまう事故が起きているそうであります。また、都会のカラスは、うちの方では大変太って豊かでありますが、食べ物がどこにあるのかよく知っているようでありまして、ビニールのゴミ袋をかみちぎって、中のごみそのものを路上に散乱をさせてしまうという、そんな光景もよく見られるところであります。高齢化対策として在宅医療が進めば、表の数字にはなかなか出てこないものかもしれませんが、大変危険がそこには秘められておることだと思います。
 このように、在宅医療の一層の進展に伴って排出されてくると予想される、家庭から出る医療廃棄物の危険から地域や住民を守り、環境を大切にし、また悪用を防ぎ、さらにプライバシーを保護しつつ、安全で安心な、事故のない処理に努めていかなければならないと思うのであります。
 このような状況から、在宅医療における医療廃棄物、感染性廃棄物の処理のあり方について、法的な取り扱いも含め、基本的なお考えを小泉大臣にお尋ねをいたしたいと思います。

○小泉国務大臣 ただいまのお話を聞いておりまして、在宅医療を推進するに当たって、今後大変重要な課題だと思っております。医療系廃棄物をどのように適正に処理していくか、今後、早急に検討して、適正処理のためのあり方を進めていきたいと思います。

○松本(純)委員 ありがとうございます。
 どうぞ、この問題、大変重要な問題と思われますし、また、私の生まれ育った横浜市中区の薬剤師会の方々もこういった取り組みに懸命になっているわけでありますが、さまざまな法的な手続がクリアされずに、思いはありながらも、例えば医療廃棄物の回収ということ一つ考えても、法的になかなかできないという実態もそこにあるわけでありますので、御理解をいただき、これは本法だけではなく、さまざまな法を駆使する中での対応になろうかと思いますが、よろしくお願いを申し上げたいと思います。
 以上、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。


目次へ     トップページへ